『阿修羅のジュエリー』
気になる本を借りるついでに、図書館の新刊コーナーをのぞいたら、おもしろそうな本があったので、ごっそりと借りてきました。そのうちの1冊が、『阿修羅のジュエリー』です。著者の鶴岡真弓氏は、アイルランドやオリエントの装飾文化に関するエキスパートです。タイトルがいいですね~。阿修羅とジュエリーを、どうお料理した本かしら、と表紙を開いてみたら、いつもの雰囲気とはちがって、カジュアルな体裁だったので、発信側の前のめりな姿勢が、伝わってくるようでした。文字のフォントが大きく、すべての文字にルビがふってあるのですよね。ふんだんに写真が取り込まれていますが、カラーの部分が、美しく出るタイプの紙質なので、目にも手にも、しっくりと馴染みます。読者に気軽に読んでもらおう、という意図が感じられました。そのねらい通りに、わたしは、借りて帰ったその日の夜までに、読み終えてしまいましたよ。明治期、西洋から入ってきた、きらびやかなジュエリーに、日本人は、いたく感動し、最先端のお洒落を、積極的に取り入れることに、夢中になって、がんばってきた感がありますが、実は、きゃーきゃー騒いでいた日本人憧れの西洋装飾ジュエリーは、もともと、アジアから影響を受けて発展したものなので、逆輸入して喜んでいたんだよねぇ、という事実が明らかにされています。自分たちの装飾文化に、もっと誇りを持っていいんだ、ということが、西洋の美術品や、歴史ある仏像装飾を証拠品としながら、わかりやすく語られているのです。うすよごれた色をしていても、8世紀生まれの国宝・阿修羅さんは、ハンサムですね。きりっとした目元に、すらっとした背丈、長くて、細い腕。若々しさを感じます。でも、気になるのは、ふくらはぎから足首にかけて、大根っぽい形で太めで、下駄をはいた足は、白くま君のようにぶ厚いこと。よく歩いたのでしょうね。偏平足だったのかしら、と推測しています。阿修羅さんは、怒りを表現した赤い仏像だったそうです。誕生当初の色彩を、20世紀に再現した復元像は、目に鮮やかな極彩色をまとい、表情も雰囲気も印象も、まったく別人のよう。ぱっと見では、同一人物だということが、わからないぐらいですね。現物を、見比べてみたくなりました。さて、阿修羅といえば、うちの白くま君『祈り』。ほのぼのとした表情をして、色白ですが、祈りのポーズが、阿修羅っぽいのですよ。と、自分で解説しておきます~~;。手は、ふとっちょですけどね(笑)。