やっぱり読書 おいのこぶみ

2005/10/29(土)17:11

「林真理子の名作読本」林真理子(文春文庫)

読書感想(317)

本屋へ行く。文庫の今月の新刊が平積みされている。それらを眺めるのは楽しい。 パラパラとめくって気に入ったのを見つけるとつい買ってしまう。 そんな一冊。 理由は目次の54冊のうち「私が読んだの多いなー」(31冊もあり、読書傾向に親しみ覚えた)と思ったから。また、この私のブログもマンネリだから参考になるかもしれないとちょっともくろんだ。 名作のひとつひとつが生き生きとしてくる54の文章である。読んだ本も読まない本も興味がわく。 ご本業だから文章がうまいのは当たり前だけど、こういうふうに書けたらなーと思う。ユーモアとたくみな話術だ、いや筆力だ。繰り出される文章がきらりとしていてはっとさせられる。 例えばカポーティの「冷血」のところでこういう文章がある。 『ノンフィクションを読むというのは、知的な作業である。それでは小説を読むのはどうなのかと問われそうなのであるが、こちらははるかに感性が重要になる』に続けて『例えば、好きな作家のものだったら、駄作と呼ばれるものまで大切に読むのが小説の不思議さだ。』 私がとてもほっとしたところである。そんな経験が最近は多い。 また、通して読むと立派な恋愛論の一冊にもなっているからすごい。 初出が「CREA」で単行本の題が「20代に読みたい名作」だから、取り上げた本がそうなのだろう。それに世の中、男と女のことがでてこない本は少ない。林真理子という作家のキャラクターもそうさせるところがある。 2章には文章読本のおまけもありとても勉強になったが、私ごときがまねもできない気がしてきた。 「勘違いの文章」にある文章で、普通の人が下手に何か書いても『誰もあなたのことなんか知りたくないのだ』にはガツンとやられた。正論である。本ブログ続けるのが嫌にもなる。ああもう、自分の覚書でいいのだ!とうそぶくしかない。 ちなみにここに取り上げられていて私が持っているのに読みそこなっている本5冊。 「限りなく透明に近いブルー」村上龍 「太陽の季節」石原慎太郎 「淋しいアメリカ人」桐島洋子 「白州正子自伝」白州正子 「新版 ロレンス短編集」ロレンス この本の文章に接して読みたくなった本7冊。 「楡家の人々」北杜夫 「愛人 ラマン」マルグリット・デュラス 「冷血」カポーティ 「予告された殺人の記録」G・ガルシァ=マルケス 「ヴェネツィアの宿」須賀敦子 「ジョイ・ラック・クラブ」エィミ・タン 「風の盆恋歌」高橋治 「検察官」パトリシア・コーンウェル 文章の書き方を学ぶはずが、読みたい本を増やしているだけだった。 2章「林真理子の文章読本」を再読 追加 普通の人が下手に何か書いても『誰もあなたのことなんか知りたくないのだ』にはガツンとやられた。正論である。みもふたもない。本ブログ続けるのが嫌にもなる。と書いたが、しかし、ちゃんとフォローしてくれている。どうしても知らせたいことがあるなら『面白いものを書く、これに尽きる』と。 ユーモアは先天的なものであるから、誰にでも出来るものではないとも述べているが、それも客観性を持ってあたれば成功する可能あり、客観性こそ大切であると。 ページ数にして40ページ足らずの「文章読本」だが、難しい理論より私のような素人にとってわかりやすいのがありがたい。 『何のための「いい文章」か』『「いい文章」とは何か』『「駄文」とは何か』『「色をつける」と言うこと』『リズムを作る』『勘違いの文章』 短いから何度でも読むことにしよう。

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