カテゴリ:翻訳について
最近なんだか深刻な話題を書くことが多かった気がするので、今日は少し明るい話題をと思い、私が在宅フリーランス翻訳者として歩み始めるまでのことを書いてみたいと思います。
題して『A success or not? ー 翻訳の初仕事をつかむまで』。 ・・・・・・ 2004年12月、私はある病気と共に歩みはじめることとなりました。 当時の私は、たぶん誰から見てもどん底の状態でした。 恋人がいない。(・・・あるあるあるある) 仕事がない。(・・・あら大変、はやく見つけないと) そして健康まで、なくしてしまった。(・・・お気の毒に) *カッコ内は予想される世間の反応 およそ20代の若者なら誰だって手にしたいもの、もしくは普通に手にしているものを何も持っていないような、ないないづくしの私でした。 ・・・が、なんというか、人間落ちるところまで落ちれば、むしろ開き直れるものなのかもしれません。 私にとっては落ちていく過程の方がよほど辛くて。 健康まで失ったときは、それは確かに辛かったけど、おみくじで凶を引いてしまったときと似たような感覚というか。つまり、もうこれ以上落ちることもそうはないだろうと。 というわけで、それからしばらく治療に専念して動けるようになってきた頃には、もうかつてのように自分で自分を追い込まないで、やりたいことをやりたいようにやってみようと思うようになっていました。 それまでの自分は、「大学まで出してもらってアルバイトなんて親にも申し訳ない・・・」なんて、一生懸命アルバイトをしている人に対して申し訳ないようなことを思っていたと思うし、そもそもプライドが高くて上昇志向が強かったような気がするけど、そんな自分とはさよならして、まずはできることから始めてみようと決めました。 ・・・・・・ 私は塾講師のアルバイトを探し始めました。 昔、短期間だけ塾講師をしたとき、英語を教えることが思いの外おもしろくて性に合っている気がしていたのです。 けれども、最初のうちは断られることが続きました。どうやら中途半端なフリーターよりも、身元がしっかりしている大学生を雇いたいというようなニュアンスで、採用試験すら受けさせてもらえなかったのです。 いやー、世の中厳しいもんだ。 めげそうになりましたが、なんとか諦めずに応募を続けていた結果、とある学習塾が私を採用してくれました。 当時はネットよりもまず電話で応募を始めることが多かったのですが、私がその塾に電話をかけると、すごく明るい声の女性が元気に応対してくれました。 その後はとんとん拍子で採用試験・面接へと進み、あっという間に採用が決まりました。 のちにわかったのですが、最初に電話で話をしたのはその塾の塾長で、曰く、「初めてあなたの声を聞いたときから働いてほしいと思ったのよ!」とのこと。 捨てる神あれば拾う神あり。 世の中には色々な人がいるものです。自分を受け入れてくれない人もたくさんいるけど、何度断られても諦めないで頑張り続ければ、「あなたがいい!」と言ってくれる人にも出会えるんだな、ということを身を持って知ったのでした。 ・・・・・・ 塾講師は本当に楽しかった。 英語を教えることはおもしろくて、そしてなによりも、毎日頑張っている生徒たちの姿に私はいろいろなことを教えてもらいました。 その一方で、私は別のゴールを目指していました。 それは、在宅翻訳者になることで、大学時代からの夢でした。 幸いその時点で、英語力に関しては英検1級もTOEIC950点もクリアしていたし、翻訳経験に関しては翻訳会社とメーカーでチェッカー(*翻訳された文書の校正などを行う仕事)や社内翻訳を経験していました。 では、私には何が足りないだろう? 私が採用担当者だとしたら、私がどういう人であれば、翻訳を任せられると思うだろうか? 私にはわかっていました。私には圧倒的に翻訳経験が足りないということを。 翻訳会社で働いていたのは1年と数カ月で、メーカーでの翻訳業務もたった半年だったのです。 両方合わせても、2年にも届かないぐらい。 さらに、私には専門知識がない。 翻訳を仕事にしていくならば、何か専門分野を持った方がいいという話は嫌になるほど聞いていました。例えば、技術とか、医療とか、金融とか、特許とか、法務とか・・・。 けれども、大学の英文科を出ただけの私には、英語の知識はあっても他の知識は皆無なのでした。 英語力は、まあまあクリアかもしれないな。 職歴は、心もとない・・・。 専門知識は、ナシ。 なんだかなあ・・・という自分の状況を眺めつつ、どうしようか悩んだ末に、まずは専門知識とまでは行かなくても、得意分野ぐらいはつくってみようと心を決めました。 そして私が選んだのは、法務分野。 理系が苦手だった私が、技術も医療も特許も、うまく訳せるはずはない。 新聞の経済面を読みながらしばしば首を傾げている私が、金融を語るのも相当危なっかしい。 残るは法務・・・そうだ、法務なら、文系の私でもなんとかなるのではないか・・・? そんな希望を抱きつつ、法務分野を得意分野とするために、私がしたことは2つ。 まず、合計2社の通信講座で、法務・契約書の翻訳を基礎から上級まで学びました。 次に、翻訳スキルに加えて法律の知識も身につけようと思い、資格の大原に通い、ビジネス実務法務検定の3級・2級を取りました。 ビジネス実務法務検定は、3級は社会人なら身につけておきたい法律の基礎知識が出題されるので合格率も高めなのですが、2級は当時はやや難易度が高かったので合格したときはうれしかったですね。 それから採用時に、意外と評価を得られるのが、パソコンスキルを証明することなのではないかと思います。 実務翻訳って「依頼された文書を訳せばそれで終わり!」という案件よりも、原文のWord文書などに自分が訳した訳文を貼り付けたりレイアウトを微調整したりして、文書をある程度見栄えよく仕上げるところまで要求されることも多いのです。(だから実際の仕事では、テキストを貼り付けてレイアウトを整える時間も見据えつつ作業を進めていく感じになります。) さてこの時、Word・Excelの基本的なルールぐらいは頭に入っていないと大変。 さらに、原文の文書の作成者がWordやExcelに詳しい人で、いろいろな機能を駆使してその文書を作成している場合があり(これが私はとても怖かった)、そうなってくると、こちらもそれらの機能をわかっているか、たとえよくわからくても多分この辺をいじればなんとかなるだろうぐらいの見当がつかないと、文書を編集するときけっこう大変なのです。 ・・・ということもあり、私は独学で、Microsoft Office Specialst(WordとExcel)を取得しました。バージョンは2003。古いな~、時代を感じますね。 というわけで、整いました・・・資格だけは。 英検1級 TOEIC 950点(当時) ビジネス実務法務検定 3級 2級 Microsoft Office Specialst(Word・Excel) これらの資格は、その後の私をものすごく助けてくれることになるのですが・・・。 一時はどん底に落ちるも、塾講師をしながら勉強しまくった私がその後どうなっていくのか・・・。 それは《つづく》! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2018.04.23 21:53:04
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