044364 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

読書日記blog

読書日記blog

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Profile

w.yu

w.yu

Calendar

Recent Posts

Category

Archives

2024.10
2024.09
2024.08
2024.07
2024.06
2024.05
2024.04
2024.03
2024.02
2024.01

Keyword Search

▼キーワード検索

Freepage List

Rakuten Card

2006.10.25
XML
カテゴリ:教養・実用
佐藤卓己
『言論統制 情報官・鈴木庫三と教育の国防国家』
中公新書

言論統制

「日本思想界の独裁者」として悪名高き情報官「鈴木少佐」の真の姿に迫る。

言論統制機関が始動し始める以前から、マスコミは戦争熱をあおり読者を増やしていた。当時のメディアは、国民の精神を動員する非公式の宣伝者の役割を自ら担っていた。その事実を隠蔽する為に戦後の言論界は、戦時中の軍部や政府を支持し戦争を賛美してきたのは、強制されてのことだったと主張し始める。マス・メディアが、責任回避のための生贄として選んだのが、情報官鈴木庫三少佐だった。

世間に定着した、野蛮で横暴な「鈴木少佐」が出版界を恫喝し言論を弾圧していったという構図を再検討する為に、本書はその生い立ちから晩年までの鈴木庫三の生き様、思想を丹念に調べていく。そこに見えてくる姿は既存のイメージとは大きく異なるものだった。極貧の生活を苦学の末脱け出した鈴木庫三は、陸軍でも野心を持ち内務班改革に熱心に取り組んだ。日本大学を首席で卒業した後、大学院倫理教育学専攻の助手を務める。陸軍派遣学生として東京帝国大学で教育学に目覚め、教育将校として「教育の国防国家」を説くようになる。鈴木庫三はステレオタイプの陸軍軍人とはまったく異なるタイプの人間だった。
なぜ、そのような鈴木庫三が、「鈴木少佐」として疎まれることになったのか。鈴木庫三の日記と、文化人による「鈴木少佐」についての言及とをつき合わせて、本書は真実に迫っていく。双方の理念と利益が複雑に交錯する、「紙の戦争」と「趣味の戦争」の

私は、非常に真面目で向上心の強い鈴木庫三の生き様には惹かれた。戦後もぶれることなく一貫して自身の信念を曲げることなかった鈴木庫三に比べると、時節に合わせて主張を変節させた人々が卑小な存在に思われる。ただ、鈴木庫三あまりにも実直すぎる生き方は、他者との摩擦係数が高い。自身の信じる正義を真剣に追求すればするほど、周囲との対立を招き、自身の目標達成の障壁となる。どちらの生き方がよりよいのだろうか。
私も基本的に真面目人間かつ頑固なたちなので周囲とよく揉めることがある。しかし、最近は私も「丸くなった」ようである。二年ぶりに再会したかつての私を知る先輩からそう指摘された。また、この頃、頑なな正義追及に接すると、もっと柔軟になってくれよと感ずることも多くなった。以前ならば自分と違う意見ならば真っ向から対立したのだろうが、最近は…。
言論統制とはあまり関係のないコメントではあるが、鈴木庫三の生き様に、そんなこともぼんやり考えさせられた。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2012.04.08 01:30:46
[教養・実用] カテゴリの最新記事



© Rakuten Group, Inc.
X