★ テレビドラマ 『のだめカンタービレ』 を糾弾・爆砕せよ!!!!
もー、許せない。 ぜ~ったい、許せないわ。 もちろん、ドラマ版『のだめカンタービレ』のことよ。これまで私、ドラマ版『のだめカンタービレ』って、見てこなかったわ。 なぜなら、私は大の『のだめ』ファン。 指揮者ミルヒーが、竹中直人って、許せるわけないじゃない。 おまけに主演が上野樹里。 たしかに、映画『スイング・ガール』は良かったわ。 で、「ジャズの夢よ、もう一度!」とでも言いたいわけ? あんまりじゃない。 そうなの。 私、見ると、絶対怒っちゃうって、分かっていたのよ。 だから見るのを我慢していたの。 ところが、周りから聞こえてくるのは、雑音ばかりなのよ。 「のだめカンタービレは、とても面白いね」「竹中直人に味があるんだよ」「原作をきちんと踏まえて作られて好感が持てる」「原作が生かされている」 嘘よ!嘘だといって!お願い!!それでも、私、半信半疑だったわ。 ミルヒーは、どうやらドイツに帰ったみたい。 これで竹中直人を見なくてもすむわ。 そろそろかな、と思って、FMラジオで、とうとう、音声のみだけど、ドラマ番組を聞いてしまったのよ。 もー、ちょー、最悪。 死ね、って感じ? どうして、番組内で使われるBGMが、みんなクラシック曲ばかりなわけ? 『銀河英雄伝説』アニメ版で、ドラマにクラシックが似合わないことは、とっくに知られたことじゃない。 古典期ハリウッド映画だって、BGMは通俗クラシックばかりよ。 クラシック音楽は、存外、使われていないのよ。 クラシック音楽を使いまくるのは、それこそ田舎モノのコンプレックスでしかないの。 私、見ていて、とても恥ずかしかった。 それでも、ガーシュウィンや、ロマン派音楽なら、私、耐えられたわ。 ドラマチックだし、素敵な曲も多いわ。 それなのに、どうしてバロック音楽の最高峰、バッハ『マタイ受難曲』最終コラールを使うわけ?!! 十字架で死んだ後、復活したキリスト。 死と救済への、喜びと悲しみ。 その気持ちが渾然一体に謳いあげられる、崇高な合唱。 いったい、視聴者をどういう気分にさせたくて、使ってるのよ?マタイを使うなんて、どーゆー、シチュエーション?。 あんなダサい使い方は、許せないわ! キリスト教への冒涜よ!そもそも、「R☆S(ライジング・スター)オーケストラ」そのものが変よ。原作では、シューマン「マンフレッド序曲」、モーツアルト「オーボエ協奏曲」、ブラームス「交響曲第一番」の3本立て演奏会。 シューマンとブラームスの重なりは気になるけど、バランスのとれた演奏会だわ。 それなのに、マンフレッド序曲が削られてるじゃない。 いったい、どういうことよ。 今年は、シューマン没後150周年だというのに、シューマンに喧嘩を売ってるのかしら、脚本家は。 これでは、片肺演奏会じゃない。ちょー、最悪なのは、ブラームス『交響曲1番』よ!!!!私、ブラームス交響曲1番は、ブラームスのラブソングだと思ってるの。 ブラームスの師匠、ロベルト・シューマンが残した、若き未亡人クララ・シューマン。 その彼女に、ブラームスが永遠の愛を誓った、ラブソングではなくって? 第4楽章。 もし、ブラームス交響曲1番を持っている方なら、「ホルン-木管-金管」と引き継がれる「クララ・シューマンのテーマ」の使い方をよーく見てくれないかしら。 少しも先の見えない、絶望の淵にたつブラームス。 そこに、クララ・シューマンが訪れる。 その姿に打たれるブラームス。 そこからおもむろに、第4楽章の主題が流れ出し、ブラームスは、絶望の淵から帰還するのよ。 むろん、それだけじゃないわ。 その希望さえ打ち砕かん、と荒れ狂い襲いかかる「絶望」から、救い出すのも「クララ・シューマンのテーマ」。 そして、第4楽章最後、救済への階段を登っていくブラームスを、天上にあって祝福するのも、「クララ・シューマンのテーマ」じゃない。 そうよ。 「クララ・シューマンのおかげで私は救われたのです」と告白するベタベタな作品こそ、交響曲1番。 これがラブソングじゃなくて、なんと言うのかしら。 それなのに何よ。 「このオーケストラは美しい」。 おまけに千秋真一。 きっと、ギュンター・ヴァント指揮北ドイツ放送響のように、颯爽と高速かつ高密度に、第1楽章のテーマを処理してくれるに違いないわ。 そう思って期待していたら、まったく逆で、漫然として緊張感のない、第1楽章じゃない。 肩透かし、失望もいいところよ! おまけに、いきなり第4楽章の再現部手前に飛んだ後、また飛んで今度は第4楽章コーダ(終結部)よ。 「クララ・シューマンのテーマ」も、「ベートヴェン第九交響曲のパクリ」といわれた第4楽章の主題も、演奏しないなんて許せると思う? これでブラームス交響曲1番でござい、なんて断じて認めないわ !!!!! それだけじゃない。第4楽章コーダで、千秋の言うセリフがまたひどい。「悲劇から希望へ」よ。いったい、脚本家は、なにを考えてるのよ!。 原作では、「悲劇から希望と救済へ」になっているわ。 当たり前よ! 第4楽章のコーダでは、とっくに希望を通りこして「救済」されている段階じゃない。 どうして、ドラマの中で現に流れている音楽と全然あっていないセリフを千秋に言わせるわけ?もちろん、簡単なことだわ。 『のだめカンタービレ』の脚本を書いている人間も、音楽をつけている人間も、監督も、クラシック音楽を何も分かっていないのよ。 「原作をきちんと踏まえて作られている」「原作が生かされている」なんて、ウソよ。 「原作をそのまま使わなければ、クラシックの無知がバレてしまう」からだわ。 もう、テレビ番組紹介を初めとしてウソばっかり。 『スイング・ガール』の良い思い出が台無し。 こんなものに騙されてるのは、よほど音楽経験のないバカなのね、としか言いようが無いわ。 もう、失礼しちゃう。 プンプン!!あまりにも怒って疲れちゃった。 『のだめカンタービレ』の「口直し」に、ブラームス交響曲1番を聞きなおしてしまったわ。 聞いたのは、チェリビダッケ指揮RSOシュツットガルト、ヴァント指揮北ドイツ放送響、クルト・ザンデルリンク指揮ドレスデン・シュターツカペレね。 良かったわ。 とくに、意外と良かったのが、かつては「名盤」と呼ばれたこともある、クルト・ザンデルリンクよ。 昔から好きだったけど、聴きなおして、さらに好きになったわ。 燻したような東ドイツのオーケストラの音色が、ブラームスにとても合うのよね。 ザンデルリンク指揮『ブラームス全集』(ドレスデン・シュターツカペレ)は、1700円前後でタワーレコードで売ってたとき、買ったのだけど、今も手に入るのよね。 世の中、モノの価値が分からないバカ、って多いのよね。 これは、安さと質に関しては、比類ないCDだから、探してぜひ聴いてあげて。 お願い。 あと、興味があるなら、ザンデルリンク引退演奏会のCDが、絶対お薦めだわ。 モーツアルト「ピアノ協奏曲24番」の内田光子の演奏には涙が零れ落ちるほど感動させられるの。 もう、一音、一音が天上の音楽。 わたし、これでモーツアルトの音楽の素晴らしさをやっと理解できたわ。 これを聴かないで、「モーツアルトの音楽は心地よいわ」なんていってる人間になってはダメよ。 内田光子は、ザンデルリンク引退コンサートで、本当に素晴らしい仕事をしているわ。 他の彼女のCDと聴き比べても段違いよ。 欲しい方は、ぜひ、ゲットしてほしい。ブラームス交響曲全集評価 ★★★☆価格: ¥ 1,290 (税込) ザンデルリンク引退CD評価 ★★★★☆ 価格: ¥ 3,500 (税込)追伸 お姉さま言葉は疲れました. もうしません. 許してください ←このブログを応援してくれる方は、クリックして頂ければ幸いです