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書評日記  パペッティア通信

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Apr 6, 2005
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カテゴリ:歴史


講談社現代新書は、表紙がかわってしまい、すっかり読まなくなった。
なんだか、右翼・保守などでは、評判高い本らしい。
ひさしぶりに買ってみた。

むかし書いた「東アジア大陸の民族」
(『民族の世界史』山川出版社、1983年)。
その「完全版」というふれこみらしい。

読んでみたけど、ホントに酷い入門書ですわ、これは。
そこかしこに、誤字脱字があるわ、地図が全然役に立たないわ。

さすがに、こんなの山川出版社から出せるはずがない。
だから、「民族」部分以外の、今回出版するにあたって新たに手を加えた、
中国本体関連「のみ」がひどいに違いない。
わたしには、民族部分もおかしいように感じられるのだが、、、

ともかく、細かい史実は間違いだらけ。とくに、明朝とか、、、
こんなもの、よく出す気になったもんだと、ほとほとあきれてしまう。
唐宋変革や、明清変革に触れない入門書など、
おそらく前代未聞の珍事だろう。
老人の白昼夢に近い。

てか、岡田歴史学が何をさすか不明。
岡田の新しさがどこに「あったのか」すら、よく分からない。
大清仏教帝国論絡み以外、示唆されるような内容は、どこにもなかった。
言語絡みの議論は面白いけど、本人のオリジナルともおもえないしなあ。

たしかに「でかい」ことはかかれてます。
宮崎市定の時代なら、実証抜きで大きなことを言うのは認められていました。
しかし、今そんなことやったら、プロパーに袋叩きされるに決まってます。
だって、誰だって実証抜きならどんなことでも言えるんだもん。
読んでみてわかったが、こりゃ相手にされないのも無理はない。

こんなの読むくらいなら、足立啓二や、モンゴルでは杉山正明をよむべき。
朝貢システムから近代への移行なら、茂木敏夫、浜下武志、岡本隆司。
これらを読んだ方が絶対いい。
はるかに知的にスリリングですもん。
入門書には、寺田隆信『物語 中国の歴史』中公新書などがいいでしょう。

悪貨は良貨を駆逐する。
こんな入門書を出すのは、マジメに勘弁して欲しい。

講談社現代新書。
瀟洒というか、ハイソな雰囲気を醸しだしていた、あの表紙の頃がなつかしい。
内容は、あれで随分カバーされていたのに、ホント惜しいなあ、、、
こんな内容でも出さなければならない所をみると、
やっぱり経営が危ないのでしょうか。


評価 ★
価格: ¥777 (税込)

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Last updated  Nov 4, 2006 03:06:30 PM
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