Na欠乏型脱水に等張電解質輸液を投与すると・・・。
血漿や組織間液に水分・Naを補給できます。
別の表現を用いれば、血管内や組織間に水分やNaを補給できます。
もう少し具体的にいうと、
・ひどい嘔吐の場合には、胃液が多く失われるので、胃液の成分であるCIイオンを多く含む生理食塩液を主に投与します。
・ひどい下痢の場合には、腸液が多く失われるので、腸液の成分であるHCO3イオンの代用となる乳酸(もしくは酢酸)リンゲル液を主に投与します。
生理食塩液や乳酸(もしくは酢酸)リンゲル液は別名細胞外液補充液と呼ばれています。
もうお気づきの事かと思いますが。
等張電解質輸液では細胞内液に水分を補充できません。
なぜならば、浸透圧が同じだからです。
拙日記12月15日 体液について11 浸透圧と張度2 に書きました通り、浸透圧差がないと、細胞膜で隔てられた組織内液と組織外液で水の移動はないのです。
ですから、等張電解質輸液を投与しても、細胞内液に水は補給されないのです。
※今まで書きそびれてきましたが、実際の臨床においては、Na欠乏型脱水と水分欠乏型脱水が混じりあった混合型が一番多いそうです。
ですからドクターは様々なデータから高度な判断をし、輸液を選択しておられるのでしょう。
実際に「最近食欲がなくて、水分もあまりとっていないようだ(徐々に水分が喪失=水分欠乏製脱水)」+「ひどく嘔吐をし始めた(急な体液の喪失=Na欠乏型脱水)」などは起こりえるのでは無いでしょうか。
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初めてここを訪れる方には小難しく感じられるかもしません。でも、もしかしたらただ耳慣れないだけかもしれない、と思っていただけないでしょうか?耳慣れないことと難しい事は違うと思うのです。
腎不全で苦しむ猫さんを減らしたい。と思って続けているブログです。