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テーマ:社会関係の書籍のレビュー(95)
カテゴリ:政治
著者は朝日新聞政治部記者。 朝日新聞は、東大に特別講座を寄付していて、 そこでは特任教授をつとめています。 そのため、買うときは、かなり期待したのですが、、、 内容と章立てはざっとこんな感じ。 自民党をめざす政治家たちの実像。組織力に陰りがみえはじめている自民党の解説。自民党史のおさらい。金銭スキャンダル史のおさらい。2つの対立する政治理念が存在することの指摘。そして、これまで自民党に挑戦してきた野党の政治家たちの横顔の解説と、「2大政党化」がすすむなかで、今後とも自民党が政権党にとどまるためには、どんなハードルをのりこえなければならないのかが丁寧に指摘されおわります。 そうじて、それまでの朝日新聞の政治欄など、どこにでも書かれているような、自民党基礎知識のたんたんとした羅列がつづく。長年取材した政治部記者にしか書けない、そんな政界こぼれ話・政界秘話の類もほとんどみられない。よくもまあ、こんな恥ずかしい本を出したもんだ。その厚顔無恥さには、あきれるほかはない。 そもそも、独自の自民党論もなければ、戦後政治史論ももたない、一介の政治部記者の分際で、『自民党と戦後』なるものを論じようというのが、ふざけているのではないか。いかに、講談社現代新書とはいえ、すこしひどすぎるだろう。北岡伸一『自民党』(読売新聞社)は、名著の誉れが高い。それは、かれが保守とか読売が出したからというだけではない。そこには、独自の戦後政治史の視角があったからだろう。升味準之輔にしても、しかり。それこそ、東大=朝日で共同調査をしている、蒲島郁夫とかに書いてもらえば、どんなに素晴らしい『自民党と戦後』論になっただろうか(2004年、岩波書店で出ている)。それができないなら、せめて星は政界裏話くらい、書くべきであろう。 みならうべき先輩、早野透がそばにいるではないか。『日本政治の決算』(講談社現代新書)は、足で稼いできた裏話が随所にまじえられて、ずいぶん面白い本であった。はっとさせるような切り口もあるのに、それがふんわりとした文章にくるまれていた。ちょっと情緒的だが、読みごたえがあってよかった。この人の、毎週火曜朝日朝刊の「ポリティカ日本」は、いつも楽しみにしていたものだ。評者とは、政治的にずいぶんことなるのに…… ポリティカ日本を終わらせるなら、早野透に天声人語を書かせて欲しいと思っていたのは、わたしだけではないはずだ。 … … い・いかん。 話題をもどそう。 早野のような芸風は、とても身につけられないかもしれない。しかし、政治取材の現場から、星独自の戦後政治理解や自民党論をねりあげることは、一刻もはやくおこなわれる必要があるのではないか? そして、それを朝日の政治面において反映させることが望まれるであろう。それができないなら、特任教授なんて肩書き、外すべきだとおもうぞ。 評価: ★★☆ 価格: ¥735 (税込) 人気ランキング順位 追伸 早野透は、こんな本を出しています。興味のある方はどうぞ↓ 評価: ★★★☆ 価格: ¥756 (税込) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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