2021/07/15(木)19:59
幸せになる勇気 岸見一郎 ◎
アドラー心理学の入門書としてベストセラーになった「嫌われる勇気」の続編である。
本書では、「嫌われる勇気」で語られていた「自立すること」をさらに掘り下げている。
後半では愛とは何か、幸せになるためには、ということが書かれている。
・アドラー心理学では「課題の分離」という考え方で、「自分の課題」と「他者の課題」を切り分けて考える。
例えば自分が上司に嫌われているとすると、人はどうすれば気に入られるか、認めてもらえるかを考えるが、アドラーはそれは間違っていると断言する。
他者がどのような判断を下すか、どのような感情を抱いているのかは自分にはわからない。
ゆえにそのようなことを考えることには意味はなく、それは自分の人生ではなく他者に生きることになる。
あなたは他者の期待を満たすために生きているのではない、また、他者もあなたの期待を満たすために生きているのではない。
→私のことで言えば、今まで上司の顔色を伺ったり忖度していた。
そうすることがいいことだと思っていた。
前作「嫌われる勇気」を読んだのはここ2週間ほど前であるためまだ日は浅いが、この考え方に出会ってから他者の評価や会社の評価を気にしないこととした。
生まれてから30年以上、社会人になって10年以上の年月が経っているため、
すぐに大幅に変わることはできないが、それでもこの考え方を意識するだけで自分の気持ちが楽になり、生き生きしている。
また、周りの反応を気にしないことで逆に周りの反応も良くなっている気がする。
・われわれは誰しも、客観的な世界に住んでいるのではなく、自らが意味づけした主観的な世界に住んでいる。
→共感とはもしも私がこの人と同じ種類の心と人生を持っていたら、と考えることである。それは決して、もしも自分の立場に置き換えたら。。。と考えることではない。
自分の心を相手の身におくことで共感が生まれ、他者に寄り添うことができる。
・人の相談事は、「悪いあの人」「かわいそうな私」の2つしか語っていない。
思い悩んだ人間はこの2つしか語っていない。
→自分が勝手に他者がどう思っているかを想像して、自分を悲劇のヒロインに仕立て上げているのだ。自分で勝手に作った檻の中で。
・叱るという行為は教育上なんら効果がない。
叱る相手を下に見ていることであり、人間関係に上下関係を作っている。
叱る人は相手を支配させ従順にしたいだけである。
悪いことをする子供というのは、共同体の中に所属感を求めてそのような行動をわざと起こしている。
叱っている人は、コミュニケーションをすることを煩わしく感じて、手っ取り早く屈服させようとしている。
そして自分の支配下においておきたい。自立されることが怖いのだ。
→会社でもそういう人がいるが、故意的であれ故意的でないにしろ、
叱る相手を支配下においておきたい、自立されて自分を超えられるのが怖いのではという意識があるのではないか。
・学校から競争原理をなくして横の関係、協力関係になること。
→青年と哲人の会話では学校における教師と生徒の関係について書かれているし、アドラーもまた子供の教育について書いているのだが、会社に置き換えて考えることもできる。
会社なんかまさに周りとの競争であり蹴落とし合いである。
・承認欲求は他者の人生を生きることになる。
「あの人」の期待を満たすような生き方を選んではいけない。
→他者からの評価ばかり気にすると自分の人生を生きることができない。
非常に窮屈な人生になる。
自分も上司の評価や世間体を気にして生きてきたが、そういう生き方はもうやめた。
・賞罰は子供の自立を妨げる。
自分はまだ子供はいないが、子供がテストでいい点を取ったときにご褒美を与えてあげるべきなのかどうか。アドラー心理学では子供を褒めることは上下関係を作り自立を妨げるということが言われている。
しかし、報酬を与えるとそれに向かって努力するし、脳科学的にもドーパミンが活性化されていいという。
・相手と一人の友人として接する。
子供や家族と上下関係ではなく対等関係であるということ。
もちろん目上の人には敬意を払わなければならないが、
人間として、相手を理解するという意味において、対等な関係になることで共同体感覚をもつようになる。
・他者を信じることが大事であるが、それは他者を信じるにあたっていっさいの条件をつけないこと。
信用とは相手のことを条件付きで信じるが、信頼は無条件で信じること。
他者を信じることは信頼するということ。
そして、その人を信じる自分を信じること。
そのためにまず、自分が自立すること。
自分は自分であるという意識を持つこと。
自分は他者の人生を生きるのではない、自分の意思によって自分の人生を生きるのだという意識。
・大切なのは、何が与えられているかではなく、与えられたものをどう使うか。
これは7つの習慣でも第一の習慣で言われていることである。
7つの習慣では、主体的になるためには与えられた環境でどう振る舞うかが大事だと述べられていた。
・愛によって「わたし」から「わたしたち」へ。
他者を愛することでようやく大人になれる。
いかにすれば愛されるかを考えてはいけない。
愛されるよりも愛すことが大事。
・愛することが自立することである。
運命の人というのはいない。
運命の人を探している人は、幸せはどこかからやってくる、運命の王子様が目の前に現れて来ると思って、ありもしない理想に当てはまらない人を排除している。
他者に期待した生き方をしている。
それが出会いがない人と嘆く人の正体である。
うまくまとめられていないと思いますが、アドラー心理学を自分のものとしていけるように
何冊か読んでいきたい。
幸せになる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教えII【電子書籍】[ 岸見一郎 ]