約80か国の国連加盟国代表が参加して昨年12月に開催された国連安全保障理事会において、どのような議論がなされたのか、中央大学教授の目加田説子氏は、1月25日付け東京新聞コラムに、次のように書いている;
今年は国連の次期事務総長(2027年1月就任)が選ばれる。国連の機能を高めるために、どのような事務総長が混迷を深めるこの時代にふさわしいのか。どのような国連改革が必要なのか。昨年12月15日に国連安全保障理事会(安保理)で「平和のためのリーダーシップ」と題した会合が開催され、約80力国が参加して加盟国の代表や外部の有識者らが次々に考えを表明した。
参考意見を求められた前事務総長の潘基文氏は「国連は加盟国が望む強さにしかなり得ない」との現実的な認識を示し、安保理の機能不全が国連危機の最大要因になっていると強い言葉で指摘した。同時に、安保理で常任理事国(英米仏ロ中)が持つ拒否権の恣意(しい)的・濫用(らんよう)的運用の抑制などの改革の必要性を訴えた。
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第1次大戦後に設立された国際連盟は米国の不参加が大きな痛手となって、期待された機能をほとんど発揮できないまま時間が過ぎ、第2次大戦を防ぐ力にもなれなかった。その反省もあり、第2次大戦後に誕生した国際連合(国連)は戦勝国である大国を安保理の常任理事国に据え、平和への新たな統治に期待をかけた。
だが現実には常任理事国の利害は錯綜し、米国やロシア(旧ソ連)などが拒否権行使を繰り返して国際社会での国連への失望感が膨らむ主な要因となってきた。潘基文発言はそこを突いたものだった。
会合で米国国連代表部のロケッタ特別政冶問題担当次席代表は、異なる見解を披露した。国連事務総長職がその権限を逸脱して「道徳的権威」を行使していると批判。中絶やジェンダー、気候変動等の課題について国連の立場がリベラル過ぎることへの不満の表明であった。トランプ大統領に象徴される米国保守派の考えを代弁した格好だ。
年が明けて1月7日、トランプ氏は、66の国際機関や条約等における米国の関与停止・低下を指示する大統領覚書に署名した。ホワイトハウスが発表した文書によると、31の国連関連機関、35の国連以外の国際機関が「米国の利益・主権・経済的繁栄に反しているか、米国の優先事項より"グローバリスト的議題"を推進している」と判断された。
こうした選択は、ドナルド・トランプの名前を借りて「ドンロー主義」とも評されている。米国内にあるモンロー主義(米国の勢力圏を西半球に限定する独自主義)と、トランプ流の「取引主義・内向き主義・一国主義」を重ね合わせた造語だ。
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多くの論評が懸念するのは、実際に次々と覚書が実行されれば、個別の政策の変更ではなく国際協力の枠組み全体からの撤退に近い事態に発展しかねないという点だ。国際協力システムへの打撃であり、米国の影響力(ルール形成力)を自ら削(そ)ぐとの批判も出ている。米国の空白をロシア・中国が埋めるリスクや、欧州が協調枠組みを維持・再設計する必要性まで議論されている。
国連と米国の問の深くて広い溝。「国連は加盟国が望む強さにしかなり得ない」とするならば、「国連を中核とした多国間外交」を重視する日本自身も、次期事務総長を誰にするかという問いにとどまらず、どのような国連をどのように生かしていくのか。厳しい現実を踏まえた多国間外交を新たに構想する必要があるだろう。
2026年1月25日 東京新聞朝刊 11版 5ページ 「時代を読む-国連どうなる?どうする?」から引用
トランプ氏はこれまでのアメリカ政府が行なってきた様々な政策の中に、諸外国のためにアメリカの予算を支出する事例が多く存在することが承知出来ず、手当たり次第に「執行停止」を命ずる書面にサインしているとのことであるが、彼がそんなことをするのもあと3年のことで、再選される可能性はないのであり、トランプ氏の支持率が低下しているのは、トランプ流が国民生活を改善するものではないらしいことに、アメリカ国民が少しずつ気付いてきたからであり、賢明なアメリカ国民は、次期大統領にトランプ氏と同じ路線を主張する人物を再び大統領に選らぶということはあり得ないと思います。従って、3年経って4年後にはアメリカは元の常識的な路線に戻ると想定して、今後のことを考えるべきではないかと思います。しかし、日本政府の場合は、アメリカ大統領がリベラルでも保守でも、とにかくへりくだってゴマする以外に対応の方法を知らない政治家ばかりなので、大したことは期待出来ないように思います。