2010/11/21(日)02:39
「アンビエント・ミュージック 1969-2009」
1978年に「ミュージック・フォー・エアポーツ」
でブライアン・イーノがアンビエント・ミュージックを提唱してから30年がたった。
いわゆる「環境音楽」なのだが、本書ではヒーリング・ミュージックやニュー・エイジは相手にしていない。
イーノ本人が、グラムロックからアンビエントを経て、U2やトーキングヘッズなど多彩なミュージシャンをプロデュースした流れとも重なるのだが、「時代性を有したポップ・ミュージック」というくくりが大まかに設定されているようだ。
編集・監修は三田格(赤塚不二夫の本の編集は、この企画で赤塚りえ子さんと仕事したから実現したのか?)。
「スタジオボイス」で特集した内容に、加筆して再構成している。
年代別ディスクレビューを本文として、ジ・オーブのアレックス・パタースンらアーティストや関係者のインタビュー、コラムをさしはさんで飽きさせない。
60sサイケデリック・ミュージックがアンビエント・ミュージックとノイズに分岐し、アンビエントはさらにチル・アウトを経てラウンジとモダン・ドローンに分岐した・・・という指摘はなかなか言えている(分かる人には分かるけど、分からない人にはさっぱりな文章だね)。
個人的には、80s~90sに浸った音楽(コクトー・トゥインズとかマイブラッディ・ヴァレンタインとかキャブスとか)が、このアンビエントの文脈で語られていたりして楽しめる。
ただしサイケデリックもチル・アウトも、ドラッグを前提としているから、麻薬規制の厳格な日本では、同じ音楽体験とはいえないかもしれない。
マイ・キャット・イズ・アン・エイリアンのインタビュータイトルが印象に残る。
「音は音でしか言い表せないことを言葉にする」
誰もが気になっていて、誰も手をつけなかったアンビエント・ミュージック。
ディスクの選択はかなり偏っているものの、名著だと思います。