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テーマ:暮らしを楽しむ(393729)
カテゴリ:ブリッジ
ブリッジの元といわれる「ホイスト」とは、どんなカード・ゲームだったのでしょう。 『トランプものがたり』(松田道弘著:岩波新書'79)に書かれていました。 * * * 「ホイスト」の遊び方 * * * 52枚のカードを、4人に配ります。1人の手元に13枚が渡ります。 向かいあった2人がパートナーとなり、隣り合った2人とペアで対戦します。 カードの強さは、Aが一番、次がK、Q、J、10……2。 切り札の決め方は、ディーラー(カードを配る人)が、全員に配り終えて、 最後のカードを表向きにしたときのスーツ(スペードなどの印)が、切り札となります。 最初に1枚出して(オープニング・リード)、ゲームをはじめるのは、ディーラーの隣の人。 他のプレイヤーは、同じスーツをフォローして、 なければ切り札でトランプする(勝つ)か、 ディスカードし(捨て)ます。 一番強いカードの人が、この回(トリック)をとり、次のカードを出します。 13トリック(13巡)したら、ゲームは終了。 6トリックとることを「ブック」といい、それ以上多くとったら、ポイントとなります。 * * * * * * う~ん、面影がありますね。 切り札を使うゲームは、いろいろとありますが、 コントラクト・ブリッジの子ども版、ミニ・ブリッジを、より簡素化したような感じです。 「ホイスト」は、イギリスの上流社会にふさわしいゲームではないと思われていたため、 当初は、それほど普及しなかったのですが、 1742年に『ホイスト小論』という本がベストセラーとなったことから、 一大ブームが巻き起こったそうです。 そうして、あっという間に、上流社会でもプレイされるようになった、とのこと。 1743年には、「ユーモア・オブ・ホイスト」という笑劇が上演されるほどの人気ぶり。 舞台化されるということは、それだけ広く浸透していた、ということが、わかります。 ホイルさんが考案した「ホイスト」に関する書籍『ホイルのゲーム』は、 17版を重ねて読み継がれ、類書も、どんどん出版されていきました。 1862年以来、版を重ねた『キャバンディッシュ・オン・ホイスト』では、 ゲームの規則や、エチケット面が、細かく、厳しくルール化されていたそうです。 プレイの場を提供していたクラブが、あまりにも独裁的な権威をふりまいたために、 それまで広く楽しまれていた「ホイスト」の人気は衰え、 20世紀のはじめになると、すっかり息絶えてしまったようです。 「ホイスト」は、それまでに、十数種類にも、プレイ形態が枝分かれしていたらしいので、 そこに、現在にも通じるブリッジの要素が、 たとえば、ビッド(切り札を決めるせり合いのオークション)や、 ダミー公開(トリックを宣言した人のパートナーは、プレイせずに全カードを公開する)、 などなど、新たに加えられて、 コントラクト・ブリッジの原型が作られていったそうです。 19世紀の終わりから、20世紀始めにかけての出来事でした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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