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カテゴリ:徒然~つれづれ~
小説「オフ会をめぐる冒険」「宇宙消失」の続き
・・・「で、それが何だって?」僕は羊男の前に座った。 「究極の理論(Theory Of Everythinng)が完成すると、この世は大変なことになる。」 (作者注、どんな大変なことが起こるのか、なぜ起こるのかは 「万物理論」のネタバレになるので、これ以上は書けないことをお詫びしなければなりませんm(__)m) 「ところであんたは、この世の力・・エネルギーっていくつあるか知ってるか?」 「力? いろんな力があるよな。」僕は足を組み替えながら答える。 「この宇宙に存在する力は4つだけだ。」羊男は上を見上げる。 僕もつられて上を見た。蛍光灯そろそろ変えなくっちゃな。また頭の片隅がさっきのお返しのように考える。 「重い力、軽い力、電磁力、重力」 「キック力、圧力、パンチ力、消臭力」僕は冗談で返したが、羊男は表情ひとつ変えなかった。 もっとも羊男の表情を読むのは、モリアオガエルの笑顔を見るより難しいけれど。 「それらはみんな4つの力のどれかで説明がつく、いや4つもあってはおかしいんだ、 究極の力はひとつの事象であるはずなんだから。」 羊男は、あたかもすぐそこに宇宙があるような顔つきで宙をにらんでいる。 「宇宙はビッグバンによって、いわば点から生まれた。それが、相転移して、さっき言った4つの力になった。 逆に言えば4つの力の統一に成功すればビッグバンをもたらした力を知ることができるんだ。 うまくいけば宇宙が、それだけじゃなく地球やにんげんが存在している理由がわかるきっかけになるかもしれない。」 「で、統一理論・大統一理論・そして究極理論か?」僕は、あいかわらず蛍光灯をにらみながら答える。 「ああ、統一理論は弱い力と、電磁力をひとつの力にすることに成功した。 強い力、を入れた大統一理論もかなり完成に近づいている。 だけど重力を含めた4つの力の統一は、いまの物理学では、無理だ。 相対性理論や量子力学を越えた新しい理論でも確立されない限り。」 「その候補のひとつが、超弦理論やM理論なわけだな。 それが、今回のオフ会と何の関係が?僕らは誰一人専門家じゃない。 学生の頃は方程式なんてこの世から無くならないか、真剣にお祈りした僕が、究極理論を作るとでも言うのか」 「あんたの頭の悪さについて、いまさら講義を受ける気はないよ。」 羊男は、視線を僕に戻しながら言った。 「いいか、あんたたちにんげんは気づいてもないが、この世はホログラフィなんだ。 9次元の世界を3次元のスクリーンに映したのが、この世だ。」 「君をみていると、よくわかるよ。・・で、それが、今回のオフ会と何の関係が?」 「ホログラフィといっても、神様が天国の映写機から単純にレーザー光線を当てているわけじゃない。」 羊男は両手を肩幅に広げたまま上下した。おそらくレーザー光線のつもりなのだろう。 僕はふと、とんねるずのネタの”角田さん”を思い出した。あれは何年ぐらい前の話だっけ? 「神様の仕事が映画監督で、天使の仕事が証明係じゃなんか悲しいものな。 ・・で、それが、今回のオフ会と何の関係が?」 「送られているのは、いわば情報だ。 そういう意味ではコンピュータグラフィックスもそうだけどな。 そこには、形状や性質という情報もある。 そして物理理論というのももちろん情報だ。そしてそれらはランダムに投影される。」 「ランダム?」 「そうだ、満遍なく平等に、じゃない。 別に神様のような意思を持ったなにかが操っているわけではないのだから。 普通のにんげんはそんなことに気づきもしないがね。この世はだいたい整合性は取れている」 「だけど、量子力学のような極微の世界ではいわばぼろが出る。 確率で考えてもありえないことが平気で起こるわけか ・・で、それが、今回のオフ会と何の関係が?」 「まだ、わからないのか?究極の物理法則の情報が、あんたたちに投影されるって言っているんだ。」 僕は携帯電話の時計表示を見た。新幹線は一本遅らせなきゃ。 ついでにiモードで、「駅すぱ」を呼び出す。 つづく・・たぶん。 (どうやってまとまるのだろうか?作者にも見当もつかなくなってきた) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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