ユメとあたしの初めての・・二重人格の自分。社会人の自分=まじめな優等生+男まさりな自分。 だった。 ユメに見せている自分もそうだった。 弱音なんてめったにはかない。 逆に、いつもユメを励ますくらいの、きもったまな感じだった。 しかし、あるとき二人で飲みにいって、 店舗の愚痴をさんざんはいて、 (あ、ユメはお酒を飲みません。) 送ってもらって、いつものように、 うちのマンションの前で車をとめて、話していた。 彼氏の話になって、あたしは今までにないくらい不安定なときで、 愚痴ってるうちに弱気になっていって、 はじめて、泣いて、ユメに不安をはきまくった。 ユメがはじめてあたしを女の子として見たときだった。 泣いているあたしを、ユメは、 ぎゅーーーっと抱きしめて、よしよしって、 背中をさすっていてくれた。 こんな風に男の人に抱きしめられたことなんて 一度もなかった。 すごく安心した。 抱きしめていたあたしを、ユメは一度放し、 うつむいて、とまらないあたしの涙を、 何度も何度も優しくぬぐってくれ、 “泣き止んだ?大丈夫??” と問いかけられ、 あたしは顔をあげて、思わず目が合ってしまったユメには、 月明かりがあたって、今まで見たことのない 心配そうな表情をしていて、 ドキっとしてしまった。 まだ嗚咽はとまらず、でも必死にユメを見つめるあたしに、 ユメはそっと、優しく、キスをした。 自分の思いがけない行動にびっくりしたんだろう。 ユメはちょっと動揺し、またあたしを抱き寄せ、 “ごめん。” と、あやまった。 “ううん。話を聞いてくれて、ありがとう” その日は、お互いおとなしく帰った。 ジャンル別一覧
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