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書評日記  パペッティア通信

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Jun 9, 2005
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カテゴリ:経済


すばらしい。
「資産運用の新約聖書」の登場です。

お茶の間にとどく、中国株、インド株などをはじめとした、様々な新商品。
本書は、外資系金融と金融工学の神話をぶっ壊し、そのほとんどがボッタクリ商品であることをマニフェストします。外資に立ちおくれる邦銀の姿も、べつの一面が見えてくることでしょう。その大概のものが、バブル期につかわれて、あとで問題になった商品の焼き直しにすぎなかったりします。

あなたの一生を左右する資産運用。
ダマされて預けてしまう前に、ぜひ読んでおきましょう。
たかが1200円の出費ですむのですから。

とりあえず、本書の要点をまとめておきます。

1 高金利預金は、適用利率の期間に注意せよ。
2 外貨預金は、バカ高い為替手数料を2度とるためにあります。
3 利用額に上限をつけるキャンペーンは、まだマシ。
4 広告は、バカな客と賢い客を選別するためにおこなわれる。
5 セット商品は、手数料を稼ぐためだけに開発された、使えない商品。
6 セット商品は、単独金融商品より、顧客はほぼ確実に「損」をする。
7 長期預金は、インフレに弱いので、中途解約条項を絶対に確認せよ。
8 リスクは予想される結果バラつき。リターンは予想される利益の期待値。
9 ハイ・リスク、マイナス・リターンがほとんど。売買コストを勘案せよ。
10 株式投資信託、地方債、年金保険は、ETFにくらべ売買コストが高い!
11 価格変動リスクだけとれ!(信用リスク、流動性リスクは負うな!)
12 ソニー銀行の外貨預金は、他のそれや証券会社のMMFよりいい。
13 外貨預金は、かならず、その通貨国の国債金利と比較せよ。
14 個人向け国債はまあまあ。社債と国債の利回り格差は、倒産確率と考えよ。
15 元本保証「年金保険」「特約つき○○」やEB債(他社株転換条項付債権)、
  そして「特別勘定」(ほぼ株式投資信託)の文字をみたら、
  手数料稼ぎのボッタクリとおもえ。
16 REIT(上場不動産投資信託)、エマージング債券などの投資信託は、
  「販売手数料」と「信託報酬」の比率をみよ!ほとんど不利。
  「毎月分配型」はさらに不利。
  経路依存オプションは、さらにボッタクリ。
17 リスク限定型投資信託を買うくらいなら、株式オプション取引をやれ。
18 欧米プライベートバンクは、高級ホストクラブ。
19 金融商品の広告は、家電広告とは異なって、宣伝コストの分だけ割高。
20 商品ファンドや、中国・インド株なども、手数料が不明でコストも高い。


結局、「自分で勉強して株式」もしくは、国債ということらしい。
どんな商品を買っても、必ず「手数料」分だけ損をします、ってあたりまえのことなんですけどね、これ。

しかし…「元本保証+高利回り」という顧客の欲ボケにつけこんでは、オプション取引の売側に回らせ、金融機関は確実に「オプション買い+手数料」を稼ぐ構造をつくっているとは…。名トレーダーでならした藤巻健史ですら、「オプション売」だけは生きた心地がしない、と語っているくらいです。こんなのが、はやりの金融工学なら、「大人げね~~」としかいいようがありません。

なにを極端なことを。
あるいは、「これだけでは、良く分からないなあ」と思われた方は、
ぜひ本書を手にとって確認してほしい。だいたい、金融工学を駆使したボッタクリは、生半可なことでは理解できるはずがありません。

冒頭には、手引書がわりに、カラーで広告モデルつき。
本文にも同じ広告があるので、二度手間のため分厚くてちょっぴ高い。

できれば、「索引」もつけてほしかった。

ただ、この書の価値を損なうものではありません。
お勧めです。

評価 ★★★★
価格: ¥1,260 (税込)

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Last updated  May 16, 2007 02:36:33 PM
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