やっぱり読書 おいのこぶみ

2021/02/19(金)14:15

『夜また夜の深い夜』桐野夏生

読書メモ(479)

桐野夏生さんの小説は突き抜けているから好きだ。欲を言えば最近は少し勢いがないか。 今はイタリアのナポリのスラムで生活しているマイコは、母親とアジアやヨーロッパのスラム街を転々と移り住み、教育も受けられず、友達も持ってはいけない、母親には秘密がある、という中で成長した。「日本人の娘」らしいと思うのに、国籍もIDもないマイコは淋しい根無し草か? あるきっかけからマンガカフェを経営する日本人に出会い、カフェで日本のマンガに魅せられ耽読する。自意識の発見、家出、友人、事件展開、変化していくマイコ。桐野さんのスピード感ある筆は、しだいにマイコはどこの誰でもないと粋がっているデラシネではない、解き放たれるデラシネだと気が付かされでいくのを描いている。 巻末、金原ひとみさんの解説がいい。積んである『蛇にピアス』を読もう。 ​

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