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書評日記  パペッティア通信

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May 10, 2005
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3年間、音沙汰なし。
出版されていたことさえ、知らなんだ。
ごめんなさい、森岡先生。

おいら、その存在そのものを忘れていました。
そのブランクのためか、読んでもちっとも分かんない。
3巻を読み直す羽目に。
2度手間…


豪華絢爛たるスペースオペラ。
アーヴ種族と人類の共存は崩れた!!
「アーヴの人類帝国」VS「三カ国連合」。覇権をかけた星間戦争の決着は!
ラフィールの弟もちょっと活躍!!帝国は大ピンチ!!
5巻を乞うご期待!!


本当にこの調子で終れるのか?
永野護『F・S・S』(ファイブ・スター)化してない???これ…


この作品の面白さは、SFにあるのではない、とおもう。たぶん。
人間の関係性の描写。彼の他作品とくらべても、この部分が抜群にいい。
最近、読んでないので断言できないけど。

そもそも種族を異にしている二人。
女帝の孫、王女ラフィールと、父親が故郷の惑星をアーヴに売り渡したため、
アーヴ貴族に叙せられたジント。

男女二人の恋? 否!ちょっと違う。
たえず皇帝を目指し修練するラフィールと、その役にたちたいジント。
恋に回収されることのない「敬意」からでてくる、二人の間の微妙な距離感。

彼女はどこまで飛翔することができるのだろう。

功績をあげ、その美しい姿のまま彼女が帝位につくとき、
ジントは老いさらばえている。恋を断念していながら、なお揺れるジント。
ただ上をめざしているラフィールが、庇護者のつもりで彼に振舞う好意。
この2つのすれ違いの残酷さが、たまらなく心地よい。

ほかにも、アーヴ種族の描写もいいとおもう。
アーヴ種族は、秩序に逆らえない。上下の規律は厳しい。反逆もない。
アーヴ種族は、かれらの帝国に無条件に自己を一体化させています。
しかし、その毒舌は上司にむけて見まわれています。毒舌は親愛の証? 
こんな不思議なアーヴ種族の生態を、
ソフトにせずゴツゴツとした肌触りのまま、切り出してきてくれます。
スペースオペラとしては、隔絶した質をもちえている、とおもう。
さまざまなSF設定など、フェイクにすぎないとおもう。

アーヴ種族がどこまで活写されぬけるか。
思わず、そこに関心をもってしまう。

R・A・ハインライン『宇宙の戦士』は、
国家と個人によこたわる不透明性を「戦士」の共同体でのりこえようとする、
SF史上屈指の意欲的な作品でした。

「アーヴの人類帝国」にみられた「透明」な共同体は、
ただの種族の遺伝子で終ってしまうのか。

その辺を楽しみにこれからも読んでみたいとかんがえています。

評価 ★★★
価格: ¥546 (税込)

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Last updated  May 16, 2007 02:41:42 PM
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