やっぱり読書 おいのこぶみ

2019/02/03(日)18:13

悲しみよ こんにちわ

読書感想(317)

新訳が出ていたので朝吹訳とどんな風にちがうのか、興味本位に読む。『悲しみよこんにちわ』サガン(河野万里子訳)あとがきに小池真理子さんが書いているように、朝吹訳=サガンの世代。よくなったのかどうなのかわたしにはわからないが、 わかりやすく洒落たいまふうの描写にはなった。あの15歳に読んだ時のみずみずしさはもう感じられない。あたりまえ。ただあのとき、ストーリよりも陽光まぶしい南仏の海 白い別荘 松林の緑 時間とお金があるヴァカンス 自由な女と男 恋愛の妙味 ある階級かないもしないあこがれであった。その後 訳者朝吹さんも著書『わたしの巴里・アンテーク』により ベルサイユにあるご自身のお屋敷の写真集とおいたちで そういう環境、階級のひとと知り、 複雑な思いもしたのであった。とき経て、 文化も環境も上昇(偽っぽいが)したようで カルチャーあくがれは無くなったが おかげで 新鮮さも薄れ、ストーリーも平坦になってしまったのは 否めない。悲しいような追いつき。それでも20世紀のフランス文学上の一傑作なのだろう、フランス語がわかれば。

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