2022/09/23(金)20:12
もう一度読みたくて
『君たちはどう生きるか』吉野源三郎
もう、出かけないわけにはいきませんね。
そんな時に本屋さんにもつい寄ってしまいます。目についた本がこれ。
前に記事にしましたが、その時は手元に本がなく、40年前の読後記憶で書きました。
今回改めて再読してみて、古びていない素晴らしい作品であると再認識しました。
この岩波文庫(1981年初版)は原作1937年の初版を(旧字体旧かなづかいはなおして)採録したものでした。
わたしが昔読んだのはたぶん原作を現代風にした児童文学でしたよ。中学(1956年)教科書のもその線に沿っていたのでしょう、そういう時代でした。なんでも現代風にするというような。だからといって『君たちはどう生きるか』の真髄は伝わっていましたけど。つまり14歳のわたしのこころに響いていたから。
しかし、今回本当の原作を読んでみて、1930年半ばから1940年にかけての昭和時代(わたしや夫が生まれたころの戦争の足音が高い時代)が彷彿と浮かんでくる名作です。中学生が自我に目覚めるときの教育的場面ばかりが響くのではありませんね。現代にも通じてくる普遍的なメッセージがあるんです。
巻末の丸山真男さんの回想録にも、原作のまま中学生に読んでほしいと望んでいたとありましたが、さもありなんです。読み直してほんとに良かったです。