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ココロの森

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第10話(NEW)



    第10話 ローマ食事情 ~貧乏な私達~




  私達は貧乏である。
 イヤ、別に2日目からあんな目にあったから、というわけではない。
 もともと、貧乏旅行でいこうと決めていたのである。

  今回は 食費や買い物などにはなるべくお金をかけず、
 その分、観たいものを観る手間ひまやお金は惜しまずにいこうと決めていた。
  しかし、イタリア・ローマといえば
 『芸術の都』であると同時に『食の都』でもある。
  やっぱりちょっとは美味しいものも食べてみたい。
  評判のカプチーノも味わいたい。
  キャンティー・ワインも飲みたいな。
 そんなほのかな憧れもあった。
  でも・・・

  貧乏人は屁理屈を考えた。
 高いお金を払えば、それ相応の料理が出てくるのは当然だ。
 でも安くておいしいものに出会ったときこそ、感激もひとしおなのではないか?
 それこそ、本当の、本場のイタリア料理なんだ!!
  と・・・。



  1:朝食 

  ローマに来て初めて食べたモノ。それはホテルのバイキング形式の朝食だった。
 貧乏旅行の我々が、このツアー料金に含まれている毎朝の大事な食事を 
 最大限に利用しないわけがない。

  朝食は7時からだったので 6時半には寝起きの悪いやまだを無理矢理叩き起こし
 地下にあるレストランに向かう。
 レストランは狭く、おまけにどこからともなく すきま風が入ってくるので
 早めにいって、いい席をGETするのだ。


 予定盛りだくさんな一日に備えるためにも、しっかりエネルギーを補給して、早めにホテルを出なければ。

  安宿だし、食事は期待していなかったのだが 朝食は思った以上によかった。

 ジュースは、オレンジ、グレープフルーツ、パインの3種類が常備され
 パンも ロールパンと甘いクロワッサン系が2種、
 それに加えてコーンフレーク、チーズ、数種類のジャム、バター、はちみつ。
 もちろん、食後のコーヒー、紅茶に加え、ホットミルクとココアまであった。

  素晴らしい。
 朝食はしっかり食べたいと思っていた私達も大満足である。
 部屋が部屋だっただけに、これは奇跡に近い朝食だと思った。


    ------ただ、3つの不満があった。

 1.お皿が汚い。
   これって、拭いただけ?という位、拭いたあとがきっちり残っている。

 2.クリームや砂糖の付いたパンが、異常に甘い。
   日本でもクリームの上に粉砂糖が振ってあったりするが、そんなもんじゃない。
   思わず口に入れたことを後悔するくらい甘い。
   でも後から気づくのだが、これはこのホテルに限ったことではなかった。

 3.紅茶が異様に不味い。
   何故か目茶苦茶 美味しくない。 
   でもこれもこのホテルに限ったことではなかった。
    これはローマだけなのかも知れないが、
  イタリアの紅茶は、はっきり言って紅茶じゃない。「紅茶」という味がしない。
   敢えて言うなら、うがい薬を少量たらしたお茶?、とでもいおうか。
   とにかく、「ローマで紅茶は飲むな!」
が以降我々の合言葉になった。
   缶紅茶であろうと、バールであろうと、レストランであろうと、飲んではいけない。
   (↑総て検証済み)
   エスプレッソやカプチーノが、とびきり美味しいから、
   誰も紅茶なんて飲まないのだろうか?
  だから不味いのか?  

   しかし、数々の不平不満を並べ立てつつも
   結局残さずしっかり食べる貧乏性の私達であった・・・。

  2:昼食 

  昼食はとらないこともしばしばだった。
 いろいろ観てまわっていると、本当にあっという間に時間が過ぎていて
 気がつけば3時、4時、なんてこともあるからだ。
 となると、行くところは自然とバールになる。
 流石に歩き疲れているので、立ち飲みというわけにもいかず
 席料を払い、パニーニやクロワッサン、それと飲み物で軽くお腹を満たす。
 2人で大体18000リラ(約1000円)だ。

  安いことは安い。
 それはありがたいのだが、
 何故か私達の入ったお店は 何処も信じられないくらいパンが美味しくない。
 パニーニは、パンにバターがぬってあるにもかかわらず
 中はびしゃびしゃ、外は冷蔵庫で乾燥してパサパサという悲惨さ。
 菓子パンやドルチェなども
 見た目は「流石イタリア!!」と感心するくらい美味しそうなのだが
 それにつられて買ってしまうと 思わず口が
 『ウガーーーーーーーーーー』
 となってしまう激甘食品である。
  私はこの『見た目攻撃』に2度3度と騙され、
 やまだは『フレッシュチーズサンド』などという
 いかにもなネーミングに魅かれて手を伸ばしたパニーニで失敗していた。

  でも これはローマに限ったことで
 フィレンツェでは 信じられない位おいしいパニーニに出会うことが出来た。
 そこのパニーニは フランスパンの焼き立てで暖かく、
 中のチーズもサラダも
 「これよ!!これを待っていたのよ!!」
 と感激するくらいおいしかった。

 
  あいにく その店は混んでいて(おいしいからだろう)
 立ち食い&立ち飲みだったのだが 
 あのパニーニの味は格別だった。
 ただその時は極度に喉が渇いていて、
  (注:この理由は 次回お伝えいたします)
 不覚にもコーラなんぞを注文してしまった。

  きっとあの店では とびきりのエスプレッソが飲めたことだろう。
  惜しかった・・・


  3:ディナー 

  夕食はトラットリアで取ることが多かったが、
 疲れ切っていて店を探す気がしない時などは、
 バールやピッツェリアのテイクアウトで済ませることもあった。
  でもトラットリアだから美味しくて 
 テイクアウトだから不味いというわけでもない。
  雰囲気のいい店に入ったものの、
 まるで冷凍食品をチン!したようなパスタに
 2万リラ(約 ¥1200)払ったこともあったし、
 テイクアウトで、ホントに目の前でチン!されたものを持ち帰ったピザが
 ビックリするほど美味しかったりする。

  特にホテル近くの大通りにあったテイクアウト専門のピッツェリアが
 やまだのお気に入りであった。
 中でもポルチーニという香り高いキノコをふんだんに使ったものと、
 トマトとフレッシュチーズのピザは最高だった。

  メニューは日替わりで、
 ショーケースに手作りの薄焼きのピザが8~10種類並べてあり、
 好きなものを 好きな大きさに切り分けてくれる。
 テイクアウトするときは
 日本のコンビニのように、店員が必ず『温めるか?』と訊いてくる。
 もちろんピザだから、電子レンジではなくオーブンだ。


  3度目にその店に行ったときには 流石に店員は何も言わずにピザを暖めてくれた。

  そこのピザを部屋に持ち帰り、
 近くのバールで買った憧れのワイン『キャンティ・クラシコ』とともに頂く。
  ------これがローマでの、一番美味しい夕餉であった。
 キャンティ・ワインはやはり評判通り、とても美味しかった。
 バールの主人にも『とても美味しいから、是非これにしなさい』と薦められ、
 ちょっと値段に躊躇していたらまけてくれたので買うことにしたのだが、
 本当に買ってよかった。


  フィレンツェでは、絶品のパスタが味わえた。
 早めの夕食を取ろうと、たまたま開いていた駅近くのトラットリアに入り
 私はライムソーダと、魚介のパスタ、
 やまだはカフェオレと、トマトソースのパスタを頼んだ。
  はじめに私が注文したライムソーダが来たのだが
 これがなんと缶ジュースだったので、
 「ああ、ここも失敗だったね」
 などと話していたのだが
 かなり長いこと待たされて出てきたパスタは
 それはもう、目が覚めるほど美味しかった。
 「イタリアに来てよかったね!!」
 「これだけでも来た甲斐があったよ!」
 と2人で大騒ぎするくらい、本当においしかった。
 トマトの味が、全然違うのだ。
 何であんなに美味しいのだろう?

 あまりのおいしさに、テーブルチップをはずんでしまった。
 「Molt buono!! Grazie!!」
 (とてもおいしかった。ありがとう!)
 というと、お店の人もとても嬉しそうだった。





             第11話 『天国への階段・現世で体験』につづく



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