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カテゴリ:歴史
![]() 他人の夢の話を聴かされるほど、苦痛なものはないという。 しかし、他人の旨いものを食ったという自慢話を聴かされるのも、 なかなか苦痛な話だとおもうが、いかがだろう。 英文科卒、比較文学を講じる、著者の中華料理のうんちくが語られるこの書。 おいしそうな食べ物の話がでてきて、なかなか楽しい。 各地で多彩な東坡肉と、蘇東坡先生の食道楽。 日本とちがって甘く、梨とくらべられる、中国の大根。 ブタは、遊牧民の影響で、羊より下級な食べ物だったらしい。 中国人は、生のナマコをたべないし、馬の肝に毒があると信じていたらしい。 龍に似せて、甘酢あんかけにされる鯉は、実は北方料理らしい。 李鴻章によって、アメリカに広まった、チャプスイ(雑砕)。 中国・ベトナムで復活した、犬料理の数々。 秦檜と始皇帝を食べている、中国人… … … ひとつひとつの小話に、筆者の深い愛情がそそがれています。 軽いエッセイ風の文体もあいまって、なかなか楽しいお話に仕上がっています。 清代の文人袁牧と、伝説の料理人王小余の話も、なかなか興味深い。 ただ、難点も多々。 魅惑的な中華料理と、それに彩りをそえる食通の文人たち。 のお話のはずなのに、肝心の文人のお話があまり表にでてきません。 大々的に出てきたのは、蘇東坡と袁牧くらいなのはいただけない。 ついつい、「本人の自慢話」に流れてしまっています。 食文化が消えちゃうから、今の内に残しておきたいということらしいけど、 そこはキチンとしないと。 中国の文人文化の一端として、中華料理を押しだして欲かったですね。 琴棋書画などをひきあいに出しながら、中華料理をかたる。 もっとも、中国文学の人にとっくにやられてしまっているのかもしれません。 ニッチエッセイということなのかも。 一読後、お腹がへったので、思わずお好み焼きをつくってしまった。 そして、この書のスッポン料理との、あまりの差に愕然としてしまった。 そんな妬みをこめて↓ 評価 ★★☆ 価格: ¥714 (税込) 人気ランキング お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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