やっぱり読書 おいのこぶみ

2015/08/18(火)08:46

翻訳の調べ

読みたい本、注目の本(32)

いま、ガストン・ルルー『オペラ座の怪人』日影丈吉訳を読んでいる 知っているようで映画か演劇で観たのであって、原作は初めてこの日影さんの訳がおもしろい、というか 昔の翻訳調がたりが、この謎多き物語を陰影深くして印象付けていると思う わたしはそういう訳の調べに酔ってしまうのだもちろん日影丈吉さんは古い人に属するので 「ホンヤクチョウ」になるのかもしれないが この本は1985年に新訳決定版となっていて(でも30年前か~)比較的新しい(笑つまり何を言いたいかと言えば そういう翻訳調がなつかしく、昔はみんなこれだった しかも、日本語の小説まで「ホンヤクチョウ」になってるのがあったなぜ昔は小難しく、もってまわったように訳をつけたのだろうか それはひとつに漢文の素読の素養があったからでは? 漢文に返り点や一~三をふって読む例えば中国語の杜甫の絶句(詩)こうみどりにして鳥はいよいよ白く=江碧鳥逾白 山は青くして花はもえんと欲す=山青花欲然 (以下略)のように日本語読みにする方法を昔の人が考案していたのよ そのなごりかなあ、英語やフランス語訳でも持って回った言い方や 難しい漢字を使っているしねほんと、小難しい小説でなくても例えば大久保康雄さんの『風と共に去りぬ』だって 村岡花子さんの『赤毛のアン』(改版される前)も難しい漢字の訳語が多々あった いちいち辞書で調べたものだ、それも勉強にはなったのだけれど ストーリーを追っている身にはもどかしかったもの新訳ブームで「わかりやすく」「現代語に近づけて」がもてはやされ わたしも興味を持って読むのだが、昔読んだ者には「はずされた感」もなくはないあ、この「なくはない」も漢語調か?

続きを読む

総合記事ランキング

もっと見る