ココロの森

2004/06/07(月)22:14

夏雲

散文・つれづれ(92)

真っ青な梅雨の空に 夏雲を見た。 入道雲の上のところだけ流れてきたみたいな ほわんほわんの 綿菓子みたいな雲。 小さな水やチリの集まりなのに なんであんなにふわふわで 真っ白で美味しそうなんだろう。 小さい頃 絶対雲に乗れると思ってた。 「あの雲に乗りたい」と言ったら 雲は水蒸気だから乗れないんだよ、と母が言った。 それでもゼッタイ乗れる!と言い張る私に ならば雲の中と上を見せてやろうと 両親は私を富士山に連れていった。 麓からバスで5合目まで登っていく途中に霧が出てきた。 「これが雲だよ。 雲の中だよ。」 って言われても 信じられなくて でも5合目に着いたら 雲の上に出ていた。 ぼわんとした灰色の雲を 柵にかじりつくようにして眼下に見ながら 「これはきっと灰色だからこんななんだ。  入道雲みたいな ほわほわの真っ白な雲なら  絶対乗れるんだ」って それでも信じていたかった。 今でも飛行機で雲の中に入ると 何だか信じられないような 不思議な気持ちになる。 ぴかぴかに晴れ渡った上空の下の ほわほわの雲。 その下に ひかりが届かないのが、 その下に 雨が降っているのが なんだかとても信じられないような 上と下とで 別世界のような 雲が 世界を分けているような・・・・・ 雲の上に 神様がいるって 何だか信じたくなるような 不思議な気持ち。

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