7月大歌舞伎(3)海老さま、獅堂さま、勘太郎さま
歌舞伎鑑賞には、一幕見席もあるようですが、地方から駆けつけるので、しっかりと席をおさえておきました。歌舞伎の演目、理解できるでしょうか……。昼の部は、「五重塔」(幸田露伴作)。自然界の脅威にもへこたれない、頑丈な五重塔を建てるまでのお話です。主役は、大工役の中村獅堂さんと中村勘太郎さん。獅堂さん演じる源太は、りりしい親分肌。勘太郎さん演じる十兵衛は、細部にこだわる芸術的職人肌。十兵衛は、みんなから「のっそり」と呼ばれており、リーダー的要素が、ちょっと欠けているタイプ。春猿さん演じる十兵衛の女房・お浪のサポートで、なんとか事件を乗り切り、無事、建立するまで務めあげるのでした。春猿さんは、瞳が美しい~。ものすごく絵になる美形の女形さんですね。女房のストレートな感情を、うまく表現されていました。勘太郎さんは、男形を演じられましたが、「天守物語」では、亀姫役。「夏祭浪花鑑」ではお辰役。女形も演じられる方だったのですね。夜の部は、夏らしい演目、「夏祭浪花鑑」。主役は、市川海老蔵さんです。獅堂さんも、兄弟分として登場。初心者に、わかりやすい歌舞伎らしさが詰まっていて、ものすごく楽しめました。出所したばかりなのに、暴言を吐く義父に耐え切れず、殺めてしまう団七九郎兵衛(海老蔵)の葛藤、自身に対するおどろき、とまどい、もうしわけなさ、等の複雑な感情が、迫って感じられました。花道も有効的に使われていて、表情もよく拝見できました。歌舞伎は、わかりにくいもの、ねむくなるもの、という固定観念や恐れがありましたが、江戸の人情を扱った、時代物の演劇なんだなぁ、と実感。歌舞伎の表現に、ちょっぴり開眼したみたいで、はまりそう~、な予感です~~。