診断:広汎性発達障害 ~ようの場合~

日記

【所見報告書】

診断:広汎性発達障害

よう君は「どうして泣いちゃうのかな」ということで
受診したと述べていました。

よう君にとっては、クラスメートの言葉や振る舞いが
困惑させる毎日であるように伺われました。

友達の気持ち、意図を受け止めるのが難しいよう君にとっては
どうしてなのか、認め受け入れがたいことが多いようです。
そして、どのように近づいたらいいのか戸惑っています。

また、よう君は自分が考え予期していたようにことが運ばないことも
戸惑いを起こす背景要因のひとつです。

一つ一つの出来事によう君の目線でその意図や周りの人の気持ちを
教えてあげながら涙が笑顔に変わっていくよう支えてあげたいと思います。



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【WISC-Ⅲについて】

これは最も頻繁に用いられる知能検査の1つで、
13の課題から成り立っています。

それらは言語を介する課題である言語性検査と
視覚的刺激を捉えて操作する能力を
測る動作性検査に分けられます。

言語性検査には例えば言葉の意味を問う課題や算数課題が含まれます。
また、動作性検査には絵の中で欠けている部分を探す課題や
積み木を用いて示された模様を構成する課題、
パズルや迷路のような課題などから成っています。



*検査時の様子*

課題に一所懸命取り組んでいました。
言語性検査では、検査者のバインダーをいじる、後ろ向きに座る、
足をばたばたさせるなど落ち着きがありませんでした。

動作性検査では、
問題に反応して楽しそうに話を始めたり、
独り言が多かったです。検査者が、メモを取ると、
「何しているの?」と話しかけたりしました。



*WISC-Ⅲ所見*

ようさんは全体的には、平均の知能を持っています。
動作性能力が言語性能力よりも強いです。
動作性能力に発達のばらつきがみられます。

「積み木模様」「組合せ」の得点が高く、
知覚した刺激の要素間の相互関係を認識し、
1つの全体への構成していく能力が強いです。

「記号探し」では、検査途中で、ぽかんとして注意が持続せず、
再び取り組もうとしたときにタイムオーバーになってしまい、
得点が稼げませんでした。

言語性検査の解答には知識の偏りや、
ようさんの独特の理解の仕方がみられます。

例ー「知識」
 4つの季節?・・・秋、冬、夏、普通の天気
 草花が育つのに必要なものは?・・・栄養、ビタミンC

言語表現が不十分であったり、
解答しているうちに本題からはずれていくこともありました。

例ー「単語」
 ジュース?・・・水。野菜とか果物で出来たジュース。
          川の綺麗な水を飲む人もいる。



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【IVA・アクチグラフについて】

IVAとはコンピューターを使った注意・集中と衝動性を
評価するための検査です。

パソコンに現れる数字である視覚刺激と音声による刺激である聴覚刺激に
対する反応を測定します。

「1」が見えたり聞こえたりした時に
マウスの左ボタンを一度だけクリックすることが求められ、
これが約15分間続きます。

このIVAを実施している間に身体の動きを測定するアクチグラフを
装着してもらい、課題の最中の身体の動きを測定しました。



*検査時の様子*

「2」が出ると首を横に振る、「惜しい!」などと
刺激に反応しながら取り組んでいました。

画面をじっと見つめ、疲れてくると瞬きをする、目をこする、腕を振る等
最善を尽くそうとする様子がうかがえました。

足をブラブラさせるなど身体の動きが見られました。
「なんでさ、さっき2が出たの?」と尋ねたりしていました。



*検査結果*

全体的に反応を統制する力(衝動性のコントロール)は、
年齢平均以上持っています。

視覚刺激に対する力の方が視覚刺激よりも強いです。

全体的な注意力は平均より少し劣っていますが、
視覚刺激に対する注意力は平均的です。

焦点付けをする力が優れており、集中力があり、
能率良く反応する力があります。

反応スピードは平均より遅いです。

余分にマウスをクリックすることはなく、
微細運動の衝動統制に問題はありません。

刺激、特に聴覚刺激は頻繁に提示されるよりも、
まれに提示される方がうまく反応できています。
アクチグラフは万歩計のように身体の動きを数値で表します。

ようさんの平均数値は年齢を上回っています。


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