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書評日記  パペッティア通信

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May 19, 2005
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カテゴリ:歴史
bunnjin

他人の夢の話を聴かされるほど、苦痛なものはないという。
しかし、他人の旨いものを食ったという自慢話を聴かされるのも、
なかなか苦痛な話だとおもうが、いかがだろう。

英文科卒、比較文学を講じる、著者の中華料理のうんちくが語られるこの書。
おいしそうな食べ物の話がでてきて、なかなか楽しい。

各地で多彩な東坡肉と、蘇東坡先生の食道楽。
日本とちがって甘く、梨とくらべられる、中国の大根。
ブタは、遊牧民の影響で、羊より下級な食べ物だったらしい。
中国人は、生のナマコをたべないし、馬の肝に毒があると信じていたらしい。
龍に似せて、甘酢あんかけにされる鯉は、実は北方料理らしい。
李鴻章によって、アメリカに広まった、チャプスイ(雑砕)。
中国・ベトナムで復活した、犬料理の数々。
秦檜と始皇帝を食べている、中国人…



ひとつひとつの小話に、筆者の深い愛情がそそがれています。
軽いエッセイ風の文体もあいまって、なかなか楽しいお話に仕上がっています。
清代の文人袁牧と、伝説の料理人王小余の話も、なかなか興味深い。

ただ、難点も多々。

魅惑的な中華料理と、それに彩りをそえる食通の文人たち。

のお話のはずなのに、肝心の文人のお話があまり表にでてきません。
大々的に出てきたのは、蘇東坡と袁牧くらいなのはいただけない。
ついつい、「本人の自慢話」に流れてしまっています。

食文化が消えちゃうから、今の内に残しておきたいということらしいけど、
そこはキチンとしないと。

中国の文人文化の一端として、中華料理を押しだして欲かったですね。
琴棋書画などをひきあいに出しながら、中華料理をかたる。

もっとも、中国文学の人にとっくにやられてしまっているのかもしれません。
ニッチエッセイということなのかも。

一読後、お腹がへったので、思わずお好み焼きをつくってしまった。
そして、この書のスッポン料理との、あまりの差に愕然としてしまった。
そんな妬みをこめて↓

評価 ★★☆
価格: ¥714 (税込)

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Last updated  May 16, 2007 02:39:57 PM
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