極右に近い高市首相に対する批判が散見される日本のメディアに比べて、アメリカでは政治家としての能力評価は別にして、とにかく女性が首相になったという「事実」が、日本の社会に大きな変化をもたらす始まりを告げているという前向きの評価があることについて、雑誌編集者の篠田博之氏は、2日付け東京新聞コラムに、次のように書いている;
アメリカないしアメリカ人の見方を知るために参考になるのが『ニューズウィーク日本版』だ。同誌11月4・11日号は「高市早苗研究」という大特集。強調されているのはやはり、彼女が初の女性首相ということだ。
コラムニストのグレン・カール氏は「女性首相が変える日本の常識」の記事でこう書いている。
「高市早苗の歴史的な業績は、既におおむね成し遂げられた。日本の憲政史上初の女性首相という事実が、彼女の具体的な政策が日本のフェミニズムの課題と相いれないものであっても、首相として失敗あるいは短命に終わったとしても、日本の社会における女性の役割について長期的な意識の変化をもたらすのだ」
日本のフェミニストの間では、高市氏を初の女性首相と強調するのには懐疑的な見方が多いようだ。『週刊金曜日』10月31日号の巻頭で田中優子氏がこう書いている。
「自民党総裁が決まった時点で、多くの人たちが海図のない航海に出たと思ったであろう。それほど、高市早苗氏の自民党総裁決定は、日本の暗雲を予測させた」。女性週刊誌では『週刊女性』11月11・18日号が「高市早苗新総理は女性の味方か否か」という特集記事を掲げている。
その高市内閣の人事で話題になったのは、小野田紀美経済安保担当大臣だ。『週刊新潮』11月6日号は「小野田紀美経済安保担当大臣は何者か」という記事を掲げている。そもそも当初は史上最多となる女性閣僚を誕生させると言っていたのに実際は2人だったという政治記者の証言を紹介した後、彼女を起用した高市氏の狙いをこう書いている。「彼女がかねて外国人政策に言及してきた、若手の保守系議員ということがあります」「経済安保相のほか新設された外国人共生担当相も任すことで、政権が外国人政策の厳格化に本気で取り組むという強烈な意思表明になりました」
同記事によると、小野田氏は、アイリッシュアメリカンの父と日本人の母の間に生まれ、少女時代に「ガイジンと言われ石を投げられた」とも語っているという。日本で外国人排斥が広がっていると言われるこの時期にどんな政策を推進するのか。気になるところだ。
(月刊『創』編集長・篠田博之)
2025年11月2日 東京新聞朝刊 11版 17ページ 「週刊誌を読む-『初の女性首相』分かれる評価」から引用
この記事は、うっかり読むとアメリカと日本では高市首相に対する評価が分かれているかのように感じられるが、考えてみれば、アメリカに取っては「対岸の火事」を眺めるような「視点」で物を語るのに比べ、日本では、より身近であるだけに、細かい事象でも大変気になるという「感じ方の違い」が存在するように思います。それにしても小野田議員は、少女時代に「ガイジンと言われて石を投げられた」体験がありながら、外国人労働者に優しく対応しようというのではなく、外国人規制を厳しくしようという主旨の発言が目立つのは、誰しもが気になることろだと思います。