2004/11/20(土)01:03
ストックオプションの失敗事例(2)
ストックオプションをせっかく付与したのに従業員が意味が理解していない、というケースでは、とにかくわかってもらうまで説明してから導入する、というのが堅実なやりかたです。
では、何をわかってもらえばよいのでしょうか?
一つ目は、「ストックオプションの基本構造」です。
「ストック」=株式
「オプション」=「権利」(義務ではない)
なので、「ストックオプションの基本構造」は、下記のように言い換えられます。
■「会社が儲かり」「株価が上がったとき」「個人も儲かる」
■「会社が儲からず」「株価が上がらないときや下がってしまったとき」「個人は損しない」
つまり、付与された個人としてはおいしいところ取り、というのがストックオプションの基本構造です。
絶対に損をしないのか? ですが、理論上は損をすることはあります。ストックオプションを行使して株を購入したときの価格よりも市場で取引されている価格が低くなってしまう場合です。
しかし、株式未公開のベンチャー企業が未公開段階で付与したストックオプションの行使価額よりも株式公開後の株価が下がる、というのは付与のタイミングがよほど悪い、行使価額の設定がナンセンス、といった別の失敗要因がない限り、まず考慮しなくてよいリスクです。
未公開段階で、きちんとしたインセンティブ構造に基づき発行したオプションで従業員が損をしてしまうリスクは低く、逆に大きなキャピタルゲインを得る確率が高いこと、を理解してもらうことが必要です。加えて、キャピタルゲインの大きさは会社の業績、つまり従業員の会社への貢献と相関を持つこと(これも重要なポイント)に関する理解を浸透させなくては、もらってはみたけれど、という状況を招いてしまいます。