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書評日記  パペッティア通信

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Jun 24, 2005
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カテゴリ:経済


参りました!
思いもよらない、北朝鮮の驚愕の事実。

その建国当初から、一貫した「計画なき計画経済」「援助漬け大国」
中・ソの援助なしでは、計画経済すら達成できない「三元化経済」の北朝鮮
(計画経済、第二経済委員会【軍事産業】、闇経済の3つ)

今の北朝鮮はなぜ生まれたのか。朝鮮戦争以後、どの社会主義国よりもはやいスピードで、農業集団化と企業国有化を達成させた北朝鮮。とはいえ、本書によると、その歩みは以下の通りだったという。

1 繰り上げ・超過達成運動による、人員と機械を消耗させた無謀な増産運動。
2 「四大軍事路線」などの過重すぎる国防負担。無意味な重化学工業路線。
3 「千里馬運動」は、北朝鮮版「大躍進」。中・ソの援助で失敗が顕在化せず、
  「主体農法」「速度戦」なるものが、以後もくりかえされた。
4 プラント導入も、輸出の何倍もの年間債務支払をかかえデフォルト状態。
5 80年代には、「全国土棚田化」で土壌流出、農業崩壊。
6 90年代は、ソ連崩壊、韓国と社会主義国との国交樹立、自然災害の頻発で、
  経済は崩壊状態。国家予算は半減したという。エネルギーも食料もない。
  肥料も農薬も作れない。農業機械も動かせない。
7 こうした苦境は、1970年代から連綿として続いていて、
  90年代からのものではない。回復の兆しもない。

最近の経済政策も、無謀の極みらしい。請負制など「農業改革」を先行させないで、価格改革だけ着手。余剰人員削減がすすむ、中国の国営企業改革。それに比べて、勤務先で仕事のない過剰労働力が、3割から5割にもおよびながら、人びとから隔離する形で外資導入が図られ、進出企業には自由がないらしい。投資する人もすくなく、経済波及効果も当然期待できないという。赤十字間でむすばれた帰還協定によって、北朝鮮にかえった在日は、「成分」では下から10番目の「動揺分子」だったとの指摘もおもしろい。1974年以降、自称「無税国家」の悲惨さ。この本では、北朝鮮は「改革開放」よりも、農民の生産インセンティブを高める「調整政策」をとるべきであると、経済改革の提言もおこなわれています。

資料がない、北朝鮮をどう分析するべきか。

ここで、虚偽にまみれがちな証言や、妄想と願望がふくらむ観測記事などに頼らず、「友邦」中国における「北朝鮮研究」を手がかりにしようという、著者の発想がなかなか面白い。それは成功している。さすがに評者も、1950年代には、朝鮮戦争で荒廃した国土の立て直しだから、北朝鮮経済には発展がみられたと思っていた。しかし、これすらも中ソの援助のためという。援助額縮小の1960年代、70年代では、計画経済すらまともに達成できていないらしい。「○ヵ年計画」すら、まともに建てられていなかったとは……(93年以降、計画を立てることすら放棄されている) 

人びとは、70年代から「窮乏慣れ」してしまっている。そして、経済制裁も、中国が賛成しないかぎり、ほとんど効果はないという。むろん、韓国や台湾のように、「中間階級」などの民主化を支持しそうな受け皿もみられない。

その分析は、手堅く、面白い。
たしかに目からウロコが落ちました。
北朝鮮経済に興味のある方なら、必見の書になっています。

評価 ★★★
価格: ¥714 (税込)

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Last updated  Sep 30, 2005 09:01:06 PM
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