カテゴリ:【如水・壺公慷慨】
【Photo of the Day= Unfomiliar_Beach = by N.Geoglaphic】 【B.G.M. of the Day= Santana - Oye Como Va =You_Tube/jp】 【虎子/ココの誇顧/ココ; 彷徨癖者・如水が愛犬のココ(ボクサー犬)の悲嘆・感嘆 / 05月01日】 イスラエルとサウジの接近で思い出す、日本大使館のスパイの話
= NewsWeek_Column_2017年04月25日 イスラーム世界の現在形 保坂修司 米国の中東政策を形成するのに重要な役割を果たすのは当然、国務省の近東局というところで、責任者は通常近東担当次官補になる。 このポジションは政治任用だが、実は4月25日現在きまっておらず、したがって、米国の中東政策の概要がみえてこない。 ティラーソン国務長官は、石油会社出身のくせに、失礼ながら中東のことを理解しているとは思えず、独自の中東政策を打ち出せるとは考えづらい。 たまたま在京米大使館員と話していたら、政治任用はかならずしも専門家である必要性はなく、政治的影響力(大統領との距離など)のほうが重要なことが多いといっていて、たしかにそのとおりなのだが、火薬庫みたいな中東に、火炎放射器をもって乗り込んでいくような人はやっぱりご遠慮いただきたい。 肝心要の近東局の頭が決まらない状況で、誰が中東政策で影響力をもつかというと、曲がりなりにも職掌として中東が含まれている、トランプ大統領の女婿、ジャレッド・クシュナー大統領上級顧問となるのだろう。 正統派ユダヤ教徒でもある彼の一族の金がイスラエルの入植地に回っているなどという説もある。こうした色のついた人物が中東政策の要になった場合、政策も特定の方向に引っ張られかねないのではないかと、わたしのようにアラビア語を生業とするものは危惧してしまう。 アラブ諸国の盟主の役割を果たさねばならないサウジアラビアは、トランプ大統領の反イラン的発言に気をよくしており、先日のシリアでも「完全に支持」というように、もろ手を挙げて賛成の状態である。 そうでなくても、核合意でイランが国際社会に復帰する目が出てきた段階で、サウジアラビアの苛立ちは相当高まっており、しかも頼みの綱の米オバマ政権はまったく頼りにならなかった。 天敵のはずのイスラエルと接近などといった報道が目立ってきたのも、それを反映したものだっただろう。 イスラエルとしても、イランという共通の敵ができて、サウジアラビアの役割は重みを増しているのかもしれない。 ここ数年、両国から発せられる反イランの言説が、嘘くさい部分も含めて、びっくりするほど似通っているのは、示し合わせているんじゃないかと邪推したくなるほどだ。 モサドがわたしの職場でスパイをリクルートしていた しかし、イスラエルがもともとサウジアラビアにそれほど強い関心をもっていなかったのはいろいろな資料からうかがえる。少し古いが、ビクター・オストロフスキーという人が書いた『モサド情報員の告白』(TBSブリタニカ、1992年)という本がある。 この本によれば、少なくともイスラエルの諜報機関、モサドはサウジアラビア関連情報をそれほど重視していなかったらしい(とはいえ、いろんなかたちで接点を維持していたのは本書でも描かれている)。 この本のオリジナル英語版が出たころ(1990年)、わたしはサッダーム・フセイン時代のイラクにおり、この本がベストセラーになったことなど知る由もなかった。 だが、その後、サウジアラビアに移り、そこで本書がサウジ駐在外交団のあいだで大きな話題になっていたのを知ったのである。 モサドの内情暴露本が外交団で話題になるのは別に珍しいことではあるまい。 だが、本書がサウジで話題になったのは、もっと特定のことのせいであった。 実はこの本にはモサドがサウジアラビア国内でエージェントをリクルートしていたと書かれていたのである。 さすが、モサド、サウジアラビアにもスパイをもっていたんだ、と感心している場合ではなかった。 なぜなら、モサドがスパイをリクルートしたというのは当時のわたしの職場だったからである。 念のため、邦訳のその部分を引用してみよう。 ≪私がモサドにいた間にサウジアラビアでおこなわれた勧誘は、日本大使館のある館員におこなわれた一回だけである。それだけだ。(125頁)≫ また、別のところにでも日本大使館のスパイの話が登場する。 ≪われわれの(サウジアラビア〔引用者註〕)デスクは、ガニトを頭とするヨルダン・デスクのそばにあった。どちらも重要なデスクとはみなされていなかった。当時のモサドがサウジアラビアに持っていた情報源は一つしかなく、それは日本大使館内のある人物だった。あの地域からもたらされるその他の情報は総て、新聞、雑誌その他のメディア、それに8200部隊がおこなう徹底した通信傍受に仰いでいた。(169頁)≫ ちなみに、本書英語版にはもう1か所、「在テルアビブ」日本大使館への言及があるのだが、なぜか邦訳では出てこない。何か差し障りがあったのだろうか。 最初の引用部分の「館員」は原文では"attaché(アタッシェ)"であり、二番目の引用にある「ある人物」とは"a man"である。したがって、スパイは男性で、しかもアタッシェなので、外交官とはかぎらないことになる(「容疑者」が誰かは知っているんですが、諸事情ゆえ書きません。 もちろん、わたしではないです)。 サウジアラビアとイスラエルの関係に変化が訪れている サウジアラビア・イスラエル間に国交はない。 両国国交樹立の条件としてサウジ側は、イスラエルが1967年に占領した地域から撤退すれば、アラブ諸国はイスラエルと国交を結んでもいいというアラブ・イニシアティブを明らかにしている。 だが、イスラエルがそれを受け入れる予兆はまったくない。 他方、昨年サウジの退役将軍アンワル・エシュキーがエルサレムを訪問し、イスラエル政府関係者と会談し、イスラエルのメディアのインタビューを受けている。 少なくとも彼が逮捕されていないことを考えれば、両国関係は明らかに変化したとみるべきだろう。 現時点でサウジアラビアがイスラエルと国交を結ぶメリットはまったくないが、水面下でやっていたはずの接触が表に出てきたことにはそれなりの意味があるはずだ。 【参考記事】米国がイスラエルの右翼と一体化する日: http://www.newsweekjapan.jp/kawakami/2016/11/post-24.php 【参考記事】トランプ蜜月の先にある中東の3つの課題 : http://www.newsweekjapan.jp/kawakami/2017/02/3.php 【参考記事】死と隣り合わせの「暴走ドリフト」がサウジで大流行 : http://www.newsweekjapan.jp/hosaka/2016/05/post-1.php 【参考記事】サウジ、IS、イランに共通する「宗教警察」の話 : http://www.newsweekjapan.jp/hosaka/2016/04/is.php 古都 老翁がいた。 翁は愛犬を愛で朝夕の散歩に伴う。 翁は大壺を持ち、夕刻 酒を片手に壺に躍り入る。 くぐもる声で語る傾国の世辞は反響し、翁の安息を妨げ、翁はなす術も無く自笑。 眠りに落ちた。 ---------下記の姉妹ブログ 一度 ご訪問下さい-------------- ・・・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2017/05/01 06:00:06 AM
コメント(0) | コメントを書く |
|