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書評日記  パペッティア通信

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Jun 13, 2006
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カテゴリ:スポーツ・ゲーム



▼  スポーツを観戦して、感涙にむせぶことなんて滅多にない。だからこそ、そんな瞬間に立ち会える幸せをもとめ、ついついスポーツ番組を見てしまう。しかし、それは稀にしか訪れることがない。サッカーを観戦して、もう何十年になる。しかし、そんな瞬間は、今まで前回W杯の「韓国-イタリア」戦だけしか体験したことがない。


▼  あの日、僕は友達と外国にいた。だから、不満・鬱憤がネットにぶちまけられることになる、日本におけるテレビ中継の「韓国贔屓」とは縁がない。あの試合、とある大画面のテレビの前に、韓国人が百名近く集まっていた。彼らは、赤いユニフォームを着て、「テー、ハン、ミング!」と大合唱していた。その様子を、周囲の日本人と同じく、不快に感じながら眺めていたことを覚えている。サッカーファンで、韓国チームを応援するような奴は、日本人にはいないだろう。サッカーファンにはあるまじき、「ドイツサッカーファン」の私であっても、当然の様にイタリアを応援していた。


▼  ところが、である。先制すると、早速、ゴール前に鍵を掛けたイタリア。その鉄壁のカテナチオに、韓国サッカー選手は、突っ込む。守備では手荒いファウルを浴びせ、全局面で走りまくり、技術的に上回るイタリアを自陣に押しこめて、土壇場で同点に追いついてしまう。おまけに、トッティ王子は退場。なんたる凡戦。なんたる判定。イタリアには、敗色さえ漂う。とても、マジメに見ていられる試合ではない。ふざけんな。


▼  そう思った瞬間、韓国人サッカー選手が、テレビ画面をよこぎった。凄まじい形相。つった足。ビッコを引き、苦痛に顔をゆがめながら、転びそうになりながら、それでもゴール前に走ってゆく。精神が肉体を超越するさまを目撃したとき、涌きあがる言葉にならない感動が私を襲った。このふざけきった試合は、私にとって聖なる試合に変わった。その直後のことだった。安貞桓が決勝ゴールを決めたのは。爆発する韓国人サポーターの歓喜に交じることなく、私は茫然となりながら自室へと引き揚げる。なすすべなく敗けた、同W杯の日本-トルコ戦、昨日の日本-オーストラリア戦とは、対極にある試合といって過言ではない。


▼  感動とは、言語化できないもの。否、言語の効果として立ち現れる、言語で説明できない剰余なんだろう。韓国-イタリア戦は、技術的にも、戦術的にも、フェアプレイの観点からも、何一つ誉められる試合ではない。もっと素晴らしくて美しい試合はいくらでもある。ところが、よりによって、こんな試合に感動を覚えてしまった。モレノ審判員の買収話を書き立てる『週刊誌』や2ちゃんねらーをみるたびに、憫笑していたものだ。対ポルトガル戦や対スペイン戦では、韓国に憎悪すら覚えているものの、「韓国-イタリア」戦をみることができたことは、今でも感謝している。


▼  イタリアは韓国に完全に力負けをした。それだけは間違いない。アイデアのない中盤。意図のないカウンター。守備的なだけの選手たち。負けて当然。そんなサッカーの質しか、イタリアには備わっていなかった。疑うものがいるなら、1982年スペインW杯のビデオを見るがよい。ブラジル-イタリア戦だけでなく、決勝のイタリア-西ドイツ戦、イタリア-アルゼンチン戦も見てほしい。残酷なまでに、美しいカウンター。守備だけでなく、攻撃があまりにも素晴らしかった。82年に比べれば、02年W杯のイタリアなど、出来の悪い模造品でしかない。


▼  まったく破綻することのない、マンツーマンディフェンスと、それを締めるシレアのカバーリングのすばらしさ。今みても、まったく遜色がない。日本がお手本にしてほしいくらいである。それぐらい美しかった。


▼  何よりも、マルコ・タルデリと、ブルーノ・コンティの活躍は筆舌に尽くしがたい。大会6得点、ジーコ・ファルカンのブラジルを沈めるハットトリックを決めたロッシ。40歳の主将、鉄壁のGKゾフ。この千両役者2名に隠れて目立たないが、イタリアの中心は明らかにタルデリとコンティだった。タルデリは、フィールドの全域に出没して攻守をつなぎ、コンティは独楽のように踊り回りながら、ドリブルで堅陣を切り崩す。西ドイツ、アルゼンチンは、この2名にやられたといっても過言ではない。タルデリは、サッカー歴代ベストイレブンに選びたいぐらいだ。


▼  結局、イタリアが20年間、W杯に優勝できなかったのは、タルデリとコンティの役目を果たせるプレーヤーがいなかったためだろう。ロッシの代役はいた(バッジョ)。ゾフの代役もいた(ブッフォン)。アントニオーニの代役もいる(ジャンニーニ、ピルロ)。グラッツィアーニの代役もいる(トニ、ビエリ、ビアリ)。シレアやカブリーニや、ジェンティーレの代役はいなかった時がない。バレージ、ネスタ、マルディーニ、コスタクルタ、カンナバーロ…  ましてや、オリアリに事欠かない。しかし、タルデリとコンティの代役だけは、1982年以降、見つけることができなかった。この2名だけは、どうしようもないのだ。デ・ロッシとカモラネージでは、とてもタルデリとコンティの代役は果たせそうにない。


▼  圧倒的なブラジル優勢が囁かれている2006年ドイツW杯。イタリア・イングランドなどの、ヨーロッパ勢の健闘がもとめられている。イタリアが歓喜につつまれるとき、それはタルデリとコンティの代役が、見つかった時であろう。永遠を思わせるコンティのドリブルと、神出鬼没のタルデリの走力・判断力。2名にかわるサプライズが、イタリアに訪れることを願ってやまない。




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Last updated  Nov 4, 2006 02:53:47 PM
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