2022/10/19(水)05:00
A事業所の困った人の㊙続回想録3
第3章 充実した心理プログラム Z事業所では心理プログラムが充実していたと、前回の座談会で黒蜂さんが発言されていたので、具体的な話がスタートしました。 「臨床心理士がスタッフとして常駐してプログラムを担当しているのは非常によかったです。治療をする場所以外で臨床心理士のいる事業所は少ないと思います。精神疾患の方を対象に就労に向けて数多くの心理プログラムはすべて質が高かったし、指導も厳しく、時間と場所が空いていれば、いつでも気軽に相談ができたので、メンタルサポートもよかったです。」 これに反応して揚羽さんが続きました。「わたしは自分では解決できない困りごとと悩みごとを臨床心理士に相談して励ましてもらったり、慰めてもらったりしましたよ。時々、厳しいことをさり気なく言われることもありましたけど。」 そして、自己管理と計画設定の話を黒蜂さんが始めました。「自己管理プログラムやスモールステップで計画を立てて助言をくれて、生活リズムの安定につながってよかったですよ。Z事業所の最大の特徴は、認知行動療法や解決志向をプログラムとして受けられるので自己管理と計画設定にかなり役に立ったですね。」 一方、揚羽さんはうつ病の再発防止策を学んだと発言しました。「わたしは再発防止のヒントが得られたと思っています。うつ病は再発率が高いそうで、ネガティブなことで悩み続けて頭がグルグルしてしまう思考は、長引くと抑うつ状態に陥ってしまうという話を聞きました。グルグル思考が始まったことに気づくようになったので、再発を防止できていると思います。」 水を一口飲んでさらに続けました。「わたしは認知、行動、感情、身体反応における自分の注意サインをしっかりと掴み、再発を未然に防止できるヒントが身につきました。当時はよくわからなかったのですが、今に注意を向けてありのままを受け入れ、価値に沿って行動することを重視したマインドフルネスやACTなどの高度な心理療法を学んでいたということを最近知りました。」 この話が終わり、間ができたので当方から黒蜂さんに質問をしました。「ところで、須関久さんはどんな感じで心理プログラムを受講していましたか?」 「彼は心理プログラムは合わないというか、何をしているのか理解できていなかったと思います。 宿題はやってこないし、努力をしないし、その割には何で上から目線なのか、本当に迷惑で、ファシリテーターも呆れていました。」 話題を変えて、最後に、黒蜂さんが心理プログラムの効能について語りだしました。「よく分からない精神世界から解き放たれ、症状が全て改善されて、生まれ変わったような好調感でした。貴重な心理プログラムによって特に、15年やめなかったタバコを辞めれた時の心身の清々しさと言ったら経験したこと無かったです。自身の心理や思考、意識の世界を客観的に心理学でマネジメントしていくというのが当たり前のようで、中々出来なかった大事なことなんだと改めて思いました。」
※このブログは精神疾患を負っている本人を中傷する意図はありません。精神疾患のイメージを悪くしている困った人たちの存在を隠蔽するのではなく、世間の方々に広く知っていただくために描いています。その困った人を、一事業所だけでの解決が困難と思われるので、社会全体として解決、もしくは救済する方法をこれから模索していくことが大切だと思っています。なお、就労移行支援事業所に通所している、精神疾患者のほとんどの利用者は、就労訓練を通じて社会復帰を目指し、真面目に訓練を受けていることを追記しておきます。
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