2009/06/30(火)12:45
『きつねのはなし』森見登美彦
【内容情報】(「BOOK」データベースより)
京の骨董店を舞台に現代の「百物語」の幕が開く。
注目の俊英が放つ驚愕の新作。細長く薄気味悪い座敷に棲む狐面の男。
闇と夜の狭間のような仄暗い空間で囁かれた奇妙な取引。
私が差し出したものは、そして失ったものは、あれは何だったのか。
さらに次々起こる怪異の結末は―。
端整な筆致で紡がれ、妖しくも美しい幻燈に彩られた奇譚集。
【目次】(「BOOK」データベースより)
きつねのはなし/果実の中の龍/魔/水神
他作とは違い、よみやすい文体(笑)
森見氏の、あのクセのある
妙に頭のキレるヒトにありがちな、もってまわった言い回しが苦手な読者も
これなら読めるのでは?
氏独特の、虚構と現実が混じり合った雰囲気はそのままに
京の街を舞台にした怪談風短篇集。
薄暗い鎮守の森の中を彷徨うような
しっとりと湿った空気がまとわりつくような世界は
梅雨の今の時期の夜の読書にぴったりかも。
特に最初の
骨董屋「芳蓮堂」で働くことになった学生が
顧客の男と奇妙な取引をすることになってしまう顛末を描いた「きつねのはなし」と
自身の豊富な体験を物語風に語り聞かせることを趣味とする先輩との関わりを描いた
「果実の中の龍」がよかったです。
あとのふたつは付け足しというか尻すぼみ気味で
無理して関連づけて話を作らなくてもよかったんじゃ?という感じでしたが