青森県六ヶ所村に建設中の「原子燃料サイクル施設」は、一通りの工事が終わって安全性の確認が終われば完成するはずだったのが、今から28年前のことだったが、28年前からこの「施設」は繰り返して原子力規制委員会の検査を受けているのに、毎回「不合格」を繰り返してついに28年過ぎてしまったという、いわく付きの「施設」で、この施設が竣工しないために一番困っているのが関西電力で、次回の検査では必ず「合格」を獲得するために、企業の枠を越えて、六ヶ所村の施設に精鋭の社員を派遣することになったと、14日の朝日新聞が報道している;
青森県北東部の六ケ所村にある日本原燃の「原子燃料サイクル施設」。日本各地の原子力発電所で使われた核燃料を運び、再利用できるウランとプルトニウムを取り出す「再処理工場」があり、政府が進める核燃料サイクルの中核となる施設だ。
5月末、甲子園球場約195個分の広いその敷地を訪れると、建屋が整然と並び、関係会社の大小さまざまな工事車両が行き交っていた。敷地内では約1万人が働く。

関西電力は2024年7月、社内で「エース級」と言われる18人をここへ送り込んだ。遠く離れた青森の施設に関電が入れ込むのは、再処理工場を目標である26年度中に稼働させたいから。1997年に完成するはずだった再処理工場は、延期を27回も繰り返している。
さらなる延期となれば、原発を根幹に置く関電の経営を左右しかねない。「ここが動かないと、一番困るのはうちだから。『自社の工場と思って対応する』と言われている」(関電社員)
関電は福井県内に美浜、大飯、高浜の3原発を持つ。核燃料を保管する3原発の燃料プールは、25年3月末時点で88%が埋まる。このままため続けた場合、28年度末ごろには燃料プールが満杯になる計算だ。
地元の福井県からは、使用済み核燃料を県外に運び出すように求められている。関電の現在の計画では搬出先は3カ所あり、このうち本命は六ケ所村だ。28年度から再処理工場に運び出し、30年度までに198トンを出すとする。
関電からの出向者たちの多くは、原燃のてこ入れに送られた。原燃が23年に立ち上げた特別チームに入るなどして、原子力規制委員会による工場の安全性などの審査実務で中心を担う。
「結局すべてゼネコン、メーカー任せ。自分たちで設計図すら描けない」「お作法を知らない」。規制委からの質問に十分に答えられず、姿勢さえ問われてきた原燃の審査の矢面に、関電の技術者らが立つようになった。
規制委の関係者からは「関電のエース級だから審査対応をわかっている。原燃が10回説明するよりも、この人たちが30分説明した方が話が前に進む」との声も。原燃の担当者も、26年度に工場が動く可能性は「確度がある」と期待する。
それでも、計画通りに工場が動くかはまだ見通せない。今年4月の規制委のヒアリングでは「もう全然説明になっていない」「次の竣工(しゅんこう)も遅らせようと考えているのか」と不満の声もあった。
仮に動いたとしても、関電が新たに運び込める使用済み核燃料は年54~78トン。原発から毎年出る105~130トンほどには計算上、及ばない。
残りをどうするか。関電が国内のもう一つの搬出先とするのが、中間貯蔵施設の建設構想がある山口県上関町だ。
(野口陽、小川裕介)
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美浜で原発の新設に動き出した関電には、東京電力福島第一原発の事故前から長く未解決の使用済み核燃料の問題がある。何が課題なのか。2回で記す。
2025年8月14日 朝日新聞朝刊 13版S 7ページ 「(けいざい+)使用済み核燃料と関電」から「上・エース級18人、『本命』へ投入」を引用
この記事を普通に読み流すと、まるで日本原燃の社員はやる気がないけど関西電力の精鋭社員を派遣して、原子力規制委の鋭い質問にも誠意を持って対応すれば、きっと「検査合格」を勝ち取ることができる、というような筋書きのようにも読めますが、現実の世界はそんなに単純なものではないと思います。過去28年間も「不合格」とされてきた真の原因は、「原子燃料サイクル施設」の発想そのものに、原理的な「無理」が存在するから、何度がんばって見ても「合格」点をもらえなかった、というのが「実態」なのではないか、私はそう思います。第一、世界中で「原子燃料サイクル施設」を実現している国はないのだという「現実」を、私たちは重視するべきで、アメリカもイギリスも、そんなものは無理だんだからやらない、と言ってるのに、日本だけは、原発を止められると困る電力資本に配慮して、いつまでも「今度こそは」と希望の灯火を絶やさないように頑張っている。そういう無理も、いつまでも続けていて良いとは、到底思えません。