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テーマ:社会関係の書籍のレビュー(95)
カテゴリ:社会
![]() 悩みは個人的な偏差が大きい。 一般化できない。 しかし、悩みに対する回答者の答えは、時代の思潮によって制約されるはず。 相談ごとを受けた以上、解決してさしあげなければならないのだから。 そうした回答は、時代によって変遷がみられるだろうし、 それは一般的な社会通念の変遷たりうるのではないか。 かような、作業仮説をへて展開される、社会学の書。 たしかに、悩みとその回答は、面白いものばかりです。 しかし、駆使された社会学的知見は、まったくつまらない。 一体、なんでだろうか。 靴にあわせて足を切る、大日本帝国陸軍的分析というか。 現代社会の理論にあわせて相談ごとを選んでいる、というか。 「個人化」 「自己決定」 1970年代~2000年代を生きた人間には、 まったく妥当な分析ばかりが、相談ごとの変遷をふまえ、展開されています。 学校しかり、会社しかり、恋愛しかり、家族しかり。 ただ、見田宗介をはじめとした、既存のグランド・セオリーをなぞるだけで、 新しい視点がまったくといっていいほど、くみだされてこない。 相談ごとの分析を通して、あたらしい理論を提示しようという欲がないというか。 新聞や雑誌で語られるような、特集記事レベル、 三文記事レベルでしかないというか。 たとえばこれ↓ 学校の成績における「個性」の強調。 こうした「個人化」は、家庭環境の不平等といった社会の問題にまで、 個人がひきうけさせられるのではないか… こうした「問題意識」さえも、 「型にはまった」感じがさせられて、「何だかねえ」とおもわされるのですね。 もうすこし、なんとかなった気がするのですけど。 要するに、社会学が扱う対象は、 あまりにも身近すぎるから、分析者の「力量」がすべて!! …なんでしょう。 日頃の努力とか量とかでは、おぎなえないのかもしれません。 「ホント、大変な学問だわ」とすら思わされました。 評価: ★★☆ 価格: ¥756 (税込) 追伸 まあ、これを読む位ならば、『大正時代の身の上相談』(ちくま文庫)の方が 讀賣新聞の一次的史料を駆使しているだけ面白いですね。 ご一読くだされば幸いです。 ![]() 評価: ★★★☆ 価格: ¥714 (税込) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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