|
テーマ:社会関係の書籍のレビュー(95)
カテゴリ:社会
![]() 公安警察。今、日本で、もっとも秘密のベールにつつまれた集団。 右翼「一水会」の代表をつとめ、危険な右翼集団として「ガサ入れ」されつづけた人物による、公安警察の実態報告になっています。これがなかなか凄まじい。 実際、本書をよめば、マスコミなどで流布しているイメージとかけはなれた、公安の姿に慄然とさせられるでしょう ★右翼に甘い公安 → そんなことはない。公安に情報を喋らず、なれ合わないと大弾圧。 ★犯罪から守る公安 → そんなことはない。犯罪起こすよう政治団体にけしかけることも。 ★エリート組織の公安 → 刑事警察にくらべて暇だから、試験勉強ができるだけ。 ★情報蒐集に力をいれる公安 → 実際は刑事警察にやらせていて役に立たない。 ★政治団体犯罪のエキスパート → 既成の団体以外がやると、手に負えない。 ★公安のエリート → 捜査と称して喫茶店で勉強しただけだから、潰しがきかない。 ★スパイによる情報収集 → たかが野坂参三の共産党除名を発表直前に知る程度。 実際、公安の無意味さは想像以上で、よくこんな組織がふんぞりかえれるもんだと感心させられます。かつての政治団体の構成員をつけまわし、人権侵害をやる以外、能がない集団。なんで国松長官銃撃事件の犯人がつかまえられなかったのか。この書を読んでみるとよくわかります。ほかの公安調査庁などは、公安以下の存在というおそろしさ。オウムに破防法適用するのに必死だった理由などは、涙が出てまいります。公安警察を存続させないことを訴える熱い口調。その最大の標的になっている日本共産党に、「【完全なる】武装路線放棄」をもとめるのには、なかなか感心させられました。 とはいえ、さすがに内部情報も限られていることもあって、公安に追いかけられる側、もしくは公安周辺からの描写にしかなっていないのが減点部分でしょうか。かれらは口も堅いですしねえ。しかし、今日本の最大の暗部のひとつが公安警察にあることは疑いありません。膨大な捜査費の架空計上をしているのは、なにを隠そう公安警察なのですから。市民の眼から隠され続け、肥大化する公安警察。その闇にせまる力作といえるでしょう。 評価 ★★★☆ 価格: ¥714 (税込) ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[社会] カテゴリの最新記事
|