やっぱり読書 おいのこぶみ

2021/04/08(木)18:39

No3 石川達三(昭和の作家)

昭和の作家探訪(新聞切り抜きから)(8)

​​​​​​​​​No3 石川達三 <いしかわ たつぞう> (1905~1985)80歳で歿 小説家。秋田県生。早稲田大学中退。昭和10年『蒼氓』で昭和10年度第一回芥川賞受賞、作家として認められる。14年『結婚の生態』、15年『母系家族』、16年『風樹』を発表、戦後も『望みなきに非ず』『風にそよぐ葦』『人間の壁』『四十八歳の抵抗』などを著した。 その他の作品 『青春の蹉跌』『幸福の限界』『僕たちの失敗』 ***** 「わが小説」(1962年朝日新聞コラム)に『人間の壁』をとりあげている。書いたのは57歳、だから氏がまさに脂が乗りきっている時、だが、 ​ 一つの小説を書くという事は、一つの闘いを完成することだ。私は自分の作品の一つ一つに新しい主題を置き、新しい問題を追求する。  ​​外科手術のように、人間生活のなかの幹部を切り開いて、病根を取り出そうと努力する。手術がうまく行くこともあり、何とも手ぎわの悪いこともある。  私の創作態度は人体の美を鑑賞するものではなくて、人体の患部を切開しようとする種類の仕事だ。一見残酷に見えることもある。しかし医家は鬼手仏心という。わたしの残酷さは、人間への愛情、というよりは人間への欲だ。 ​と、何とも堅苦しい理詰めの作家に思われる。しかし面白みばかりが小説ではない。渾身の力を込めて二年半がかりで『人間の壁』を執筆、名も知れぬ大勢の人たちに支えられ、当時の教育問題をえぐった作品になったのであるという。 ***** 当時わたしはやはりちょっとねと敬遠しており、それでも読まなくてはならない作家には思っていて、中年になってから『幸福の限界』という作品を読んでいるが、内容はもうすっかり忘れている。 最近『青春の蹉跌』という文庫本が目に飛び込んできたので、先ずはそれを読もうと思った。 ***** このシリーズ、放置していたのだが自分のために再開。 なにしろ50年以上も前の切り抜きだから、根気の長い話だ。 ​ ​​​​​​​​​​

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