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書評日記  パペッティア通信

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Jul 23, 2005
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SANZOさんからやってきたブック・バトン。
やっとお答えできます。

<質問1>部屋にある本の数

部屋に本棚7つ、段ボールは7箱あります。
数えたことはないです。分かんないです。雑誌類は買わないです。

<質問2>最初に買った(読んだ)本

 「本を読んだ」というハッキリした記憶があるのは、
 『グリとグラ』かな。絵本はダメ?
 買ったのは、『のび太の恐竜』かなあ。
 え? マンガは本ではないって?
 ダメ?

<質問3>最後に買った本

 買ったのは、『象徴天皇制の起源』ですかね。

<質問4>今読んでいる本

 これはパスさせてください。
 どうせ、これから書評する本を読んでいるので。
 発表しておきながら、書評できませんでした、では、
 挫折したみたいでカッコワルイですし…
 m(_ _)m

<質問5>よく読む、または特別な思い入れのある5冊の本

 まいったね。
 なにを書けばいいんだか。
 とくべつ思い入れのある本ということで、5冊セレクトします。
 書評サイトですし、ぜひお読みいただければ…

● 黒田明伸『貨幣システムの世界史』岩波書店



「現地通貨」と「決済通貨」。この2つの機能は、歴史的にみると実は統合されていません。この2つの貨幣が、どのように統合されていったのか。「貨幣の非対称性」を軸に、ヨーロッパと「伝統中国、インド、ラテンアメリカ、日本」などの違いを説明するとともに、ヨーロッパ「世界経済」が後者を包摂していく壮大な理論を描く、貨幣理論の超大作です。

(評価 ★★★★★)


● 長岡新吉 『日本資本主義論争の群像』ミネルヴァ書房 

突然、話がかわるように、思われるかもしれませんが、
「ポリティカ日本」に感動させられたことがあります。

それ以来、早野透が好きで、結局、朝日新聞の講読をはじめたくらいです。
今でも全国紙は、一応図書館ですべて目を通すのですが…

99年頃おこなわれた、ガイドライン法案反対の銀座デモ。早野は、朝日歌壇に寄せられた歌から、ガイドライン法案を論じるのです。その歌というのが、間違えているかもしれないけど、これなんですね↓

「民蔵も 労農もなき 平和デモ 春の銀座いく 櫛田ふき凛々し」

心から感動した。
これをとりあげた、早野の見識の深さにも、感動した。

この歌は、日本共産党、労農派、櫛田ふき、櫛田ふきを眺めるこの歌の作者。この4つのポジションの微妙なアイロニーが理解できないと、全然分かんない。戦前から戦後までの左翼運動を理解していないと、なんで選ばれたのか、おそらくわからないでしょう。

そうなんです。

櫛田ふきは、日本共産党よりもずっと偉大で、
浅沼稲次郎は、日本社会党よりもずっと偉大で、
岸信介は、自由民主党よりもずっと偉大なんだ、
たぶん。

人をこえるような党派・会社など、どこにもありはしない。

この本は、戦前のマルクス主義運動をめぐって、「労農派」と「講座派」で戦わされた、「日本資本主義論争」をとりあつかっています。その内容の整理もさることながら、それぞれの論者の人物像に光があてられていて、本当に奇跡のようにすばらしい。人こそが人を動かしうる。かれらに流れる素朴な「貧困」への義憤と、櫛田ふきの「反戦平和」。だれにでも流れている、そんな素朴なそれが見失われたとき、左翼運動は力を失ったのではないか。この本は、マルクス主義の墓標として読むと、たいへん面白い。

(評価 ★★★★☆)

● B・J・ベイリー『カエアンの聖衣』ハヤカワ文庫SF



衣装が薬、衣装が命のカエアン人の世界。カエアンの衣装哲学が炸裂する、SF史上空前の思弁小説、ワイドスクリーン・バロックでしょう。わたしも、一度でいいから、フラショナル・スーツを着てみたかった…

(評価 ★★★★★)

●つる見誠良 『日本信用機構の確立 -日本銀行と金融市場-』 有斐閣

機関銀行、産業金融史に偏りがちだった、明治期における日本金融史研究と近代的信用制度の確立過程。そこに在来金融との継承と断絶を見きわめつつ、日本信用機構の確立を「決済」を軸に描きあげた大著です。
感動のあまり、なんども読み直しました。

(評価 ★★★★★)

● 東浩紀『存在論的 郵便的』新潮社


デリダは、なぜあんな奇妙なテクストを書いたのか。
デリダの実践の意味をさぐるため、論理的脱構築、存在論的脱構築、精神分析的脱構築から郵便的脱構築へと、極限まで論理的に肉薄します。ところが、東浩紀は予告した問いの答えにたどり着くことができない。まるでアニメ・エヴァンゲリオンTV版のような、哲学書。デリダとラカンをわけた、「郵便」と「幽霊」については目からウロコでしたね。

でもこの本の主題は、デリダではなくて、哲学することの面白さではないか?とおもってるのですけど、さてどうでしょう。これほど、哲学することの面白さに感動させられた本はなかったですもの。

(評価 ★★★★★)


<質問6>バトンを渡す人の名前

 これはスルー。書きたい方はご自由にお持ちかえり下さい、といいたいの
 ですが、ひそかにトラックバックを貼らせてもらった方が指名された、
 ということにしておいてくださいませ。

春秋子 拝

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<追伸> 

ここまで書いて気付いたけど、5冊ともコミックにすれば良かった…
そしたら、『天使禁猟区』『ニューヨーク・ニューヨーク』『BANANA FISH』『僕の地球をまもって』とかについて、個人的な思い入れをふんだんに書くことができたかもしれないのに…
失敗した…

むしろ、逆かも。
コミックについて書いた方が疲れるかもしれない。





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Last updated  Jul 23, 2005 08:57:22 PM
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