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ぼたんの花

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2008/05/14
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『靖国ってところはね、一種の劇場空間みたいなところなんですよ』李監督が編集の大重さんに言った言葉。まさしくそのもの八月十五日の靖国は何十年も時間が止まったままのようだ。

靖国で、それぞれの立場で主張する人々のなかに、自分の姿を見つける人も多いのではないだろうか。これは八月十五日に靖国に集まる人々の特殊な例ではなく、靖国に行かない人たちの中にもまた存在しているものだと思う。

それは、日々のちょっとした話の中での話題や、このブログを始めて関わった人たちの中にも垣間見える風景であり、私自身も、他の人とのやり取りの中で、自分の心の奥にあったものが鮮明に出てくるものでもある。

レイトショーであったので、上映までの時間つぶしに先にプログラムを買い、読んでいたこともあり、李監督の内にあるものも、やはり靖国に集う人となんら変わりの無い、心情であると思う。作る側の視点、撮られた人々の主張、いずれも視点の方向と高さが一致している。

『二十四の瞳は、自己欺瞞の映画』と評した私の尊敬する、佐藤忠男さんも『これは日本、及び日本人についてのすぐれたドキュメンタリーである。』とプログラムに書かれている。

が、確かにドキュメンタリーではあるけれど、これは『上質な喜劇』、まるでチャップリンの映画のような出来栄えに私は思える。すぐれたドキュメンタリー映画として観るより、私は、質の良い喜劇としてみて素晴らしい映画だった。

一般公開にあたり、再編集されたのかもしれないが、そこに映し出される人々、軍服をまとった時代錯誤の主張に、佐藤忠男さんは、『日本社会の表面には現われてこない軍国主義時代へのノスタルジーあふるる大東亜戦争肯定論者たちの軍服姿のコスプレの恐るべき稚気の噴出が見られて、』と表現している。まさしくこれは靖国に集う人たちだけではない、ということ。

この映画に出演されている人たちは、稚気であったとしても別の意味で純粋培養された人たちの集まりだろう。刀匠も軍服姿の人も、ぼこぼこに殴られてパトカーに乗せられた青年も、星条旗を持って入ってきたアメリカ人も、靖国神社の職員も、台湾からの人々も、あの稲田議員もまた純粋培養された人。

それぞれの人々の行動の中に、日本人の本質が案外隠されている。この映画は、鏡かもしれない。
その本質の中には、この映画の公開に際しての、ゴタゴタも含め、この映画に文化庁が助成金を出していることも日本的であるし、この映画を作るにあたって、日本政府からの助成金を貰った、という中国人監督もまた、それぞれにお国柄を映し出している、ということもある。鈴木邦男さんが、この映画に日本政府が助成金を出した、ということは、最近、誇れることのないなかで、これは日本としての誇りである、と言った言葉を思い出した。


・・・・・しかし、不純物が約二名、それは石原都知事と小泉元首相、この二人のご意見は、ヘドロです。どうしょうもない産業廃棄物。よくもまあヌケヌケとそんなことが言えますなぁ・・・・・

靖国参拝者の中で、星条旗を持ったアメリカ人が、『小泉さんを支持します』というプラカードをかかげて入ると、数名が寄ってきて握手を求めたり、喜んでサインまで求める、この一般のアメリカ人にサインを求める、という行動も戦後の日本で、よく見かける風景であり、満面の笑みで握手を求める光景も日本人の白人に対するコンプレックスの表れだろう。



だが、そのアメリカ人に向かって、文句を言う人もいた。『俺たちは、小泉さんの靖国参拝だけを支持しているのであって、他も支持しているわけじゃないよ。年次改革要望書もあるんだから、こんなアメリカ人になんか騙されるな!帰れ!帰れ!』というようなことを言ったおじさん一人。右翼の中には勉強している人もいる。このアメリカ人を歓迎しない人もいる。というより、靖国の心は遊就館に聞け!ということなら当然のごとく”Yankee Go Home!”ということになるはず。しかし、このアメリカ人に対する日本人の感情は、この二つ、サインを求め満面の笑みを浮かべて歓迎する人、騙されるな、Yankee Go Homeと言う人。昔の左翼と右翼は、この点に置いては共通していた。今の日本は、右翼、左翼というより、この二点で分かれている。とても不思議。




現代の靖国を映すと喜劇になる、ということ。それぞれが心の中にあるものを覆い隠さず、そして国から言われるのではなく、自分自身の目と耳と足で、歴史の一つ一つを自分なりに紐解いてみる、そして議論をしてみる、という作業を私はこれからもして行こう。






Pete Seeger - We shall overcome靖国プログラム





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Last updated  2008/05/14 06:03:01 PM
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