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書評日記  パペッティア通信

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Aug 17, 2005
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先日、百合姫の創刊を寿いだ際、ブログで語りきれなかった部分があった。
本日は、コミックの新刊紹介もかねて、それについてとりあげておきたい。

それは、男の欲望、「萌え」としての百合について、である。

そもそも女性は、子供から大人へと成長する過程で、
男性よりもはるかに切実に、自らの性にむきあわざるをえない。
それは時に、男性などとくらべ、あまりにも理不尽な形であらわれてしまう。

そうした特性こそ、少女漫画という特異なジャンルを成立させるとともに、異性間交遊にともないがちな、異性間の理不尽な「非対称性」が慎重に排除された、ある種「純粋な関係性」としての恋愛物、

「ボーイズ・ラブ」

をうみおとす原動力になったといえるでしょう。むろん、異性間の理不尽な非対称性を排除するためには、なにも男性のみが登場人物である必然性は、どこにもありません。ここに、ボーイズ・ラブの裏側に、「百合」というジャンルの出現がもたらされることとなった。これらは、遊鬱様のブログでも論じられています。ぜひ、ご参考にしてほしい。


なにより「ボーイズ・ラブ」も、「百合」も、
女性が、女性であることによって、傷つくことはない。


「純粋な関係性」「女性の傷つくことのない」百合というジャンル。
ところが、近年の百合ブームと受容は、男性を中心にすすめられてきた。


ここで、男性的な百合受容の典型として取りあげたいのが、冒頭の画像でごらんになっている、竹本泉『さくらの境』(メディア・ファクトリー)でしょう。まさしく、男性にとっての百合とは何であるか、その典型的な作品になっているのです。


登場人物は、女子高生の3人と猫10匹(あと、翻訳家)。
彼女たち(といってもカップルはそのうち2名だけど…)は、悩まない。
「自分が百合であること」に
対して。
ノホホンと、ひたすらイチャイチャ。(竹本泉の芸風なんだけど…)
本当にそれだけなのです。


なにより竹本泉がこの作品を描いた理由は、

「百合ブームだから」

らしい。さすがに、『あおいちゃんパニック』以来の熱烈なファンの私でさえ、この安直な姿勢には、激怒してしまった。「トウィンクルスター・のんのんじー」「トランジスタにビーナス」でもそうだが、女の子が抱き合っていれば、それが百合とでもいう気なのでしょうか??

所詮、男にとって百合とは、
可愛い女の子(=萌え)がいちゃつくだけ、なのだろう。
そして、融合的一体化の悦びを、味あわせてくれるものなんだろう。
だからこそ、コインの裏側、「ボーイズ・ラブ」に目が向くことは、
決してない。


それと、まったく対照的なのが、現在の百合ブームの先駆けとなった、これ↓

maria

今野緒雪『マリア様がみてる 薔薇のミルフィーユ』(集英社コバルト文庫)でしょう。このシリーズの総評は、かつて「悦び」がいざなうファシズムで論じてあるので、今回は新刊のみをあつかいます。

今回の新刊も、また、とても素晴らしい。

とくに第三章。
遊園地でデートする、赤薔薇姉妹のお話が絶品のできばえ。

赤薔薇様の婚約者でありながら、それを解消させた柏木さん。
それはホモを婚約者に告白することで解消させたわけなんだけど、
実は彼は…

悲しいのは、祐巳さんも、柏木さんも、決して報われることがない。
両者とも、それをきっちり自覚している所まで悲しい。
どこまでも、優しくて泣けてくる。

百合をめぐるの2つの方向性
「純粋な関係性」「女性の傷つくことのない」楽しみと、
「萌える女の子」「融合的一体化」の楽しみ。
そこに差しこむ、ボーイズ・ラブという問題系。

「百合」の商品化の過程で、消費者(おもに男性)の欲望にあわせてまぎれこむことになった後者は、決して夾雑物とはおもわない。圧倒的な同人活動によって、もはや商品化自体、同人活動の氷山の一角に過ぎない、「ボーイズ・ラブ」。それとは、ことなる状況下におかれたに「百合」にとって、こうした共犯関係をとりむすぶこと自体、商品化するための撒き餌なのかもしれない。そもそも、何らかの形で商品化されることを通してしか、ジャンルの存続はありえないのだから。

こうした、未分化のジャンルには、かけもち作家も多い。
ボーイズ・ラブと百合姫に描いている影木栄貴(竹下登首相の孫で有名)は、
その代表といえるでしょう。

だからこそ、
願わくは、ボーイズ・ラブの影・落とし子に止まらない、
「百合」というジャンルの方向性にしかかけない「何か」に、
一刻もはやくチャレンジしてほしい。

あれほどまで女性の望んだ、女性が傷つくことがないジャンルでさえ、
「可愛い女の子」という存在を通して、収奪してしまう男性社会。


それからの一刻も早い独立こそ、望まれているのだから。
たぶん。


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追伸 

● 竹本泉『さくらの境  1巻』MF(メディア・ファクトリー)コミックス

評価 ★★
価格: ¥580 (税込)

● 今野緒雪『マリア様がみてる 薔薇のミルフィーユ』集英社コバルト文庫

評価 ★★★★
価格: ¥420 (税込)





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Last updated  Aug 17, 2005 07:23:35 PM
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