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書評日記  パペッティア通信

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Aug 8, 2005
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カテゴリ:経済


昇竜中国は、どこへ向かおうとしているのか。
生の中国の現実を知りたい。

中共のフィルターを通さない、
そして中国への偏見も排除した、本当の中国の姿が知りたい…

みごと、その願いは、かなえられた。
そんな欲望をもつ人のための、待望の著作が岩波新書から出ました!

2005年度刊行新書では、吉見俊哉『万博幻想』(ちくま新書)と並び、ハイレベルの知的興奮があなたに訪れることに疑いありません。
ぜひ、周囲の書店でお買いもとめください。

<内容簡介> 中国を理解するキーワード

● 絶大な党書記の権力による、汚職の蔓延

政府機関のトップは、ナンバー2以下にすぎない。紀律検査委員会も、司法機関(公安・検察・裁判所)を指導する党政法委員会も、人民代表大会も党書記の下におかれている。私有財産の国有化(社会主義化)が逆転して、国有財産の私物化が進み、2001年末で4000名の汚職容疑者が50億元の金をもって国外逃亡中という。

● 与えられた任務を完遂するだけの「下請け」=郷鎮政府の構造問題

中央は、農業税に非税費用徴収を一本化させる改革をおこない、中央財源も郷鎮政府に移転させるなどしているものの、巨大な財政支出を余儀なくされ、公務員のリストラもすすまない。「国家請客、地方買単」(国家が客を招いて、地方が金を払う)のシンボルは、義務教育。地方政府は、貸倒をおそれて銀行が貸さない以上、農民に転嫁するしかない。農民は、農産品価格が増産で低迷している以上、負担軽減をもとめて、集団抗議・衝突が相次ぎ、秘密結社の復活までみられるという。

● 住民暴動頻発の中核にある強制収容にまつわる「土地所有権問題」

不動産開発にともなうバブルは、都市部にかぎらない。錬金術のタネは、土地使用権を持たぬ住民から「計画経済の論理」=安値=で収容して、それを土地使用権つきの「市場経済の論理」=高値=で売却する、政府・不動産・土地評価機関・取り壊し業者一体の利益構造である。そこには、「取り壊し・立ち退き」条例の不備、物権法の不在がある。インフラ・企業の誘致合戦は、無償に近い土地譲渡をうみ、ますます住民に安値収用という形で転嫁されてしまう。この香港をモデルとする開発は、不動産バブルを生み、17兆元の人民元貸出残高のうち半分以上が不動産担保で、党・縁戚者一体の利権あさりの場となっている。土地使用権譲渡収入は、貴重な地方政府の財源収入となっていて、歯止めがかからない。企業と地元裁判所は一体となっていて、司法機能も働いていない。

● 三農(農民・農村・農業)問題と「二極化」する社会

農業向支出(支援・救済・基本建設・科学技術)は、国家財政の7%にすぎず、地方財政が全体の8割負担を強いられている。サポートが不十分な上、農業金融機関の都市不動産投資がおきて、農村金融の空洞化と高利貸が出現している。6割の人口をしめる農村部への衛生投資は、2割に過ぎない。ジニ係数は現在0.45以上に達していて、都市・農村間だけではなく、都市内部、地域間、業種間(社会資源の管理者)でも深刻でありながら、税金は逆進課税となっていて再分配の機能をはたしていない。

● 頻発する労働争議の裏事情

労働争議が多発する中国。それは、大都市の建設現場でいちじるしい。ところが、低賃金かつ苛酷な労働を強いられる出稼労働者への賃金不払は、「地方政府⇒不動産会社⇒建設会社⇒施工業者⇒民工」という資金の流れが、マクロ金融政策の引締と、地方政府の代金未払によって、とくに生じているという。

● 国営・外資に挟撃される、私営企業の命運
● 政治が経済を支配する、市場経済(=官僚経済)


財政収入源の4割をしめる国営企業に対して、私営企業は5%、都市部では工業生産額は1/3、雇用者数は1/2にすぎない。銀行貸出も、国営企業中心で、南方では民間高利貸が公然の秘密になっているという。また金持ちは、国有財産横領など、不正手段で蓄財したイメージが強く、私有財産権を認めがたい。そのため私営企業は、政府との交渉(賄賂)に精力を傾けざるをえない。国営企業のガバナンスは、党委員会・紀律検査委員会・労働組合と、新設「株主総会・取締役会・監事会」の軋轢がひどく機能していない。国営企業は、絶大な権限をもつトップの私物、政治家の政争の道具というのも珍しくない。また、「政府と企業の分離」市場経済化は、財政収入源の国有企業売却にしたがい、政府・警察・学校・軍隊が収入をもとめ会社経営をはじめ、私営企業を圧迫することがおきている。


(その2に続きます)


評価 ★★★★☆
価格: ¥819 (税込)

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Last updated  Sep 20, 2005 02:19:34 AM
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