浪漫孤鴻 【 壺公仙人の独行・独白 】 涯 如水

2023/05/13(土)05:30

虎子の誇顧 3223_欧州の脱炭素は”血塗れの石炭” _2

★忘備忘却録/きょうの過去帳・狂★◆ 少し遅れたくらいで刀の鞘を放り投げる等ブチ切れまくっていた佐々木小次郎に、宮本武蔵が巌流島で激しいツッコミを入れる(1612年=『二天記』による)。◆ 仲間と強盗しようとしたがドジ踏んで警察から逃げ回った果てに瀬戸内海で客船を乗っ取った20歳の青年が、ライフル銃で銃撃戦を展開した挙句大阪府警察の狙撃手にバキューン!!されて死亡(1970年)。◆ JR東日本が、鉄道史に燦然と輝く名言「E電」を発表する(1987年)。 【彷徨癖者/如水の愛犬 “ハクとココ”が悲嘆・感嘆 / 令和4年05月12日】 ​脱炭素はどこへ?「血まみれの石炭」に手を染める欧州 =後節=​ =Wedge_Onliune 【World Energy Watch】 2023年4月11日/ 山本隆三 (常葉大学名誉教授)/ へとへとになった途上国  高騰したエネルギー価格によりコロナ対策で傷ついた途上国の財政状況はさらに悪化している。電気料金の高騰は生活にも大きな影響を与える。加えて、高くなったLNG、石炭を購入できないため途上国で停電が発生している。  脱炭素を進める先進国が途上国での化石燃料と関連インフラへの投資を行わないので、老朽化する石炭火力発電設備、輸送の鉄道網の補修の資金もない途上国ではさらに停電が広がる。  石炭生産国南アフリカでは、老朽化した石炭火力の故障が続き、停電が頻発している。昨年10月には、5つの石炭火力発電所が同時に故障する事故さえあった。  世界銀行から援助はあるが、石炭火力を再エネに転換する資金援助だ。南アフリカ政府とEU米英独仏政府との間で85億ドル(1.1兆円)の投融資計画が合意されているが、脱炭素のための資金だ。誰も今の石炭火力と停電問題を助ける気持ちはないようだ。  先進国による脱炭素の影響を途上国が受けるのも、先進国が化石燃料を買い漁り途上国が停電に追い込まれるのも理不尽だ。脱炭素を進める欧州諸国、特に、石炭と天然ガスを買い漁り、さらに人権問題で非難していた国からも化石燃料を買うドイツに対し欧州各国は眉をひそめる。それにより、途上国はますます化石燃料を購入できなくなる。 「血まみれの石炭」を買う欧州  昨年のサッカーワールドカップ開催国カタールは、欧州諸国から人権問題を非難されていた。スタジアム建設に従事した外国人労働者が劣悪な作業関係で多数亡くなったことと、賃金が支払われなかったケースがあったとされたことがその原因だった。  ロシアの侵略開始直後、ドイツのハーベック経済・気候保護相はカタールに飛び、LNG出荷を要請した。カタールのエネルギー相は、「石油、天然ガスを掘る企業は悪魔のようだと非難していた国が、いまはもっと掘れだ」と皮肉たっぷりにインタビューに答えている。  9月のドイツ・ショルツ首相のカタール訪問後、11月に26年開始の15カ年長期契約が発表された。世論調査を見る限りドイツ国民の多数はカタールからのLNG購入を問題なしとしている。  欧州は石炭の購入でも同じようなことを行っている。コロンビアの炭鉱は先住民族を圧迫している上、環境問題を発生させていると、欧州諸国は非難している。「血まみれの石炭」との報道もあった。  アイルランド最大のエネルギー企業ESBは、16年に今後コロンビア炭を購入しないと発表した。ロシアのウクライナ侵略後ESBはコロンビアから石炭購入を再開したと、コロンビアのエネルギー相が発言し、ESBは釈明に追われた。  ドイツもコロンビア炭購入量の削減を図り、16年の購入量789万トンから21年は177万トンまで落ち込んでいた。ドイツ・ショルツ首相は、EUが8月10日からのロシア炭輸入禁止を発表する2日前の4月6日、当時のイバン・ドゥケ・コロンビア大統領に「個人的に」電話し、コロンビア炭の出荷増を要請したと報道された。  この電話は功を奏し、22年ドイツのコロンビア炭の購入量は前年同期比約4倍になった(図-7)。10月までの輸入量は452万トン。もっとも、購入価格も21年1月の60ユーロから、22年10月には340ユーロに上昇している。 人権侵害があろうとも環境汚染問題があろうともものともしない、なりふり構わない欧州諸国の姿は、エネルギーは国の生命線であり最重要課題であることを示しているようだが、二枚舌と非難されても仕方がない。 米国も人権よりガソリン  エネルギー調達と人権問題を引き替えたのは米国も同じだ。米国は19年にベネズエラに対する経済制裁を発動し、原油の輸入を制限した。しかし、ベネズエラからの原油、重質油がないと米国メキシコ湾岸の製油所は操業ができない。ベネズエラから重質油が輸入できなくなった製油所は、ロシアからの重質油の輸入に切り替えた。  米国メキシコ湾岸の精油所は、ベネズエラ、サウジアラビアなどからの重質油を利用する設計になっている。国内のシェールオイルは軽質油なので使用すると製油所の効率が大きく落ち込んでしまう。シェールオイルを輸出に回し、重質油を輸入しガソリンなどを精製しているのだ。  ロシアのウクライナ侵略後の昨年3月に、米国はロシア産化石燃料の禁輸を決めたが、その直後からベネズエラに石油権益を持つ石油メジャー・シェブロンを使い、製油所に必要なベネズエラ産原油の輸入を再開するとの観測が流れた。  昨年11月下旬、米国はベネズエラに対する経済制裁を緩和し、シェブロンの原油輸入を認めると発表した。南米の政治状況の変化が、制裁緩和の理由とも報道されているが、本当は必要な重質油を輸入するためだろう。米国も、やはり人権問題よりガソリンが重要なのだ。 欧州の轍を踏んではいけない  日本も欧州諸国に歩調を合わせ、30年温室効果ガス46%削減、50年脱炭素に向け突き進んでいる。機関投資家、金融機関も欧州を見習い脱炭素・脱石炭に一直線だ。  途上国を苦しめるエネルギー不足、価格上昇の状況を作り出した最大の戦犯は、世界の化石燃料の需要と供給リスクを考えずに、脱炭素、脱石炭を進めた先進国政府、機関投資家、金融機関ではないか。  EUとの比較では石炭火力への依存度が高く、発電の7割以上を火力に依存している日本が同じように脱炭素進め、エネルギー価格を引き上げる炭素価格まで欧州に倣って導入することを検討している。  立ち止まり、欧州と途上国の状況を良く見る時期だ。なにが、ここまで石炭価格を上昇させたのか。炭鉱経営から撤退したエネルギー企業、商社に加え、脱炭素の旗振りをしている金融機関、機関投資家もエネルギー価格上昇、途上国での停電を引き起こした責任は誰にあるのか考えるべき時だ。  化石燃料依存度が高い日本は、エネルギー価格の上昇を防ぐために十分な供給を得る状況をいつも作り出すべきだ。身勝手な欧州の脱炭素政策から学ぶべきことは多い “途上国を停電と飢えに追いやる先進国の脱化石燃料”に続く・・・・・ 古都 老翁がいた。 翁は愛犬を愛で朝夕の散歩に伴う。 翁は大壺を持ち、夕刻 酒を片手に壺に躍り入る。 くぐもる声で語る傾国の世辞は反響し、翁の安息を妨げ、翁はなす術も無く自笑。 眠りに落ちた。  ---------下記の姉妹ブログ 一度 ご訪問下さい-------------- 【壺公夢想;如水ホームページ http://thubokou.wordpress.com/】【閑仁耕筆;冒険譜・歴史譜  http://blog.goo.ne.jp/bothukemon】・・・・・                                                                                           クリック 宜しく・・・・・・ 再会を期して, 涯 如水 ・・・・・

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