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テーマ:経済分野の書籍のレビュー(50)
カテゴリ:経済
![]() すばらしい。 「資産運用の新約聖書」の登場です。 お茶の間にとどく、中国株、インド株などをはじめとした、様々な新商品。 本書は、外資系金融と金融工学の神話をぶっ壊し、そのほとんどがボッタクリ商品であることをマニフェストします。外資に立ちおくれる邦銀の姿も、べつの一面が見えてくることでしょう。その大概のものが、バブル期につかわれて、あとで問題になった商品の焼き直しにすぎなかったりします。 あなたの一生を左右する資産運用。 ダマされて預けてしまう前に、ぜひ読んでおきましょう。 たかが1200円の出費ですむのですから。 とりあえず、本書の要点をまとめておきます。 1 高金利預金は、適用利率の期間に注意せよ。 2 外貨預金は、バカ高い為替手数料を2度とるためにあります。 3 利用額に上限をつけるキャンペーンは、まだマシ。 4 広告は、バカな客と賢い客を選別するためにおこなわれる。 5 セット商品は、手数料を稼ぐためだけに開発された、使えない商品。 6 セット商品は、単独金融商品より、顧客はほぼ確実に「損」をする。 7 長期預金は、インフレに弱いので、中途解約条項を絶対に確認せよ。 8 リスクは予想される結果バラつき。リターンは予想される利益の期待値。 9 ハイ・リスク、マイナス・リターンがほとんど。売買コストを勘案せよ。 10 株式投資信託、地方債、年金保険は、ETFにくらべ売買コストが高い! 11 価格変動リスクだけとれ!(信用リスク、流動性リスクは負うな!) 12 ソニー銀行の外貨預金は、他のそれや証券会社のMMFよりいい。 13 外貨預金は、かならず、その通貨国の国債金利と比較せよ。 14 個人向け国債はまあまあ。社債と国債の利回り格差は、倒産確率と考えよ。 15 元本保証「年金保険」「特約つき○○」やEB債(他社株転換条項付債権)、 そして「特別勘定」(ほぼ株式投資信託)の文字をみたら、 手数料稼ぎのボッタクリとおもえ。 16 REIT(上場不動産投資信託)、エマージング債券などの投資信託は、 「販売手数料」と「信託報酬」の比率をみよ!ほとんど不利。 「毎月分配型」はさらに不利。 経路依存オプションは、さらにボッタクリ。 17 リスク限定型投資信託を買うくらいなら、株式オプション取引をやれ。 18 欧米プライベートバンクは、高級ホストクラブ。 19 金融商品の広告は、家電広告とは異なって、宣伝コストの分だけ割高。 20 商品ファンドや、中国・インド株なども、手数料が不明でコストも高い。 … 結局、「自分で勉強して株式」もしくは、国債ということらしい。 どんな商品を買っても、必ず「手数料」分だけ損をします、ってあたりまえのことなんですけどね、これ。 しかし…「元本保証+高利回り」という顧客の欲ボケにつけこんでは、オプション取引の売側に回らせ、金融機関は確実に「オプション買い+手数料」を稼ぐ構造をつくっているとは…。名トレーダーでならした藤巻健史ですら、「オプション売」だけは生きた心地がしない、と語っているくらいです。こんなのが、はやりの金融工学なら、「大人げね~~」としかいいようがありません。 なにを極端なことを。 あるいは、「これだけでは、良く分からないなあ」と思われた方は、 ぜひ本書を手にとって確認してほしい。だいたい、金融工学を駆使したボッタクリは、生半可なことでは理解できるはずがありません。 冒頭には、手引書がわりに、カラーで広告モデルつき。 本文にも同じ広告があるので、二度手間のため分厚くてちょっぴ高い。 できれば、「索引」もつけてほしかった。 ただ、この書の価値を損なうものではありません。 お勧めです。 評価 ★★★★ 価格: ¥1,260 (税込) 人気ランキング順位 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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