皇位の継承は2600年の伝統などと言うデタラメを公の場で発言する自民党議員が出てきたことについて、法政大学名誉教授で元総長の田中優子氏は、8月21日付「週刊金曜日」の巻頭コラムに、次のように書いている;
「皇室典範改正」に関わる自民党議員や日本維新の会の発言を聞いて、私は仰天し吹き出してしまった。複数の自民党議員が「皇位の男系継承は、2600年以上にわたって先人たちが守り抜いてきた皇統」と公式に発言しているのである。維新共同代表の藤田文武衆院議員は「本年は皇紀2686年」と言ったらしい。これを計算すると、天皇制は紀元前660年から存在することになる。
年表を見ればわかるが、日本はまだ縄文時代だ。世界史の区分では新石器時代である。日本には文字も存在しない。そもそも私は学校で、神武天皇は実在しないと教わった。ではなぜ神武天皇が最初の天皇だと力説するのかと言えば『古事記』『日本書紀』にそう書いてあるからだ。根拠はそれしかない。その根拠で言えば、神武天皇の父は雌のサメから生まれた。文献ではワニとあるが、日本列島にワニはいなかったのでサメのことだ。その母サメは産後、海に帰ってしまった。神武天皇の父が大人になると、母の妹(つまりおばさん)は神武天皇の父との間に神武天皇を産んだ。サメの妹はやっぱりサメでしょう。
「それは神話だ」と言うのであれば神武天皇も神話になる。記紀の記述が事実と言うなら、サメとの近親相かんも事実になる。これを信じる議員たちの頭の中はサメなみにすごい。
では事実を科学的に検証するにはどうしたらよいか。奈良県橿原市に神武天皇陵つまりお墓があるので、その中から骨を取り出してDNAを調べればよい。そうすれば万世一系かどうかも簡単にわかる。127歳まで生きたというが、その真偽も明らかになる。なぜそれをしないのだろうか。
理由がある。この墓は1863年に公武合体政策でなんとか生き延びようとしていた江戸幕府が天皇家に命じられたのか、神武天皇陵だと決めた場所だからだ。根拠は不明である。その後修復が重ねられ、今の形になったのは1940年だというから戦時中だ。恐らく発掘しても何も出ないか、骨が出たとしても誰のものかわからないだろう。サメのDNA入りだったら「当たり」だが。
中国由来の「天皇」称号を最初に使ったのが天武天皇だった。神武から1333年後のことだ。『古事記』『日本書紀』の編纂もこれ以降に始まったので当然、「天皇」と記載している。
詐欺が横行している。私たちにできることは、自分で調べ学び、確かなことだけを心に留めておくことだ。
2026年8月21日 「週刊金曜日」 1581号 3ページ 「風速計-サメのサギにご注意!」から引用
戦前の日本は、政府が「天皇は神様の子孫だ」と号令をかければ、それに異議を唱える者は「非国民」と呼ばれて刑務所に収監され、「天皇陛下は神様の子孫です」と言うまで出てくることができない、そういう社会であったが、今では科学に基づいた歴史観が世間の一般的な認識になっており、天皇が神様の子孫だなどと思う人間は皆無であると、私は思っていたが、優秀な大学を卒業して官僚から政治家になった「優秀なはず」の議員が誰はばかることなく「皇紀2600年の伝統」などと言い出すのでは、もはや「世も末」と思わざるを得ません。しかし、事実は、「皇紀2600年」の根拠は今から1300年ほど前に書き記された「古事記」であり、そこには「神武天皇の祖先はサメだった」と書かれている、それが「事実」であって、「神武天皇の祖先は神様」などとは書かれてはいない、これが「事実」であることを、私たちはこれからを背負って立つ若い人たちに、しっかりと伝えていくべきだと思います。