2005/09/29(木)18:36
ケンちゃんの101回信じてよかった 宮脇康之(3)
[ケンちゃんの101回信じてよかった-宮脇康之から]
「ケン坊、ここに座んな」
石原さんは指で自分の膝を指し示した。
言われる通り、ぼくは石原さんの分厚い膝の上にチョコンと腰かけた。
「よう、ケン坊、お前が飲むジュースはここに置いてないけど、大人用のジュースはあるぞ」
そう言って、石原さんは、持っていたグラスになにやら茶色っぽい液体を注いだ。…
「ケンちゃん飲みたいのかい」
「ウン」
そう答えると、裕次郎さんはグラスをぼくの口もとにすっと近づけてくれた。
ゴクン。
一口飲んでみて、「ウェ~」となった。
「おじちゃん、苦いよ。飲みたくないよ、こんなの」
しかめ面をするぼくを見ながら、裕次郎さんは「そのうち、これがなくちゃいられなくなるんだぞ」と、いかにも楽しげに笑ったのだった。
この「予言」はあとで的中することになるのだが、豪放磊落(ごうほうらいらく)な裕ちゃんのあの笑顔を、いまもときおり思い出すことがある。
[管理人-読後感想ひとこと]
この時石原裕次郎さんはTVドラマ「太陽にほえろ!」の撮影の為に大型のキャンピングカーで隣のスタジオに来ており、昼休みにそこへ呼ばれたのだった。
小学生に昼まっから、ビールを飲ませる大人がいますか!?そう叱られそうですが、ボス(太陽にほえろ!での愛称)なら仕方ない…故人でもあるし許せます。
また「ブラックレイン」や「探偵物語」などでしられる松田優作さんとキャッチボールをしたこともあるとか…。
そしてケンちゃんがいうには、“存在感のある俳優がいなくなった”といいます。そういえばそうかもしれません…
「主役は意固地なほどプライドを持って演じていた。」と。今は誰がいったい主役なのか分からない…と。そういえばそんな気もします。脚本通りにワンカットワンカットが繋がって出来たものが今のドラマ…。俳優よりも吉本芸人のほうが気になる時代ですよね。(ちなみに島田紳介さんやクリームシチューが好きです)個性的な役者は少ないと感じます。
バブル時代は、ドラマの現場も活気に満ち溢れていて、スタッフに勢いがあり、時間と予算がたっぷりあり「そこには職人気質の役者さんがわんさといて、それぞれが自己主張していた」とケンちゃんはいいます。
ドラマの現場の世界は私には分かりません。しかし、確かにこだわりがある俳優さんや芸人さんは、ドラマや番組を自分の個性で引っ張ってる所があるのですごく面白くなっているものを感じますよね。
職人技が噴出するシーンを私達視聴者は楽しみにしているという点が確かにありますね。
いやーケンちゃんって、面白いこといいますね~。
乱筆乱文誤字脱字お許し下さい。
(宮脇康之の本)