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カテゴリ:音楽・文化
![]() 泣いた。 不覚にも泣いてしまった。失格だ。 「勝負師」藤沢秀行。今年、80歳。 おおらかな性格で親分肌。若手棋士相手に「秀行塾」を開き、熱心に教えた。 たびたび「秀行軍団」を率いて中・韓を訪れては、若手に稽古をつけたため、 「日中・日韓逆転の戦犯」あつかいされたこともあった。 ともに、囲碁という芸をきわめるため、集うもの同士。 追い抜かれたら抜き返せばいいんだ。ケチくさいことをいうな。 本人は気にもしない。 今も中・韓の若手棋士から慕われている。 「1年を4勝でくらす、いい男」「ポカさえ無ければ、俺が最強」 「初物食い」「異常感覚」…さまざまな形容。 50台で、囲碁界国内最高とされるタイトル、棋聖戦6連覇。 66歳で7大タイトルの王座を奪取。 しかし、そんなところがすごいのではない。 とにかく、人間が大きい。言葉にならないほど大きい。 周りからは、「秀行先生」と誰彼となくよばれる、その包容力の大きさ。 空前絶後の、破天荒な生き方。あこがれます。 「呑む、打つ、買う」 アル中。 繊細な人なので、アルコールの力を借りないとやってられない。 「お●んこ」「低脳」とさけび、暴れまわって警察にご厄介。 しぜんアル中にかかる。禁断症状の中で「酒断ち」をして棋聖戦を防衛。 行いのためか、3度もガンにかかる。今度こそ死ねるとおもってもしねない。 ガンの方が先に死んでしまう。なにかが間違っている。 博打好き。 日本棋院から前借なんてなんのその。 競輪で厄介な筋から金を借り、沢建設をつくり手形を振出まくる。 「今回、手形を忘れたけど、手形の更新をお願いします、後で破いておきます」 という言葉を信じたところ、破かれたはずの手形の請求が。 一再ならずあったというこの話。 やはり気にもしない。 買う。 妊娠させた女性は、数知れず。 正妻のもとにつぎつぎ来る認知要請。本人は平等に愛しているらしい。 家を買った直後から、正妻のもとに3年間帰らなかったため、家路を忘れた男。 いまでは、着る服から病気まで、妻なくては生きていけない。 妻には文句ばっかり。周囲にはのろけ、妻の耳に伝わるようにしているらしい。 ごちそうさま。 秀行自伝という形態。ほとんど知っている話ばかり。 それなのに、何か悟りでも開いたのかとおもわせるような内容と流麗な文章で、 読み出したらとまらない。それは囲碁へ捧げられた愛の深さにある。酒を飲んでも、競輪にかよっても、不倫をしても、起きている間は、片時も囲碁のことを忘れない。何やらせてもできる人なのに、あえて囲碁のみに没頭し、可能性を削りおとしていった先にある境地。酒に飲まれたのではない、「囲碁に飲まれた」人生だけが語れる、そんな領域があること。それを確信させてくれる、すばらしい本といえるでしょう。 最後の一節。 結婚後、はじめて妻のために用意したという、かれのプレゼントに泣いてしまった。不倫をしたことのある男性は、ぜひ読んで参考して欲しい。 やはり、人間の器のちがいなのかなあ。 凡人が渡すと、逆に怒られると思うんだけど、、、 神仙の境地に達したものだけができる、余得かもしれない。 評価 ★★★ 価格: ¥714 (税込) 現在の人気ランキング お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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