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凍結、そして…。
世界が真っ黒に染まっていく。
何もかもが真っ黒に…。
2006年08月22日
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1」」

その瞬間、世界は崩れ、砕け、壊れ果てた。
最初の記憶は炎。
燃えるような赤、溶けるような紅、朽ち果てるような朱。
次の記憶は橙。
舞い上がる火の粉、揺らめく灯火、焼き焦がす災禍。
舞い上がる焔の音に混じって聞こえるは、
-イタイヨ
-クルシイヨ
呪詛か、それとも恨みの言葉か。
あちこちから聞こえるうめき声。
それはまさに地獄絵図だった。
少年は自問自答する。
どうしてこんなことになった?何が起こった?
しかし答えは返ってくることはなく、悲痛な叫びへとかき消された。



少年はそっと目を見開いた。
そこは、幾種もの草や木が生い茂った、密度の高い山の中。
季節は初夏。山の天井を覆い尽くす緑の間に混じって聞こえるは蝉の声。
この山では、夏の訪れより一足早く蝉の鳴き声を聞くことができるのだ。
炎天下の暑い夏の日差しは、生い茂る葉に阻まれ地面に届くことはない。時折吹く風が木蔭をかさかさと揺らし、過ぎ去ってゆく。
鹿か熊か、いてもおかしくないような深い山の中はしかし、生き物の気配は途絶えていた。たった一人、木の幹を背にして、じっと気配を殺している少年を除いては。
少年の容姿は、一見、少女のようにも見えた。肩口まで伸びた赤い髪、女の子のような可愛らしい顔立ち、ほっそりとした繊細な容姿。そんな容姿をしていても、彼は正真正銘の男の子なのであった。
年齢は10台も半ばほど。もしくはそれより下。土と汗で汚れたTシャツに青いジーンズ。その下の表情は硬く引き締められて、緊張しているのか、何かを警戒しているようにも見えた。
少年の名は東理緒。この山に居を構える退魔師の一族の息子である。
退魔師。いわゆる空想の話に出てくるような魑魅魍魎、自縛霊、妖怪の類といったものを相手とし、それを退治するあの退魔師である。
理緒の手には長い木の棒らしきものがあった。彼がいつも修行に使っている訓練用の棒である。
使い込まれ、鈍い光沢を放つ木の棒。その輝きは彼が幼少時から過ごしてきた修行の日々を思い出させる。
蝉のけたたましい鳴き声に混じって静かに茂みが揺れた。かさかさ、かさかさと。
理緒は体を預けていた木の幹より反射的に飛びのいた。新たな木の幹に身を預け、構えを取る。しかし風の仕業だったのだろう。
息が荒い。ここまでくるまでに必死に走ってきたのだろう。いくつも木の間を縫って、茂みを幾つも飛び越えて…。
額の汗を拭う。夏の炎天下の下、汗が滝のように吹き出てくる。
「落ち着け…落ち着け…落ち着け……。」
何度も小声で言い聞かすように、小さく声に出してつぶやく。
手のひらの汗を拭い、棒をぐっと握りなおす。そのまま、何十秒かの時間が過ぎる。
かさり。
ふと、そう遠くない位置から茂みが揺れる音が聞こえた。風の仕業かと思ったが、違う。
かさっ、もう一度聞こえた。少し音が大きい。
がさっ、もう一度。さっきよりも近い。
がさり、次の音がするのと理緒が飛び出すのと同時だった。茂みが一瞬揺れ、そこから黒い影が飛び出してくる。
理緒は影に向かって棒を一気に振りかぶった。しかし、手ごたえはなく、地面に着地する。
と、同時に、首筋に冷たい感触がした。
それは、理緒が持っているのとほぼ同じ、長い木の棒だった。
「はい、一丁上がり。どう?理緒。」
凛とした声が響いた。
後ろを振り向く。そこには妙齢の女性が立っていた。
華奢な体つきに肩口まで伸びたきれいな銀髪。スリムなパンツをはき、シャツの上から黒いマントを羽織っている。片手には骸骨のぬいぐるみを持ち、頭にはゴーグルをしていた。
「惜しかったなあ…勝てると思ったのに。」
理緒が言う。それも残念そうに。首筋に当てられた木の棒が離れる。
「惜しくもないわよ、まだまだね。」
「そりゃないよ…母さん。」
母さんと呼ばれた女性は理緒がむくれているのをよそに服についた埃を払っている。
修行をはじめてからはや10年、時折こうして母に修行に付き合ってもらっているが、悲しいかな、一度も母に一撃を入れられたことはない。
理緒が未熟なのか、それとも。
ニヤニヤと笑う母親の顔を見て、理緒は大きなため息をついた。
悔しい、いや、いまいましい。

2」」

夢を見た。
知らない場所、知らない時間、知らない自分。
夢の中の人になった彼は、猫の尻尾を生やした不思議な種族の少女だった。
いろいろな場所でいろいろなことをして、不思議な力を使って、戦いのようなことをして。心の支えとも呼べる人に出会って。
友達ができて、大切な居場所もできた。幸せだった。
けれど、ほんの些細な出来事で、それは脆くも崩れ去った。
大切な人を何度も奪われ、居場所も失い、追い出された。
周囲の冷たい視線にさらされながら、彼女は最後の心の支えとも呼べる人の所へ身を寄せた。
けれど、それすらも奪われて。
最後の居場所すら失った少女は心をずたずたに引き裂かれて。
そして少女は旅に出た。
行く当てもない旅、当て所もない旅。
行く先さえ見えぬ旅に少女は旅立っていった。
これはそんな、悲しい少女の物語。
ささやかな幸せを求め、されどそれすら求めることを許されず、すべてを奪われ尽くした悲しい少女の物語。
もう終わってしまった物語。
理緒は、夢うつつにそんな少女と自分を重ね合わせていた。
5年前の自分、孤独だった自分、幸せだった自分。
そして、友達も、大切な人も、すべてを失ってしまった自分。
そんな自分と少女を重ねあわせる。
でも、それすらもすでに終わってしまったことで。
いや、こんなことはもう終わらせないといけない。
まどろみの中で、理緒はそう思った。



「銀誓館学園?」
母との修行を終えて、家に帰ってきた理緒を待っていたのは、分厚い封筒に入っていた何枚もの書類だった。
「そ、銀誓館学園。」
理緒の実家の一室。理緒の前には、母親がニコニコ笑顔で座っている。
先ほどいまいましいと思った理緒であるが、かといって母親のことを嫌っているのかと問われれば、それは間違いである。
小さい頃からおかあさんっ子であった理緒は、母の背を見ながら育った。
理緒の母は、世界有数の情報屋にしてハッカー、加えて趣味で槍術を修めたという変わり者だ。
理緒は、そんな母を慕い、尊敬してさえいた。
父もどうしてこんな変わり者と結婚しようなどと思ったのだろうとは思うが、しかし、そのことについて父は黙して語らない。きっと、理緒に聞かせられない複雑な事情が二人の間にはあるのだろう。
そんな変わり者である母は淡々と語り始めた。

かつて、全ての人類は能力者だった。
世界は、驚くべき怪奇と神秘に満ちていた。
生と死、大地と宇宙、全ては隣り合わせにあり、人類は生き延びる為に、己の内にある超常の力を以って、絶え間ない殺戮の中に在らねばならなかった。
人類は、己の持つ炎を放ち大地を穿つ程の力と、それを高める「詠唱兵器」を手に、蘇る死者や異世界よりの来訪者を退け、自らの生存圏を防衛していた。
詠唱兵器とは、能力者達が使用する「魔力を増幅する武器・防具」の総称であり、「詠唱銀」と呼ばれる結界外物質と、「死者の残留思念」を原材料とする兵器群の事を指す。
しかし、遥かな太古より続いた神秘と殺戮の歴史は、13世紀末から14世紀初頭にかけて形成された世界結界により、終焉を迎えた。
偉大なる世界結界は全ての神秘と伝説を追放し、人類はかつてない平和をその手にする事となった。
700年続く忘却期の始まり。
世界結界は、超常の力を否定する人々の「常識」を、その糧とする。故に、結界による平和と引き換えに、かつての力と詠唱兵器、そして真実の歴史は世界より失われ、次第に忘却の淵へと飲み込まれていった。
そして、時は流れ現代。
常識を覆す程に急激な文明の発達により、世界結界に綻びが生じ、同時に、現代に残る僅かな能力者を標的とした連続殺人が頻発するに至った。
真実の歴史を知る一握りの人々は、世界が今滅亡の淵にある事を知った。
残された能力者達を護り、そして早急に育成し、実戦に立ち向かう戦力としなければ、これら神秘の存在に立ち向かう術は無い。
その命題に基づき、「銀誓館学園」は設立された。
「つまり………。」
こめかみを抑えながら理緒は呟いた。
母の語った真実の歴史。それを疑うことはしない。
もとより退魔師の家計に生まれ、幼少の頃より修行に明け暮れていたのだ。いまさら世界の真実を知ったところで、疑うなど誰がしよう。
「銀誓館学園へ行って、今までの修行の成果を試してこいって…そういうこと?」
「半分あたりで、半分はずれね。」
理緒の言葉に母は続ける。そして、
「もうそろそろあなたも、学校に復帰する頃だと思ってね。」
と言った。
苦虫を噛み潰したような顔をする理緒。ああ、やっぱりか、という諦めの色がその顔ににじみ出ていた。
「………。」
それを変わらず明るい顔で見つめる母。そして、
「まだ…5年前のことを引きずっているのね。」
びくり、と揺れる肩。見開かれた目。そのすべてが、それは図星と告げていた。
「…気持ちはわかるわ、でもね。」
瞳を閉じ、静かに母は告げる。
「怖いからって逃げてばかりじゃ何も変わらないわ。前に進む努力をしないと。」
「………。」
母の言い分はわかる。5年前の出来事以来、理緒は学校に行っていない。いわゆる不登校。
それだけで、5年前の出来事が、理緒にどれだけの影響を与えたかは想像に難くない。
母の言い分はわかる。しかし、物事はそう単純じゃない。
けれど、母の言うことも間違いなく事実で。
「あなたはやさしい子だからね…。」
母は続ける。
「あなたは5年前の繰り返しになることを恐れてる…。でも同時に同じ間違いを繰り返したくない、自分の力で何かを守りたいと、そう思っている。」
押し黙る理緒。それには構わず母は続けた。
「守りたいって思ってるなら……前に踏み出さなくちゃ、ね?」
そういって母はにっこり笑う。
そうしてしばし。理緒はしばらく考え込んだあと。
「……そうだな。」
と一言呟き。
「分かった。行くよ、銀誓館学園に。」
そう、答えた。
それを聞いて母はにこっとうなずき、
「うん、そう言うと思って転校の手続き、しておいたから。」
瞬間、時が停止した。
-今、この人はなんと言いましたか?
「ちょ…まっ…それってどういう…。」
要するに僕はどう答えても銀誓館学園に行かなければならなかったと…そういうわけですか!?
愛も変わらずニコニコとした笑顔を浮かべている母。それに追い討ちをかけるが如く、
「あ、大丈夫よ、学歴のところはちゃんと学校に通ってましたってしといたから。」
大丈夫って、どこが大丈夫なんだよ母。
そりゃ、母にしてみれば学歴の改ざんなんて簡単なものなんだろうけどな。それでも





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最終更新日  2006年08月22日 20時44分07秒
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