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テーマ:社会関係の書籍のレビュー(95)
カテゴリ:政治
ご存知のように、民主党は歴史的な退潮をみせた。 改選時、177議席から64議席もの減少は、中選挙区制時代の自民党を含めてさえ、類例のない敗北である。おそらく、絶対比でみれば、戦前、1932年2月の総選挙、民政党の敗北以来ではないか? 一昨日、岡田代表の辞意表明。各グループの中堅たちの落選と、あまりのショックからか、民主党の後任代表選びは、混迷をみせているようだ。取りざたされている名前には、小沢一郎、菅直人などの重鎮の他に、仙谷由人政調会長の中堅どころ、若手では野田、前原などの名前があがっているようですね。 でもさ。 なんか忘れてやしませんか? 民主党は本当に惨敗してるのですか? 議席数をみれば、一目瞭然。 113議席で、全議席の四分の一しかないのですから、 疑う余地はありません。 しかし、得票数はどうでしょうか。 小選挙区では、前回の総選挙を上回る、2480万票とっています。 比例区でも、前回より若干減らしたものの、2099万票をとっています。 比例で2000万票をこえたのは、 03年総選挙、04年参議院選挙についで、3回連続です。 旧・社会党の最大時でさえ、1400万票台、 新進党の96年総選挙では、1500万票台だったのです。 この両党は、1958年の総選挙時をのぞいて、1/3以上の得票を得たことはありません。 民主党は、新進党や社会党と比較しても、はるかに大きな期待を受けていたこと。そしてそれに見合うだけの大きな責任を担わねばならないことが分ります。それなのに、2000万票以上をもらいながら、なんという体たらくなのか。 民主党サイト 総選挙敗北の責任を取って代表退任を明らかにした岡田克也代表は、13日午後、党本部で、代表として最後となる定例記者会見を行った。 岡田代表は冒頭、「二大政党制、政権交代の政治に向けて努力してきた。候補者擁立や党改革などを進め、二大政党の基盤をつくることができたと自負している」と幹事長時代を含めた2年9カ月あまりを振り返った。 今回の総選挙については、「逆風が吹き荒れて、厳しい対応を迫られた中でも、(小選挙区で)2480万人もの方が民主党の候補者を信頼し、投票してくれた。大変心づよいし、ありがたい」と感謝の意を表した。その上で、「切り過ぎたカードのツケに悩むことになる」小泉首相に対し、民主党は失うものがないと指摘し、しっかり着実に力をつけて、次回総選挙では政権交代を実現するという目的に向かって、新執行部にはまい進してもらいたいと述べた。 選挙の争点をひとつに絞った小泉首相の戦術については、大きい政策について堂々と論じ合い、日本の民主主義を深めるという本来あるべき姿から見れば、禁じ手ではないかと指摘。また、今まで政治に関心の無かった人が多く投票に足を運び、投票率が上がった傾向について、「いったん投票した以上は、今後の政治の動きに責任と関心を持つはず」であり、「次回以降、より政治に関心を持った上で判断をしてもらえる基礎ができた」との見解を示した。「日本の政治を、政権交代ある政治に向けて変えていくきっかけになった」などと今回の総選挙の意義について語った。 遅すぎる。 当日、開票番組の中継されていたとき、そして辞意を表明したときに、2480万人もの方が民主党の候補者を信頼し、投票してくれたことに、なぜ感謝の言葉を示さなかったのでしょうか。「政権交替に追い込めなかった」という失望感にとらわれていたにせよ、自分たちがどれほど重い負託をうけているのかについて、本当は弁えてはいなかったとしかおもえない。「危機のときこそ人間の真価がとわれる」など、陳腐すぎる俗説にすぎないので、小生はまったく信じてはいないものの、それにしてもいささか軽すぎやしないか。あたかも、特権を享受することを当然とおもっている保守系2世・3世議員が、敗北に面食らってドタバタする姿をみせられたような気分です。 不快極まる。 比例、2099万票 小選挙区、2480万票 それによって、113議席「も」獲得できたこと この負託の上に、さらなる上積みをもとめられていること あらゆる民主党議員は、この4点を決して忘れてはならないのです。 そもそも民主党は、今回、地方ではかなり善戦しています。 1996年総選挙、社会党地方組織の地滑り的な解体は、その後の2大政党化コースにとって、大きな障害であり続けました。地方には、民主党の手足がまるでない、という状態がながく続いたためです。社会党議員の引退とその後援会の解散は、即座に自民党<保守王国化>に帰結します。香川県、岡山県、広島県…かつての自民党総理大臣候補たちを悩ませつづけた、社会党の牙城は今では保守王国になってしまったのです。しかし、そこでも民主党は着実に一から組織を着々と再建させている。宮崎、島根、鳥取、愛媛では勝負にならないものの、他では着実に組織化がすすんできた。その象徴は、岡山2区と4区における、民主党の勝利でしょう。 2000万人の選挙民が託した「願い」の失念こそ、小沢再登板による求心力回復といった時代錯誤や、若手の有名議員たちの「火中のクリ」を拾いたくない、などの安易な姿勢をうんでいるのではないか。今回の後任代表選びを迷走させている原因は、「113議席ショック」によって、「2000万人の願い」を得ることに<成功した>ことを忘れていることにある。その願いの重さに思いをはせるならば、「思い切ったことをやった時に壊れちゃ困る」と、世代交代加速にくぎを刺す菅直人の発言もでてくるはずがない。 3回連続で2000万票をえた政党が、1回の失敗で解体する。 解体をおそれて、尻込みする。 さらなる前進を忘れて守りの姿勢に入る。 これくらい「願い」の重みを忘れた、無責任な姿勢があろうか。 世代交代を加速させたくもなく、しかも火中のクリを拾いたくもないと尻込みするのなら、今回もさっそく代表選に立候補している「総理になる男」河村たかしを代表にさせたらどうか? 「議員年金廃止」を一枚看板にしているし、次の自民党総裁が陰気な安倍晋三が最有力であることを考えると、ポジティブすぎて陽気な河村たかしは面白い選択肢だ。むろん、すべてがジョークにしか聞こえない、彼の名古屋弁を聞くたびに、なにかが間違っている…という意識にさいなまれてしまうだろうけど。 前回2003年総選挙。 民主党候補だった東祥三は、落選した翌日、一人駅前に立ち、 投票してくれた人々への感謝をのべる演説をおこなったという。 つぎの総選挙への戦いは、すでにはじまっている。 そして、刈りとるべき果実は、まだ蒔かれたばかりにすぎない。 優れた代表をえらび、理念と政策をねりなおせばよい。 そう、あと4年間しかないのだ。 後ろむきの代表選をするくらいなら、さっさとケリをつけよ。 ただちに、街頭に立って、家々を周れ。 5万人に握手をして、1万人の有権者の名前をおぼえたら、 その候補は落選することはないという。 民主党に求められているのは、前進であって後退ではない。 引き続き、政権準備党として戦う野党、対案をだす野党であることがもとめられている ←このブログを応援してくれる方は、クリックして頂ければ幸いです お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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