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Jun 27, 2005
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カテゴリ:社会


すばらしい新刊がお目見えしました。
その丁寧な取材によって、共産党言論弾圧模様と、現代中国の言論マップをほりさげる、質の高いルポルタージュになっています。
これを読んだ方は、ただちに買うべし!

総勢7名におよぶ、
豪華な中国共産党の「発禁」「身柄拘束」ラインナップ。


「愛国者同盟網」 盧雲飛 
 「中国民間保釣連合会」とともに、ネットで活発な署名活動をおこない、無視
  できない「反日世論」を形成して、「日本常任理事国入り」「新幹線導入」
  を阻止 

「対日関係新思考」 馬立誠
  今では日本が中国を恐れている、として、時殷弘・孫淑林・魯世巍・馮昭奎
  らとともに民族主義を排し、「普通の国」日本でも受け入れることを提言

『中国農民調査』 陳桂棣・呉春桃
  当局に尾行されながら、安徽省の農村改革モデル地区 50箇所をまわり、地
  方官僚・農村幹部の腐敗、口封じのため農民を殴り殺す警察など、100名を
  実名で告発

蒋彦永・人民解放軍301病院医師  
  2003年4月、衛生相のSARS鎮圧宣言の虚偽を告発し、当局の「SARS隠し」
  を明らかにしただけではなく、楊尚昆発言などを引用しながら天安門事件の
  再評価を要求

『遺情書 -私の性愛日記』 木子美(李麗)
  おなじく発禁処分になった衛慧の小説『上海ベイビー』とならぶ、24歳の女性
  による自己の性生活をつづった「性愛日記」の出版。

李鋭・元毛沢東秘書
  かつて「彭徳懐反党集団」として下放された、三峡ダムに反対し、体制内政治
  改革をもとめ、胡耀邦の名誉回復をもとめる、元共産党中央委員の党長老
  
「討伐中宣部」 焦国標
  農村貧困、不払賃金、公衆トイレ…すべての問題が解決されないのは、
  報道を禁じた党・中央宣伝部の責任だ、と討伐を主張する北京大助教授


胡錦濤党総書記の三権(党・政府・解放軍)掌握後、いったんはメディア規制を緩めたかのようにみえたものの、現在では胡錦濤周辺が、統制強化に乗りだしているという。毛沢東が反対派を燻りだすため使った、「百花斉放、百家争鳴」と同じ手口なのか、という批判は重い。現在は、馬立誠論文が掲載された「戦略と管理」も、他の批判したメディアと同様に廃刊になり、ネットへの統制も強化されているという。1000万件もの陳情が届く、絶望的な農村社会の窮状。上の動向を気にせざるを得ない、中国社会。『中国農民調査』の刊行のいきさつなどは、感動的ですらあります。

ただ、どうしても評者は、「禁書」を筆者が誤解しているのでは?という疑念が拭えない。そもそも、いにしえの王朝時代から、なぜ禁書のはずの本が、現代にまで伝わってしまうのか。それは、もともと「禁書」は出版されているもので、民間が平然と所蔵・流布させているものだからですよ。

だいたい、常識を働かしてみればいい。
政府高官は、「禁書」の疑いのある本を読む暇なんか、あると思いますか?

たいてい、点数稼ぎの「下僚」が大真面目にとりあげて上司に報告。上司が別の下僚に叱責。大慌てで下僚が禁令、というパターン。そんな「禁書」は、はては水滸伝から、占い・カレンダー・参考書など、多岐にわたって「脈絡がない」「笑ってしまう」のは当然のこと。だれも、統一した基準で規制しているわけではないのだから。近年の禁書は、王朝時代のありように戻っているだけにすぎない。そんな、中国共産党の禁書対象が、「討伐中宣部」から性生活におよび、緩んだり厳しくなったり、保守だの開放的だのに「見えてしまう」のは、13億もの人間の活動を考えれば、あたりまえのことでしょう。いくら、禁書を羅列しても、共産党が危険視する一貫した「ダブー」の体系が、その禁書群から浮かびあがるはずがない。

そこに、一貫したダブーを「勝手に」読み取ろうとするから、人は「笑ってしまう」という行為におよぶしかないのです。それは、「笑う」人間の思考法に問題があるにすぎない。決して、「禁書」をおこなう、中共に原因があるのではない。

そもそも勘違いの根源は、「禁書」という現象の背後に、統合された主体=「共産党の言論統制」を読みとろうとする、筆者の手法そのものにある。「現象」の裏に「一貫した」「本質」を仮定しようとする思考は、トンデモの繁茂する土壌になりやすい。

麗しき日本の伝統の裏に、「万世一系の天皇制」をみる国学。
資本の運動の裏に、階級支配の本質をみるマルクス主義。
「反日」の背後に、連動する左翼ネットワークを読みとろうとするアホ右翼。


分からないものに言葉をあたえようとすれば、「曖昧な」シニフィアンに「逃避」してしまう他はない。

この書の中でも、つねに禁書にして弾圧する相手は、「当局」となっています。顔のみえない異様な敵。きわめて都合のいい、実に曖昧な言葉。その通り。「当局」以外の言葉など、カフカの城同様、与えようがない。それは、現象の裏に本質が、そして首尾一貫した主体などが、どこにもなかったことの裏返しにすぎません。日本、帝国主義、朝日新聞、伝統、階級支配…今回、ここに加わったのが、中国共産党ということなのでしょうか。その辺がすこし残念です。

「一貫した」主体など、現象の裏に「本質」など、
そんなものどこにもありはしないのに…い、いかん、暗くなってしまった。
今回は誉める予定だったのだ、、、

そんな欠点などあっても、気にもならないほどの力作にはなっているのです。
ぜひ、ご購読あれ。

評価 ★★★★
価格: ¥820 (税込)

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Last updated  Sep 30, 2005 09:04:05 PM
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