派遣切りとカミユ

2009/02/02

(8)

昨日、NHKの教育テレビに辺見庸さんという方が出ていた。秋葉原＆土浦事件についての考察、それにカミユの”ペスト”という小説を引用して話されていた。この番組が放送されることをメールで教えてくれた人がいる。観ようと思っていても、つい忘れてしまうので、一時間前からテレビを点けて見逃さないようにしていた。

ネズミの死骸があちこちで見られるのに、人々は、その現象を直視しようとしない。そして、殆どの人が治療法が無いペストに感染して死んでしまう。絶望することより、絶望になれてしまうことのほうが恐い、とも言っていた。人が、１人の人間としてではなく、機械部品の一つとして扱われてしまう。これは、去年観た映画”いのちの食べかた”の状態に似ている。牛やブタのことだ、というより私たち人間も同じような扱いをされている。

ケータイに依存する辺見さんは、犯人Kと共通することがある、Kがケータイで書き込みをした”リア充”という言葉の意味が、すぐにわかったそうだ。リアルが充実しているという意味。ケータイを二台持っていることも辺見さんとKとの共通点。辺見さんの年代でケータイ依存症ということが、私には理解ができなかった。二つのケータイを持ち、もう一つの自分のケータイにメッセージを送るという。

Kが起こしたことは、人間が、今の状況に適さない、拒否反応を起こしている、という現象として辺見さんは、二つの事件を捉えている。

首都圏の電車は、毎日、と言っていいほどに”人身事故”がある。この人身事故とは、自殺であるのに”人身事故で電車が遅れて”と案内する。そして、この状態に人々は慣れてしまっている。”飛び込み自殺があり”と報道すべきじゃないだろうか。”線路内に人が侵入して”というアナウンスもある。こんなに頻繁にあるのに、人々は、慣れてしまっている。自殺する人が弱いのか、ずるいのか、病気なのか、それぞれに人は批判するが、理由はどうであれ、この状態は、異常であることには間違いがない。

自殺に電車を選ぶ人が極端に多いのではなく、樹海に行ってしまって行方がわからない人や、他の方法での自殺も多いのは、推して知るべし。それでも、人々は、現実に目を向けない。大会社が派遣切りをするようであれば、中小企業や零細企業で”正社員”であった人も、何年か前から大変な状況であったであろう、それなら中高年の自殺が多いのも頷ける。地方では静かに餓死者が増えているそうだ。

『守り抜け個人資産』副島隆彦　著に　経済査問委員会のメンバーであった、国際基督教大学の八代尚宏教授が正社員と非正規雇用の格差是正のために、正社員の待遇も非正規雇用にあわせることも必要、それが企業の利益に結びつく、とも発言したと書いてあった。全ての労働者を奴隷化させる目的があり、そうしてあげた収益は、いったい何処にいくのか？あの竹中売国奴さんは、それでもアメリカに投資しろ、と叫んでいる。

米国での金融派生商品が8京円・・・・これは、異常な数字。

以前、湯浅誠さんの講演を聴いたときにも確かに言っていた。非正規雇用の労働条件が悪化するということは、正社員の待遇も悪化することだと。自分には関係の無い事、としていてもいずれは、治療法も無いペストに感染していること。湯浅さんの講演は、”ついで”に聴いた講演だったが、”憲法9条を声高に叫ぶ人が多いけれど、25条をもっと大切にしてください”と湯浅さんが言った意味が今、とても理解できる。

この派遣村のテレビ報道は、一切観ていないので、どう報道されたか気になっていた。普段ならスポンサーが命のテレビ、この問題は、いままで無視され殆ど報道されないのに、普段は、時事問題などに無関心な知り合いのご近所さんまで、テレビを観て”派遣村にカンパしようかしら”と言っていた。辺見庸さんは、派遣村の報道を批判的に見ていた。

派遣村に来た人、それぞれ個別の事情があるのに一つに括ってしまっている、派遣切りする企業もあれば、援助する人たちもいる、という形におさめて美談にしている。優しさや、思いやり、人の善を商品化して、実際に起っていることに対し、コーティングして報道し、物事の本質をたくみに見えなくしている、というような批評。なるほど。

そういうテレビの報道だけで派遣村をみれば、やはり、いろいろな批判も出てくるでしょうね。

トヨタの元社長が郵貯銀行の取締役に納まり、ミサワホームは、竹中売国奴さんのお兄さんが関係し、トヨタに売却され、簡保の宿は、これまた宮内売国奴さんが全てを一括購入、これに与党がストップをかけたら、竹中売国奴さんが、また産経でわめいている。

政府は、国民の生命と財産を守る義務がある、と何処かに書いてあったが、いったい竹中売国奴さんは、どういう人なんでしょうか。それに加えて小泉さん、宮内さんと売国奴たちが、今でも大きな顔ができるのは、世も末でしょう。

漢字訂正しました。　　　押して＜推して

お気に入りの記事を「いいね！」で応援しよう

Last updated 2009/02/03　12:36:09 PM
コメント(8) | コメントを書く

[日常・映画・本・その他] カテゴリの最新記事