昨日の欄に引用した東京新聞の記事の続きは、解散・総選挙前の自民党高市政権がどのような問題を抱えているのか、次のように論評している;
大阪女子大女性学研究センターの元教授の船橋邦子氏は「『初の女性首相』というイメージだけにだまされず、ジェンダーに関する政策の中身をよく見ていく必要がある。彼女に家父長制的な考えがあったからこそ、自民党の総裁に選ばれたということを忘れてはいけない」と指摘する。
例えば、選択的夫婦別姓導入について、高市首相は慎重な姿勢を続けている。自民党の衆院選の公約では「旧氏の通称使用の法制化を目指す」としている。
船橋氏は「選択的夫婦別姓を望んでいるのは、現状の夫婦同姓に不便があるからだ。結局は二つの姓を併用することになる旧姓の通称使用では問題の根本は解決しない。むしろ、夫婦別姓の議論が停滞するだろう」と懸念を示す。
船橋氏は、立憲民主党と公明党が結成した新党「中道改革連合」にも疑問を投げかける。新党の結成や党幹部が男性議員中心で「女性の顔が見えない」と残念がる。「女性首相を擁する自民党と比べてどう見られるのか、中道改革は考えるべきだ」と注文をつけた。
京都大の高山佳奈子教授(刑法)は「旧統一教会(世界平和統一家庭連合)問題は終わっていない。教団からどんな支援を受けてきたかなど、あまりにも解明できていない点が多すぎる」と語る。
自民党は、安倍晋三氏の銃撃事件後、党内の議員を対象に教団との接点を調査し、公表した。ただ、高山氏は調査が自己申告であることの不十分さを指摘した上で、高市首相自身の教団との関係を問題視する。
高市氏は過去に複数回、教団と関わりが深い日刊紙「世界日報」に登場しているが教団との関係については明言を避けている。
高山氏は「通常国会が始まれば、過去の教団との協力関係について追及されるのは必至だ。国会での追及を逃れるために衆院を解散し、支持率が高いうちに選挙をしたいという意図ではないか」と指摘する。
裏金問題にも目を向ける。自民党は今月21日、裏金問題に関わったとして、前回選挙で非公認などの処分を受けた現職と元職ら計37人に公認を出すと発表。今回は比例代表との重複立候補を認める方針だ。
高山氏は「全く疑惑は払拭できていないのに、裏金議員に党として公認を出すのを有権者として許していいのかが問われている。うやむやなまま終わらせれば、旧統一教会問題も裏金問題もまた同じようなことが起きるだろう」とくぎを刺す。
◆国会審議経ず決定、安倍元首相の国葬
安倍晋三元首相の国葬は、憲法が保障する思想・良心の自由に反するなどとして、国家賠償を求めた訴訟の判決は3月2日、東京地裁で言い渡される。
原告は、市民団体「安倍元首相の国葬を許さない会」の呼びかけで集まった市民をはじめ、大学教授や弁護士ら計827人(訴訟の結審時点)。
国葬は2022年9月27日、東京都千代田区の日本武道館で行われた。当時の岸田文雄政権は、国会を無視し、その審議を経ず、閣議決定で実施を決めた。
原告らは憲法の規定からして、安倍元首相の国葬といった政治的に評価の分かれる重要な問題について、時の政権が国会での単純多数決で意思決定をしてはならず、国民と少数派への配慮が求められる-などと主張している。
訴訟で主任を務める大口昭彦弁護士は「この訴訟は、国民主権という憲法の理念を否定し、政権が一方的に国葬実施を決めて強行したことに対する怒り、抗議と位置付けている。今後も同じことが繰り返されるかもしれない。最高裁まで争いたい」と話している。
(加藤文)
◆デスクメモ
衆院解散の日、安倍元首相の国葬に反対する大学教授らを取材したのは、賛否あった国葬実施を閣議決定だけで決めた当時の政権の判断に疑義があり、防衛力の強化といった国論を二分する重要政策が時の政権の都合で決まっていくことへの危機感からだ。慎重に投票先を見極めたい。(ぶ)
2026年1月24日 東京新聞朝刊 11版 20ページ 「こちら特報部-少数配慮ないがしろ続く」から引用
この記事に登場する京都大学・高山教授も指摘しているように、高市首相とその他の自民党議員の、裏金疑惑と統一協会関連の疑惑など、色々な問題が未解決でうやむやになっているのに、そういう議員に今後も国政を任せて良いのかが問われている選挙であったのだが、選挙の結果を見ると、そのような問題が問われている選挙だという認識を持った有権者は、共産党やれいわ新選組に投票した極わずかの有権者だけで、他の大部分の有権者は、テレビの討論番組でれいわ新選組の大石議員(当時)が首相に関する数々の疑惑について告発する場面を見ても、高市首相が隠そうとする問題の大きさを理解することは出来ず、ただ「高市さんが嫌な顔をしてるのに、大石議員はまったく手加減しないで、これじゃあ高市さんが可哀相」と思うだけで、高市氏が首相にあるまじき問題を隠しているのはいけない、などという認識は全く欠落している、それが日本人の平均的な政治意識であるという現実は、実に残念であり、これはかなり努力をしないと、日本は再び国がほろぶような時代を迎えることになると思います。