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May 27, 2007
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カテゴリ:政治
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▼    平和憲法下の日本では、「紋切り型」の議論が横行しがちだ。 日本では、軍事が忌避されてきたため、軍事・情報とかの国家戦略上重要な問題が蔑ろにされてきた!!!軍事教育を!!などというのも、逆の意味で、「紋切り型」の議論に他なるまい。 言い出すのはたいてい、視野の狭い「軍事オタ」ばかり。 たしかに、おまえたち軍事オタを教育するためにも、軍事学を大学で教えた方がいいかもしれないな、と言いたくなってしまうことが多い。


▼    そこで、本書の御登場である。 いやはや素晴らしい。 軍事評論家といえば、兵器オタの水玉蛍之丞の兄(岡部イサク)か、アメリカのポチの志方俊之だけと思ったら大間違い。 日本の悲劇は、田岡俊次以外、ろくな軍事評論家がいやしねえことにあるのではないか、と思わせる迫力に満ちあふれた本である。 本書は一言で要約できよう。 今のタカ派は、「タカ派というよりもバカ派」(by 防衛庁幹部&田岡)  バカ派たちの言説をメッタギリしてくれているのだ。


▼    バカ派とは、以下のことを口走る人たちのことをいう。
     心してチェックしてもらいたい。


A   北朝鮮の実戦ミサイルが来る前に先制攻撃せよ ←技術的に不可能
B   日本も核武装だ! ←NPT脱退してアメリカを敵に回すの?
C   米軍の臨検から戦争に突入する!! ←臨検は相手の同意がいる
D   台湾独立で中国軍が侵攻 ←台湾の85%は現状維持
E   ノドンを日本に打てば自殺行為 
      ←米基地を叩くついでの日本攻撃の可能性はある
F   北朝鮮の核技術は大したことはない 
      ←威力制御技術をもちノドン搭載可能
G   ミサイル防衛で対応せよ ←ミサイル防衛は穴だらけで「気休め」程度
H   中国は20年以上大軍拡!! ←名目と実質の区別が付かないバカ
I    中国の軍事費は、公表額の2~3倍だ! 
      ←財政の8割が軍事費というのか?
J   アメリカの戦争に巻き込まれるなんてサヨクの常套句! 
      ←冷戦時、日中の役割は、ソ連軍の西欧正面から引きはがし
K   中国は台湾に特殊部隊を送って、台湾中枢を制圧して全土制圧!
      ←まともな上陸作戦を立てられない証拠。北朝鮮にやってみろ。
L   中国の弾道ミサイルの標的は日本だ! 
      ←標的はその都度ターゲットを入力する上、
       ミサイルは垂直上昇するので方向判別は不可能

M   中国の「衛星破壊」事件をみよ! 
      ←アメリカが40年前にやって無意味と知った行為の再現
O   米中は敵対的関係だ! 
      ←米は、「3つのコミュニケ」重視で、台湾防衛に消極的


▼    中国も韓国も、リアル・ポリティクスの観点から、「北」の崩壊を望んでいない。 北朝鮮には、もはや飛行可能な空軍パイロットがおらず、北進統一を妨げるものが存在しないが、さりとて地下要塞に籠もって、ソウルにむけてロケット弾攻撃をやられれば、100万人の死者が出てしまう。 だからこそ、米軍は外科手術を諦めたらしい。 94年の米朝合意は、とおからず北朝鮮が崩壊するという甘い見通しでおこなわれた。  アメリカが北朝鮮核実験失敗説を吹聴しているのは、北朝鮮核実験よりも日本の核武装の方を警戒しているためらしい。 東京に落ちれば、100万人が死ぬ。 しかし200発のノドンに、何十発の核弾頭をつんで、ダミーもろとも発射されれば、米軍でも湾岸戦争で「スカッド」ハントに失敗したように、ミサイル迎撃は不可能。 核抑止は、「相手が理性的」であることを前提だし、核武装をアメリカは許さない。 「核シェルター」で被害を軽減するか、気休めのミサイル防衛を整備しつつ、「アメリカの核の傘」を言い立てるしか方法はないらしい。


▼    中国脅威論は、ソ連の代わりに敵を作ろうとするだけ、と手厳しい。 「中国の軍拡説」は、ソ連に対して「ギャップ」を強調して予算獲得した、ペンダゴンの常套手段である、「過大見積」にすぎない、という。 近年の上昇は、人件費と装備費の肥大化。 1998年、朱首相は、人民解放軍の副業(退役軍人・家族・兵士たちが2万もの会社を経営していた)にいらだち、給料2倍にするから厳禁を打ち出したらしい。 とはいえ、史上最強の装備を持っていた「民兵」ベトナム軍に中越戦争で敗れた人民解放軍。 、そこは「世界最大の航空博物館」。 50年以上前に初飛行した航空機が、全体の8割を占め、中国側航空機は「見えない距離」から撃墜されてしまう。 


▼    人民解放軍は「近代化」を進めているものの、装備費はどんどん増えているが、近年の兵器の値段は、べらぼうに高い。 ほとんど買い換え需要という。 保有航空機、保有潜水艦、軍隊の数は、軍の近代化とともに、量を維持することに耐えられないので、急減せざるをえない。  アメリカに対抗するには効果的な潜水艦は減る一方、見栄えがする水上艦のみ増加しているが、これはこれで、各国の技術の寄せ集めにすぎない。 「早期警戒機なき空母」は、所詮、ステータスシンボル。 原潜も動く騒音で、航法水準もミサイル技術も低い。 近年の中国の武器輸入量は、90年代の台湾の武器輸入量に遠くおよばない。  第二次大戦時の飛行機を計算にくみこんだ、『ミリタリーバランス』の数字を信じて、中国軍拡を真顔で論じる、アホな軍事評論家とはいったい誰のことか、知りたくて仕方がない。
   

▼    また、中・台衝突をめぐる論議は、必読の箇所といえるだろう。 パワーバランスは、海軍でも、空軍でも、台湾有利であるという。 台湾独立阻止のためには戦争を辞さないといっても、台湾上陸作戦には「ノルマンディー上陸作戦」の3倍の規模が必要となれば、根本的に不可能である。  中国は、「無制限潜水艦戦」以外採りようがなく、世界中から恨まれて、貿易に依存する経済が持たない。 戦争になれば、世界市場を失い、投資は止まり、在米資産は凍結、原油輸入は不可能である。 中国の「反国家分裂法」も現状維持法。 アメリカが公然と現状維持に努めるのも、日中米とも、台湾に独立宣言されて、中・台「2者択一」を迫られたら、かなわない。 台湾軍人も独立反対派が多数、台湾の中国経済依存、を合わせれば、「独立」はない。 さらに、近年は日米関係よりも中米関係の方がよほど親密であるという。  
 

▼    個人的には、朝日新聞のリベラルな社風が印象的であった。 1963年頃は、朝日の方が穏健で、他紙は扇情的な左だったことは、左側の川崎泰資・柴田鉄治『NHKと朝日新聞』(岩波書店)の証言(ナベツネ的人物に乗っ取られそうだった朝日)と符合していて、ほぼ事実といってよい。 中央公論『社説対決 読売VS朝日』などは、針小棒大のプロパガンダ、とみなければなるまい。 当時の朝日幹部がみんな海軍士官経験者だったこと。 「非武装中立」なんて与太話を語る社員など、周りに聴いてもいた記憶がないこと。 まあ、4年に1度の国防総省の「国防政策見直し報告(QDR)」において、全体の1%を針小棒大にとりあげ、「軍拡中国に対抗」とした読売・毎日の記事について、防衛庁担当者の「朝日は全文読んで記事を書くけど、他紙は機をみて森を見ず」をわざわざ書いたのは、「報道される側に取りこまれることに批判的じゃなかったのかよ!!!と、さすがに苦笑させられてしまったが。 


▼    的確な中国認識も冴えわたり、うならされる他はない。 共産党の「商工会議所化」という見立ては、ともかくとしても、中国財政規模の対GNP比率が先進国と比較してかなり低い(地方併せて2割以下)ことは、中国ウオッチャーの常識であるが、氾濫する中国本で触れられることはほとんどない。 経済発展を輸出入に頼れば頼るほど、中国はアメリカと協調的にならざるをえない。 旅順港使用権をえたため、ソ連大使が蒋介石に最後まで随行したこと。 米中接近で、中越対立が激化したこと。 靖国神社参拝への不快感から、米中が親密になりつつあること。 現代中国は、工学部出身者のテクノクラートに支配される官僚国家の伝統のみならず、押しかけ民主主義「民変」まで復活しつつある、という。 また、尖閣諸島とガス田開発は別の問題であって、尖閣諸島では日本有利でも、ガス田開発では中国有利であるらしい。 なにより、ポル・ポト派の大虐殺集団が参加する政権(民主カンボジア)を、日本は米中と一緒になって承認していたことには呆れはてる他はない。


▼    ともかく、右翼メディアで憲法論議が盛んなのは、憲法を論議するだけなら法知識程度で済み、膨大な予備知識が必要な軍事から逃避できるからだ、という一節ぐらい、バカ派たちへの根本的な批判、肺腑をつらぬく一撃となっている批判はない。 集団自衛権論議も、台湾海峡防衛に適用すれば、中国への「内政干渉」であって、サンフランシスコ講和条約違反で「侵略」にほかならない。 島嶼防衛論も、全力で台湾独立阻止をしなければならない中国が、日本領土を攻撃して「日米安保条約」発動条件をつくることを前提とした議論であって、とても参謀能力のある連中が作ったシナリオとは思えない。 朝日新聞も、つまらない護憲社説を何本も書くよりも、「現実をみすえろ!!、改憲論議に逃避するな!」と主張した方がはるかに良いと思われる。 


▼    喚くだけの左派より、法をもてあそぶ観念タカ派は、権力に近いだけに危険。 ほとんど、目からウロコのような体験がえられるだろう。 ぜひ、1度詳しく目を通しておくべき、必須の新書とおもわれる。


評価: ★★★★☆
価格: ¥ 777 (税込)

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Last updated  Aug 2, 2007 11:58:27 AM
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